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メイド三姉妹と選抜メイド 


 5分後、ご褒美部屋から出てくる俺とメイド3姉妹。厳密には姉妹ではないが、呼びやすいので、そう呼ぼうと今決めた。なぜか全員俺が抱っこしている状態だ。


 ちなみに5分とはいっても、100倍して実質500分だ。やはり3人平等にとなると多少時間がかかるのもやむを得ないか……



「あああ……カケルしゃま……ご褒美……しゅきです……」


 かわいそうにアイシャはご褒美の過剰摂取で呂律(ろれつ)が回らなくなっている。


「御主兄様……御主兄様……御主兄様……」


 壊れたレコーダーのように俺のことをつぶやき続けるクロエ。果たして大丈夫だろうか?


『カケルしゃま……もう全部どうでもいいでしゅ……一緒に死んでください……』


 ヒルデガルドが感極まりすぎておかしくなっている。怖いよ!?



 つまり何が言いたいかというと、完全にご褒美が過剰でした。ごめんなさい。



***



「……という訳で、ユグドラシルの別邸の教育係兼メイドを10名選抜します。まずは希望者がいれば優先してお願いすることになりますが――――」


 メイド長アイシャの説明にメイドたちが騒然となる。   


 このままプリメーラに留まれば、カケルに会える回数は多い反面、チャンスは少ない。だが、ユグドラシル行きを決断すれば無条件でご褒美がもらえる上に、上手く仕事をこなせば覚えもよくなるだろう。



「「「「「はい、私が行きます!!!」」」」


 結局、俺専属のクララとクルルを除く全員が希望したために、選考は熾烈を極めることになる。メイドたちの意地と意地、誇りとプライド、おのれの人生と存在のすべてをかけた、絶対に負けられない戦いがそこにはあったのだ。


「……やはり、こうなりましたか」

「当然こうなりますね」

『カケルさまのご褒美をいただけるのですから当然の反応でしょう』


 さすが3姉妹、息がぴったりだね。



 そして、激戦を勝ち抜いた10名の戦士――――もとい、メイドが決定したのだ。


「諸君、よくぞ勝ち残ってくれた。戦場での活躍を期待しているぞ」

「「「「「はい、総司令!!!」」」」


 そうだった……俺は総司令だった。完全に忘れていたよ。完全記憶を持っているのに忘れるとはこれいかに。


「ところで、諸君、この後すぐに現場へ飛んでもらうが、ご褒美を受ける準備はいいか?」

「「「「「はい、総司令!!!」」」」


 一糸乱れぬ素晴らしい返事だ。アイシャの日頃の教育と訓練の賜物だろう。これはまたご褒美をあげなければなるまい。


「うむ、良い返事だ。ユグドラシルでの働きによっては、ミッション後の追加ご褒美も検討している。どうか頑張ってほしい」


 メイドたちのやる気もこれ以上なく高まっていて、天をも突き破らんとするほどだ。俺もかつてない難易度のご褒美に集中力を高めてゆく。なにせ10名分のご褒美だからな。


「アイシャ、よくここまでメイドたちをまとめてくれたな。ありがとう。ご褒美を渡したいんだが、さっき渡したばかりだから、別の機会にするか?」


 だが、さすがはメイド長。真剣な表情で首を横に振る。


「いいえ、彼女たちが派遣するに値するか、私には最後まで見届ける責任があります。ご一緒させてください」

「……わかった。頼りにしているよアイシャ」


 ふと横を見れば、淋しそうに自分の尻尾を噛むクロエとハイライトの消えたヒルデガルドの姿が。 


 ふふっ、こんなの放って置けないじゃないか。


「クロエ、ヒルデガルド、お前たちにもアイシャのサポートをお願いしていいかな?」


「もちろんです御主兄様。私がメイドの何たるかを見せつけてやります」

『カケルさま、お情けありがとうございます。私がしっかり調教いたしますので、ご安心ください』


 夜なのに昼間のように表情が明るくなる二人。


 いや……見せつけなくていいし、調教ってなんだよ!? これ、ご褒美だからね!?

 

 

 15分後、ご褒美部屋から出てきた俺たちだが、誰も動けなかったので、久しぶりに神水を使用した。つまり何が言いたいかというと、完全にご褒美が過剰だったということ。様式美なのでどうか許して欲しい。



***



 10名のメイドたちを連れてユグドラシルの屋敷に戻ってきた。


 あまりの屋敷の美しさに言葉を失うメイドたち。


「「「「「…………」」」」


 一方で残された美琴たちのジト目を受けて言葉が出てこない俺。


「……先輩、ずいぶんお楽しみだったみたいだね?」


 はい……お楽しみでした。お待たせしてすいません。



「……私の騎士、ちょっといいかしら?」


 キッっと俺をにらみつけるリーゼロッテ。


「どうした? リーぜロッテ?」

「……私たちは婚約者よね?」


 少しだけ淋しそうな、悔しさの入り混じった表情にハッとする。


 そうだよな。せっかく久しぶりに一緒に行動しているのに、いくら業務上必要だったからと言って、彼女から見れば、自分を放置してメイドたちと楽しんでいたようにしか見えないよな。実際楽しんでいたし。うん……最低だわ俺。



『リーゼロッテ、新しい屋敷の俺の寝室なんだけど、これから一緒に見に行かないか?』


 そっと彼女に耳打ちする。


「ふえっ!? そ、それって……い、行く、絶対行くからね! 嘘ついたら怒るわよ!」


 顔を真っ赤にして嬉しそうに怒り出すリーゼロッテ。いつも思うけど器用なことするよな。



************************************

≪登場したヒロイン名鑑≫


【名 前】 クロエ=アルゴノート(女)

【種 族】 獣人族(銀狼族)

【年 齢】 16

【その他】 白銀の悪魔の二つ名をもつ 


 獣人国家、アルゴノート王国第3王女。銀髪、碧い瞳。留学で、アルカリーゼにいた為、災厄の難を逃れる。祖国を救うため、冒険者となり、予言されていた黒目黒髪の異世界人を探していたが、カケルと出会い、専属妹メイドになる。最短C級到達の記録をもっていた。現在はB級。感情を嗅ぎわける匂い鑑定のユニークスキルをもっている。獣化すると銀色の狼となる。セレスティーナ、クラウディアとは同志であり、友人。匂いフェチ。カケルのパーティ『黒の死神』のメンバー。カケルの事を御主兄様と呼ぶ。Aカップ


【名 前】 ヒルデガルド=シーガルド(女)

【種 族】 魔人族

【年 齢】 19

【その他】  


 魔人帝国シーガルド侯爵令嬢。彼女の持つユニークスキル『透視』の力を買われ、皇帝付き専用メイドとして仕えていたが、カケルに出会い彼の専用メイド長へと転身する。金髪、金色の瞳。コーヒー豆のブレンダーとしての能力も相当なもの。カケルの事はカケルさまと呼ぶ。Aカップ


【名 前】 アイシャ=アンゴラ(女)

【種 族】 獣人族(兎族)

【年 齢】 16

【その他】 アンゴラ子爵家令嬢 ユスティティアの侍女でメイド


 ユスティティアの侍女でメイドのウサギの獣人。グレーの髪に赤い瞳。極上の毛並みでカケルを魅了する。ワタノハラ家のメイド長をつとめている。


【名 前】 不知火美琴(女)

【種 族】 人族

【年 齢】 16

【その他】 元トップアイドル


 創造神イリゼによって送り込まれた勇者。素直で前向きないい子。逆境にも負けない芯の強さが魅力。死神のミコトが身体に同居している。美少女大好き。カケルと再会したことで性癖が徐々に暴露されつつある。Cカップ


【名 前】 リーゼロッテ=バルバロス (女)

【種 族】 人族

【年 齢】 16

【その他】  


 バルバロス辺境伯令嬢。プラチナブロンドの髪にエメラルドグリーンの瞳。生まれつき怪力のユニークスキルを持っていたため、他人から距離を取っていたが、壊れることがないカケルと出会い、急速に惹かれていった。父親の辺境伯の許しをもらい、正式にカケルの婚約者となった。カケルのことは、私の騎士と呼ぶ。 



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i566029
(作/秋の桜子さま)
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