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爆速レベリングと進化


 みんなのところへ戻ると、思いもよらない惨状が広がっていた。


 ミヅハとキリハさんを除く全員が倒れていたのだ。


「ミヅハ、キリハさん! これは一体……?」


『急激なレベルアップによる反動ね。大丈夫。単なるレベルアップ酔いだから、2、3年寝てれば目を覚ますわよ。全く無茶するんだから……』 


 キリハさんによると、急激なレベルアップをすると身体と精神がついて行けないらしい。


 今回リヴァイアサンを討伐したことにより、一部とはいえ天文学的な経験値が入ったわけで、みんなに悪いことをしてしまったな。


 ってちょっと待て2、3年!? 全然大丈夫じゃないんですけどおおお!?


『人が生涯かけても足りないぐらいの変化を一度に与えたんだから当然よ! 私がサービスしなかったら十年は寝たままだったんだから、感謝しなさいよね!』


 そうだよな……これはゲームじゃないんだし、俺を基準に考えたら駄目だよな。とりあえず異常はないみたいだから安心したよ。



『お兄様! 見て下さい。ミヅハは進化して超精霊になりました』


 おお……ミヅハ超可愛い。超綺麗になってるよ! さすが超精霊。でもちょっと待て。普通は精霊神とかになるんじゃないの!? なんだよ超精霊って?


『超精霊が進化すると精霊神になりますよ、お兄様。でも……それには眷族の契が必要……です』


 顔を赤らめるミヅハ。


 もしかしなくても眷族の契ってアレのことだよな? 


 召喚獣の場合、自動的に眷族へアップデートされるのに対して、普通の人間を眷族にするためには、眷族の契、つまりむふふなことをしなければならない。


 え? 男の場合どうするのかって? 男の眷族は作らないので知りません。


『お兄様…………ミヅハを…………精霊神にしてください……』


 ぐはぁ!? 可愛い妹の頼みを断れる兄がいるだろうか? いや居ない、居るはずがない。


「ミヅハ……さあ始めよう、眷族の契を――――ぐほァアアア!?」


『頭湧いてんの? 私もいるんだけど?』


 キリハさんにぶん殴られた。ごめんなさい。


『ま、まあ……私も伴侶が出来れば、女神になれるんだけど……ね』


 キリハさんが顔を真っ赤にして、そんなことをおっしゃられる。


 でも、俺なんかで良いんですか? キリハさんならモテるでしょうに。


『ば、バカっ!! アンタが良いの!! 言わせるんじゃないわよ……恥ずかしいんだから』


「キリハさん……ミヅハ……」


『お兄様……』

『カケルくん……』


 これは……やるしかないか……ミヅハを精霊神に、キリハさんを女神にするんだ。たとえそれがどんなに困難であっても成し遂げるのが英雄たる俺の使命。


「う、うーん……あ、おはようございます、御主兄様」


 クロエが目を覚ました。


 そういえば、クロエはすでに眷族だからレベルアップ酔いにも耐えられたのだろう。



『くっ……この狼娘が……』

『クロエお姉様……』


 怖い、怖いよ!? キリハさん、ミヅハ、落ち着こうぜ!? ほら、みんな死んじゃうから!?


『さあ、邪魔者はいなくなったわ』 

『お兄様続きを……』


 傍らには氷漬けのクロエが寝ている……寝てるんだよな!?


 とてもそんな気分ではなくなったが、俺は空気の読める男。期待には応えるよ? セレスティーナ、俺に勇敢な獅子心(ブレイヴハート)を分けてくれ!!



「行くぞ、ミヅハ、キリハさん」

『『……はい』』



「う、うーん……あ、おはよう先輩!!」


 美琴が目を覚ます。


 まあ、勇者だから当たり前か。


『くっ、脳筋オーク並勇者が……』

『ふふっ、勇者といえども所詮は人。凍らせてしまえば……』


 

「ヤバい、逃げろ美琴!!」




『『…………申し訳ございませんでした!!!』』


 ミコトさんにボッコボコにされて土下座しているキリハさんとミヅハ。


 何とか2人が落ち着いたので、寝ているみんなに神水を飲ませて目覚めさせてゆく。口移しで。


 あの……キリハさん? ミヅハ? 美琴までなんで寝ているんですかね!?


 ちなみにたぬき寝入りは、英語で Fox sleep とかいうらしいよ? 面白いね、ははは。



 爆速レべリングの結果、みんなもれなく進化していた。


 人族は、ハイヒューマン。エルフはハイエルフに。吸血鬼は真祖に。獣人は獣魔人に。魔人は超人にといった感じだ。



 すげえ……さすが伝説のリヴァイアサンだな。


 リヴァイアサンの身体は美琴のアイテムボックスに収納した。本当に全部入るとは思わなかったよ……すごいな。もちろん海賊どもの船も全部収納済みだ。


 ちなみにリヴァイアサンの鱗は、最高の武器や防具の素材となる。


 ミレイヌによれば、鱗一枚で屋敷が建つほどの価値があるらしいので、迂闊に市場には流せないけど、いよいよ本格的に稼がなくても良くなってしまった。


 また、肉は大変美味で、滋養強壮に加えて美肌やアンチエイジングなど優れた効果を持つらしい。


 一生かけても食べ尽くせない量だけど、リーヴァの肉だと思うと無駄には出来ないし、料理人の血も騒ぐ。早く試したくて仕方ない。


 


 ちょっと海賊を潰すだけのはずが、ずいぶん大事になってしまったけど、結果オーライ。


 そろそろ晩餐会の時間だし、早くアルカディアに帰らないとな。 

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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