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異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収拾つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~  作者: ひだまりのねこ
第三章 新たなる戦いと急転する情勢と

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36 空は男のロマン

「これは……ワームだな」


 俺たちは今、洞窟の奥、東領域に繋がると思われる地下ルートの入り口に立っている。


 そこから先は、明らかに様相が異なっており、トンネルの壁面には、粘着質の液体が付着している。セシリアさんに確認してもらったところ、ワームという魔物の出す粘液だという。


 俺の鑑定でも、ワームの粘液と出ているので、間違いないだろう。ワームは長いミミズのような身体をもつ魔物で、口から出す粘液で岩盤を溶かしながら、地中を進むことができるらしい。


 日光を嫌うワーム自体が地上に出てくることはほとんどなく、被害の多くは、鉱山などに集中しているが、多くは落盤等によるもので、攻撃性は低い。ただし再生能力が非常に高く、退治することが難しい、大変やっかいな魔物なのだとか。



「ワームが自分の意思でこんなトンネルを掘ったとは考え難いから、何者かがワームを操っているのでしょうね」


 カタリナさんが、面白くないといった様子でため息をつく。通常ワームが作るトンネルはぐにゃぐにゃで方向性がなく、目の前のトンネルのように直線的で方向性を持ったものは違和感があるらしい。


「とりあえず、フェルゼンを先行させて進みましょう。向う側から新手が来ても、まさか敵だとは思わないでしょうから」


 ゴブリンジェネラルのフェルゼンを先頭にしてトンネルを進む。


 途中、何度もゴブリンの集団と遭遇したが、全てフェルゼンが騙し討ちで瞬殺する。完全に油断しているから先手必勝必殺だ。やはり通路として使われているのは間違いない。


「御主人様、この先で水の匂いがします」


 クロエの言葉が気になり、フェルゼンに聞いてみる。


『主、この先の地底湖がワームの巣になっている』

「ワームの巣?」


『ここで育てたワームを使って、各地へ地下トンネルを伸ばしているのだ』


フェルゼンによると、すでにこのアルカリーゼの王都に向けてトンネルを掘り始めているらしい。完成までは、早くても十年以上かかるとのことだが、プリメーラさえ落としてしまえば、そもそも王都までトンネルを掘る必要はなく、あくまで保険としてすすめているのだろう。用意周到なことだ。


「カケル、もしかしてアストレアの王都を落としたのって……」

「ええ、おそらく同じ戦法でしょうね。この段階で発見できて良かったです」


 アーロンさんが、悔しそうに唸る。アーロンさんたちの故郷は、隣国アストレアなのだ。たまたま依頼でアストレアを離れていたが、もし自分たちが残っていれば……と今でも悔やんでいる。


「となると、このトンネルは、アストレアの王都まで繋がっている可能性が高いわね……」


 カタリナさんも、珍しく真剣な表情で考え込んでいる。


「カケル、トンネルがアストレアまで繋がっているとなると、一旦、騎士団に報告しに入口まで戻った方がいいかも知れないな」


 確かに、セシリアさんの言う通り、少数の冒険者でどうにかできる規模ではなくなってくる。場合によっては、作戦の練り直しが必要になるだろう。とはいえ――  


「せっかく、ここまで来たんですから、ワームの巣は潰していきましょう。ついでにワームを使役しているやつも潰せれば一石二鳥なんですが……」


『主、ここにいるレアゴブリンが、魔物使役のスキルをもっている。百万匹に1匹のとても珍しいやつらだ。戦闘能力が低いので、強力な魔物が守りを固めている』 


 フェルゼンによれば、Aランク下位のゴブリンキングに加え、同じくAランク上位のグリフォンもいるらしい。


 そうまでして守るってことは、それだけ重要な場所であり、貴重な存在なんだろう。


「貴方様、グリフォンは風を操る強力な魔物です。物理、魔法ともに耐性を――って、なんでそんな嬉しそうなんですか?」


「そりゃあ、シルフィ、男のロマンだからな。グリフォンに乗って空を飛ぶ……異世界に来て良かったぜ」


「……心配して損しました。そういうことは、倒してからにしてください!」


 シルフィには、呆れられたけど、ようやく格好良い召喚獣が手に入りそうだ。ゴブリンとオークばっかりじゃあな。


「ダーリン、そんなに空を飛びたいなら、妾も飛べるぞ、空」

「本当か? あっ、変化スキルか! コウモリになって飛ぶのか?」


「うむ、普通の吸血鬼ならそうじゃが、妾ほどの吸血鬼になれば、人型のままで飛ぶことが可能じゃ、ほれ」


 エヴァの背中に羽根が生え、宙に浮く。


『変化を記憶しました』


「なるほど……こうやるのか――痛ッ」


 俺も羽根を出して飛んでみたが、うまく加減が出来ず、思い切り天井に頭をぶつけた。持ってて良かった物理耐性。


「あわわわ、ダーリンは吸血鬼じゃったのか?」

「いや、今覚えた。ありがとう、エヴァ」


「これで、貴方様と空のランデブーが出来るね! ボクが1番予約〜」

「なっ、では私が2番です、御主人様」

「くっ、出遅れました。仕方ない私が3番です」


「悪いけど、エヴァにもらった力なんだから、最初はエヴァだ」

「だ、ダーリン……」


 エヴァが感激で目をうるうるさせている。



「カケルくん、イチャイチャしてるところ申し訳ないんだけど、早く倒しましょ?」


 今日2回目ですね、ごめんなさいカタリナさん。はいどうぞ、ラビでも触って機嫌直して下さい。



「それで戦う前に、皆に頼みがあるんだけど――」

「あー、良いって、カケルがグリフォン倒したいんだろう? 今度乗せてくれるんなら、今回は譲るよ」


 みんなが頷く。ありがとうみなさん。


「そうなると、キングも情報取るならカケルが倒さないと駄目か。でも、キングは魔物強化のスキル持ってるから、先に倒してくれよ」


 確かに、グリフォンを強化されたらSランクになってしまう。真っ先に、ゴブリンキングを倒さないといけない。


「貴方様、グリフォンは、私とサラの精霊魔法で動きを抑えておきますので、その間にゴブリンキングを倒してください」


「ゴブリンキングは、私とエヴァがひきつけて隙を作りますので、とどめは御主人様がお願いします」


「わかった。頼む」



「それじゃあ、私たちは、その他大勢をやりますか。露払いは任せとけ、カケル!」


 雑魚やその他大勢はウサネコの皆さんが引き受けてくれる。


「レアゴブリンはどうするの? カケルくん」


「魔物使役のスキル欲しいんで、一匹だけ残してもらえると助かります」

「わかったわ、頑張ってね。勝利のおまじないよ……」


 そう言って、カタリナさんにキスされた。


 よしっ、気合いも入ったところで、戦闘開始と行きますか!




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i566029
(作/秋の桜子さま)
― 新着の感想 ―
[一言] グリフォン、乗ってみたいですよねぇ。 個人的にはヒッポグリフも外せない(大して変わらん
[気になる点] 大鎌、グリフォン……ふむ……
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