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コーナン王国へ


 朝の鍛錬は、最初は俺とセシリアさんの2人から始まったのだが、今では10人以上が参加するようになっている。


 みんな強くはなっているんだけど、同じスキルならやはり練度がものをいうからね。


 特に俺があとから付与したスキルは、使いこなす為に練習は不可欠。息をするように使えるまで反復するのだ。



「くっ、これが眷族の力……カケル殿、早く私も眷族にして下さい!」


 眷族となったセレスティーナや、ユスティティアに圧倒されて嬉しそうなミヤビ。


 俺はいつでも構わないけど、夜は順番待ちみたいだよ? 何を他人事のようにと思うかもしれないが、事実、俺には指名権はない。


「カケルっち、私も眷族にしてくれ。大丈夫! 夜の運動については、カタリナからばっちり情報を仕入れたからな」


 珍しく顔を真っ赤にしているセシリアさん。カタリナさん……一体どんなこと吹き込んだんですか?


 だが、たしかに眷族となれば俺のステータスの2割が加算されるし、スキルも一部特殊なものを除いて共有出来る。


 視野共有で転移も可能になるし、正直、今すぐに婚約者全員を眷族化したいけど、眷族化の条件の特殊性を考えるとタイミングはそれぞれの希望に合わせざるを得ない。


 つまり、何を言いたいかといえば、ミヤビとセシリアさんの希望を断る理由など無いということだ。



「分かりました。この後、風呂でしますか? 眷族化」


「ふぇっ!? ふ、風呂でですか? さすがの私も羞恥心というものがありますよ!? 衆人環視の中は無理です!?」

「私は構わないぜ。はやくカケルっちと繋がりたいぜ!」


 真っ赤になって慌てるミヤビと気にする様子もないセシリアさん。繋がりたいって精神的にですよね、分かります。


「ミヤビ……衆人環視なわけないだろ? ちゃんと個室貸し切り風呂だ」

「へ? そうですか……ならば私を容赦無く動けなくなるまで激しく眷族化して下さい」


 ミヤビさん……眷族化の使い方がおかしいですよ? いやまあ間違ってはいないんだけどね!?


「私は眷族化大盛りお替りし放題で頼むぜ。味付けは甘めでな!」 

「なっ?! ズルいですよセシリア、カケル殿、私も大盛りお替りし放題で! 味付けは辛口でお願いします」

 

 あの……眷族化が料理のオーダーみたいになっている件。大盛りにしても、お替りしても眷族化の効果は変わりませんけど!?


 ふふっ、だが俺は料理を極めた男。どんなオーダーにも応えて見せよう。



***



 朝から2人も眷族化したせいか、朝食が実に美味い。


「カケルどにょ〜ゴロゴロ」

「カケルっち〜えへへへ」

「旦那様~ふふふ」

「旦那さま~はい、あーん」

「うふふ、私もお嫁に来ちゃおうかしら?」


 まるでネコのように甘えるミヤビとセシリアさんとアストレア三姉妹もとい母娘の様子に他の婚約者たちの反応は様々だ。ベルファティーナお義母様、それは駄目です。勘弁して下さい。



「くっ……まさかセシリアに先を越されるなんて……」


 珍しく朝食を食べに来たカタリナさんが崩れ落ちる。


「ライバル多いんだから積極的に行かないと駄目よカタリナ。大丈夫、私と一緒にレッツ眷族化!!」


 クラリスさん……貴女はメイド枠じゃなかったんですか? まあ今更だけど。え? 貴女も眷族化するんですか? いえ、嫌じゃないです、魔法少女未亡人大好きです。



「ところでカケル、次はガーランドとアトランティアどちらに行くの? 私も準備しないといけないから……」


 リリスが尋ねてくる。そりゃそうだ。


「先にガーランドで、アトランティアへは、明後日行こうと思う」

「明後日? 明日じゃなくて?」

「ああ、本当は今日ガーランドに行くつもりだったんだけど、さっきツバサたちから連絡が入って、コーナン王国に到着したみたいなんだ。だから今日はコーナン王国へ行こうと思ってる」


「はいはい、当然私も行くよ先輩!」


 美琴が勢いよく手を挙げる。


「仕方ない、私も行く」

「え? 刹那も行くの? 珍しいね」

「駆に頼まれてたものがうまく作動するかの確認が必要だから」

「頼まれていたもの?」

「うん、偽造冒険者カード」

「は? 先輩……とうとう犯罪に手を染めて……」


「人聞きの悪いこと言うな!? ちゃんとギルド本部に了承はもらっている……リリスが」

「そうよ、人身売買組織の根絶のための捜査ということでOKもらったわ」


 ふふんと自慢げに胸を張るリリス。


「そういえば、冒険者ギルドのトップはリリスのファンクラブ会長だったよね? なるほど……」


 おそらく、いや間違いなくごり押ししたのだろうとソフィアも苦笑いだ。  


「今回はスキル保持者の捜索と、人身売買組織の調査がメインだから、冒険者ぽい仕事になる。久々に黒の死神パーティで行くか?」


「あ、ごめんなさい、私たちは明日の準備があるから行けないわ」

「ごめんね貴方様」


 シルフィとサラは明日のガーランド訪問の調整に王都へ行くらしい。となると――――



 コーナン王国へ行くのは、クロエ、ヒルデガルド、美琴、刹那、ソフィア、イヴリース、ミヤビ、ミヅハだな。おおう……かなり濃いメンツが揃っちまった。


「カケルくん、それなら私たちも行った方が良くない? 人手がいる場面もあるかもしれないし」

「それに冒険者としての経験は私たちの方が上だ。情報収集ならまかせろ」


 カタリナさんとセシリアさんも一緒に来てくれるらしい。頼もしいけど、すいませんねウサネコの皆さん。ちゃんと依頼料払いますので。


 

 とりあえず、ここにはコーナン王国へ行ったことがあるメンバーはいないので、ノープランだ。そもそもどんな町があるかもほとんど情報がない。とりあえず行ってみるしかないだろう。


 

 婚約者たちを各都市、各職場へ送り届けたら、いよいよコーナン王国へ出発だ。


 うまくスキル保持者に会えると良いんだけどな。 


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i566029
(作/秋の桜子さま)
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