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癒し系モフモフ ケルベロス


『スケッチブック召喚、ケルベロス!!』


 魔法陣が輝いて、白いもふもふのピレネー犬のケルベロスが飛び出してきた。


 俺のもふもふ好きはケルベロスから始まっているんだ。


『お坊ちゃま……お坊ちゃま……お会いしたかったです』 


 ちぎれんばかりにぶんぶん尻尾を振るケルベロス。


「ううう……ケルベロスぅぅ……逢いたかったよ」


 もふもふのケルベロスを泣きながら抱きしめる。


 小さい頃はあれほど大きかったケルベロスも、今は両手が後ろで組めてしまう。


『……大きくなりましたね、お坊ちゃま。あらあらそんなに泣いて……お洋服が濡れてしまいますよ……』


 ケルベロスは優しく涙をペロペロ舐めてくれる。ははっ、くすぐったいよケルベロス!



「……先輩が癒やし系犬獣人お姉様にペロペロされてるけど……もしかしてあれがケルベロス?」

「……私のもふもふ好きの原点もケルベロスなの……もう我慢出来ない」


 ケルベロスに飛び込む刹那。


『あらあら、刹那お嬢様も大きくなりましたね。綺麗になって……うふふ……もしかしてお坊ちゃまのお嫁さんになったのかしら?』


「ふぇっ!? お、お嫁さん? そ、そうね。一緒に暮らしてるのよ。ケルベロスだって綺麗よ」 


 ケルベロスの白いモフモフに顔を埋めながら刹那も再会の喜びに涙を流す。


「良かったね……先輩」


 ケルベロスが死んで淋しそうな駆の姿を知っている美琴も涙が止まらない。


 直接会ったことはなくても、ケルベロスは自分と駆を結び付けてくれた存在なのだから。


『あらあら、美琴ちゃんまでいるのね、元気だった? もしかして貴女もお嫁さん? ふふっ、お坊ちゃまモテモテですね』


「へ? どうして私のこと……」

 

『公園で何度も会ったんだけど? 美琴ちゃん赤ちゃんだったから覚えてないかもしれませんね……』


「う、うわ〜ん、ケルベロスぅぅ〜!」

 

 美琴もケルベロスの白いモフモフに顔を埋める。


『くっ、ケルベロス。私は何か無いのですか? 頑張って思い出すのよ』


 いや、フォルトゥナさん……それは無茶振りだろう。


『うーん、フォルトゥナさん。10分振りですね、お元気でしたか? あ、もしかしてフォルトゥナさんもお嫁さん? お坊ちゃまがモテ過ぎて辛い……』


 すまんな気を遣わせて……


『うわ〜ん、ケルベロスぅぅ〜!』


 ケルベロスの白いモフモフに顔を埋めるフォルトゥナさん。


『あらあら……うふふ。よしよし……』




 ケルベロスにたっぷり癒やされたところで、これまでのことを話す。


 ケルベロスは、天使として生まれ変わることも出来たらしいが、俺と再会するために、敢えて魔獣に転生したのだとか。駄目だ、また涙が……



『あ~、覚えてますよ。イヴリースさんとアルスさん』


 何とかケルベロスを倒した2人だったが、魔王イヴリースの力を持ってしても、魔界への門を封印するには足りなかった。


 一度引き返そうと提案するアルスだったが、イヴリースは、世界を守るため自らが門の錠前となり時間を稼ぐ決断をした。


 アルスは、託された鍵を持ち、必ず異世界人を探して連れてくると言い残して立ち去った。



 ありがとう……魔王イヴリース。貴女が身を呈して門を閉じなければ、きっと世界は終わっていた。


 魔界への門には、大量の邪神の因子が挟まれて藻掻いている。イヴリースに因子が見えたはずはないだろうが、なんらかの直感が働いたのだろう。この因子たちが世に解き放たれていたかと思うと背筋が凍る。


 

「デスサイズ、悪いな変なものばっかり斬らせてしまって」

『ふふっ、そう思うならば拙者にも、ご……ご褒美……を所望する』


 あれ? 俺のデスサイズってこんなに可愛かったっけ?


『あわわわ……か、可愛くなどない。だが、俺のって……確かに拙者は主殿の所有物だが、ふふっ……』


 まずい、デスサイズがデレてしまって使い物にならない!?



「先輩……さっきからなに1人でぶつぶつ言ってるの?」

『まあ……あんな刃物までお嫁さん? さすがお坊ちゃん、ストライクゾーン広すぎですね』


 ケルベロス……デスサイズはお嫁さんじゃないぞ? 


『…………』


 うえっ!? どうしたデスサイズ? いかん、デスサイズが落ち込んで使い物にならない!?



「駆……どうでもいいけど、早くしないと約束の時間に間に合わなくなるよ?」

「やべっ!? ほ、ほらデスサイズ、元気出せ。お前は俺の大事なパートナーなんだから」


『……パートナー? それはお嫁さんと考えて良いのか?』

「ま、まあ近いかもな?」


『ふふふ、何やらやる気が漲ってきた。すべて拙者に任せるが良い』


 復活したデスサイズが、邪神の因子を瞬殺してゆく。


『……レベルアップ x 999 デスサイズレベルアップ x 2』


 リエルさん……最近手抜きしてません? でもさすが邪神の因子は経験値的に美味しいな。



 とりあえず、魔界への門から邪神の因子は綺麗さっぱり居なくなった。


 待ってろよ。今助けてやるからな。魔王イヴリース。





  

 

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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