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空中都市国家アトランティア


 いつものように、みんなを職場に送り届けたらいよいよアトランティアへ出発だ。



「旦那様、いつもはお別れするのに今日は一日ずっと一緒だと思うと嬉しいぞ」


 にっこにこのセレスティーナが可愛すぎて困る。やっぱり連れてきて良かった。あいさつがわりに抱きしめる。


「んふふ……旦那様~、無事条約が締結されれば、この大陸はきっと平和になる。楽しみだな」

「ああ、そうだなセレスティーナ。そしたら一緒に世界中を旅行しような」

「……はい、楽しみにしています」


 

『さあ、主、我が背に乗るが良い』


 クロドラの背に乗りいよいよ出発だ……って早く竜形態になってくれと何度言えば……


「ふふっ、お兄ちゃんがクロドラにおんぶされてるみたい。かわいい……」


 くっ、恥ずかしい。これはあれか? あれをやれというフリなのか?


『くっ、や、やめ……あはあああああああ!?』


 逆鱗に触れられてへなへなになるクロドラ。俺は悪くないと思うんだ。



「……カケルさま、さすがにそろそろ出発した方がいいのでは?」


 さすがはメンバー1の常識人で苦労人のリノさん。ありがとう。その通りだ。


 感謝の気持ちがあふれて抱きしめてしまう。


「ふえっ!? だ、駄目です……いえ……駄目じゃないでしゅ……えへへ」

「あの堅物のリノが一瞬でプリンのように……さすがカケルね」


 やめてくれリリス。みんながプリンが食べたくなっちゃうから。


  

「ねえカケルさま、アトランティアには甘味はあるのかしら? リリスさまがプリンとかいうから、食べたくなっちゃったわ」


 遅かったか……メンバー1甘味好きのミレイヌがネコミミと尻尾を使って俺を誘惑する。


「ああ、昔リリスと行った時は、雲菓子とか色々あったな。今はどうなってるか知らないけど」

「雲菓子? なんか面白そうね。久しぶりのお休みだし、いっぱい食べ歩くんだ」


 ミレイヌはセレスティーナの商業ギルドマスターだからな。ずっと忙しくて中々休みも取れていなかったみたいだし。たっぷりゆっくり楽しんでほしいと思う。


 特に理由はないのだが、ミレイヌを抱きしめる。ついでにモフる。


「はうっ!? だ、駄目にゃん……モフったららめにゃあああ~」



「ちょっとお兄ちゃん! いい加減にしないと本当に時間が……」


 俺の世界一可愛い妹が頬をふくらませて注意してくる。可愛すぎて抱きしめるしかない。


「ふえっ!? ちょっと、お兄ちゃん!? 私は妹……だってばあ……もう、ばかあ……」


 ちなみに時間は時空魔法を使っているから余裕だよ?



***



 ようやく出発した俺たちは、現在クロドラの背の上にいる。


 アトランティアまでは、約1時間の空の旅だ。



「ねえ先輩、アトランティアって本当に浮いているの?」

「ああ、初めて見た時は感動したな。ザ・ファンタジーって感じで」

「うわあ……楽しみだね、お兄ちゃん!」


 俺の膝の上ではしゃいでいるアリサが微笑ましい。


 普段構ってやれないから、こんな時くらい目一杯甘やかすのだ。


「ほら、ミレイヌさんも来て! まだスペースはあるから。お兄ちゃんの膝上は最高なんだから!」  

「え? あ、ありがとうアリサちゃん……」


 羨ましそうにしていたミレイヌに声をかけるアリサ。ああ、イリゼ様、世界一優しい妹に祝福を。俺からは撫で撫でを。


「フニャン……気持ちいいにゃあ……」


 こたつの上の猫状態のミレイヌも撫でる。


「旦那様……私も良いだろうか?」

「もちろんだセレスティーナ。よし、脱がせてあげよう」


 勘違いしないで欲しい。甲冑の話だ。アリサたちが当たると痛いからな。


 しかし、後ろ半分ヒモ甲冑を作って良かった。とても脱がせやすい。防御力は半減だが、今のセレスティーナに甲冑が必要だとは思えない。むしろビキニアーマーの方が……今度頼んでみようかな?

 

「旦那様……脱がせ方がいやらしいのではないか?」


 くっ、それは誤解だ、セレスティーナ。誤魔化すために頭を撫でる。



「カケル、似合うかしら?」


 恥ずかしそうに上着を脱ぐリリスが着ていたのは布製のビキニアーマー……いや、普通にビキニだな。少し光沢のあるピンク色で、良く似合っている。しかも水布製だ。夢が広がる。


「すごく似合っているぞ。だが質感まではちょっと見ただけでは判断出来ないな」

「ふふっ、カケルのエッチ。仕方ないわね」


 俺の背後から抱きついてくるリリス。首筋に押し付けられるビキニの質感が、見えない分良く分かる。なるほど、これは素晴らしい。


(ミヅハ! グッジョブだ!)

(ありがとうございます、お兄様。来月にはプリメーラとセレスティーナに店舗が出来ます。お楽しみに)


 な、何だって……


 ミヅハの水布は、肌触りはもちろん、抗菌防臭速乾、夏は涼しく、冬は暖かい逸品だ。さらに俺の地球の知識とミヅハのセンスで生み出される商品は、デザインも超一流。


 つまり、売れないはずがないということ。すでに聖女アリエスを筆頭に、世界中のセレブたちが着ているから宣伝効果は抜群だ。


 ふふふ、罪悪感? そんなものはない。鑑定スキルとどこが違うというのかね? 大丈夫、秘密は墓場まで持っていくさ。



「クロエ、ヒルデガルド、来月からプリメーラとセレスティーナの巡回を始めようと思う。治安維持のために」


「……エロい匂いがぷんぷんするのですが、それは……」

「主にカケルさまの痴安維持の為ですね。承知いたしました」


 さすがは俺の専用メイドたちだ。1を聞いて10を知るとは見事なり。



 そうこうしている間に巨大な浮島が徐々に近づいてくる。


 人口十万人を超えるこれだけ大きい島が浮いているなんて、この目で見ても信じられない。まさに奇跡の島だ。


 久しぶりのアトランティア。ヒモふんどしのことは考えない。テンション下がるからね。

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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