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婚約者たちとメイドさん

 ふふふ、魂が震えます。


 相対しただけで分かってしまいました。


 目の前の存在はもはや人間の範疇には無いですね。


 七聖剣が束になっても敵わないと聞いてそんなバカなと思いましたが、とんでもない。


 おそらく、四聖剣が加わっても、もっと言えば、世界中の人間が束になっても敵わない。というより勝負にすらならないでしょうね。


 悔しいことに、いいえ……嬉しいことに、今の私では、かすり傷ひとつ付けることは出来ないでしょう。


 スキルを使わなければ……ですけれど。


 私のユニークスキル【ステータスコピー】は、相手と同じステータスになります。スキルなどはコピー出来ませんが、問題ありません。


 同じステータスであれば、勝負を分けるのは技の熟練度。


 幼い頃からひたすら技を磨いて来た私が、同じ能力値で負けることは無いのですから!!



「ミヤビさん、遠慮なくユニークスキル使ってくださいね!」


 クククッ、良い! 惚れます! むしろ愛しています。


 愛しい貴方を倒したい。この手で!!


「行きます!」


『ステータスコピー』



「あ、ああああああ!?」


 その瞬間、世界が変わった。


 これまで力だと思っていたものは何だったのでしょう?


 怖い……初めてそう思いました。


 誇張でも何でもなく、一撃で山を吹き飛ばすことも出来るでしょう。


 これは狂います。正気を保てない。


 身体の中で力の奔流が荒れ狂っています。


 カケル殿は、どうしてそんなに穏やかでいられるのですか? その気になれば、世界すら簡単にひれ伏す力を持っているのに。



「どうしました? 遠慮なくどうぞ」


「し、しかし、この力を使ったら街が消し飛びますよ?」


「ご心配なく、全力で来てください」


 あああ……もう我慢出来ない。知りませんよ? 貴方が良いって言ったんですからね!!


 

 お預けをされていた犬のように、カケル殿に挑みかかる――――が、



(そ、そんな馬鹿な…………)


 全ての攻撃を完璧に相殺してゆくカケル殿。


 磨きぬいた技が全く通用しない。


 なぜ同じステータスなのに、貴方の方が早いのですか? 私の動きを見てから動いているはずです!


 もう意味が分からない。貴方が強すぎてたまらない。


 

 結局……何も出来ずに負けました。


 それはもう、ボッコボコに負けました。


 女の子相手に容赦無しとか……控えめに言っても最高でしたね。


 もう指一本動かせないです。


 もう髪の毛一本まで愛しています。



「じゃあ、ディナーにしましょうか、お姫様?」


 そう言って私をお姫様抱っこするカケル殿。女性扱いされるのは久しぶりでドキドキします。


「ミヤビさん、身体治しますよ?」


「だ、駄目! あと少しだけ……このままでいさせてください」


 さすがのカケル殿も少し引いているけれど、構わないのです。


 この痛みこそが、カケル殿の愛の証ですから。すぐに消してしまうなんて勿体無いじゃないですか。


 あ、でも……


「カケル殿……やっぱり治していただけますか?」


「え? 良いんですか?」


「はい……あの、その……下着を替えたいので……」


 なぜ替えなければならないかは聞かないで下さいね。



「……良かったら俺が替えましょうか?」


「は? いやいやいや!? さすがに無理です」


「ふふっ、もちろん冗談ですよ」


 もうっ! 意外と意地悪なんですね!


 あ、でも……身動き出来ないぐらい痛めつけられた挙げ句、無理やり下着を替えられるとか……意外と良いかも知れませんね……。


 ふふっ、何だかイケナイ扉を開いたような気がします。


 責任とって下さいね? カケル殿。



***


 

「という訳で、聖女のアリエスだ。今日から一緒に住むことになったから、みんな宜しく頼むよ」


 ミヤビさんと戦った後で、アリエスをみんなに紹介する。



「「「「「「「…………」」」」」」」


 分かったよ……みんなの言う通りだったよ。反論の余地もございません。


 だからそんな目で見ないでえええぇっ!?



「貴方様がとうとう現役の聖女に手を出しました……ガクブルです」


 シルフィ、異世界でもガクブルって言うんだな。


「私の前に聖女を連れてくるなんて……はぁ、とうとう年貢の納め時かしら……」


 ソフィア、異世界にも年貢ってあるんだな。


「か、カケル殿!? なぜ聖女様がここにいるのです?」


 ミヤビさん、俺に言わせれば、貴女もなぜここに? 


「こんなことになるだろうと思いましたので、ちゃんとアリエス様のために聖女の間を作っておきました!」


 アイシャさん有能過ぎるよ!? でも聖女の間って何?


「駆、どうでもいいけど、ペース早いね」


 マジでそれな刹那。俺もそう思う。


『大海原さん、私たちも紹介して欲しいんだけど……』


 そういえば、アリスとひめかも紹介してなかったな。


 ちょうど良い機会だから、リリスとリーゼロッテも呼んで顔合わせした方が良いな。


 イリゼス組は仕方がない。またの機会に。


 よく考えたら、新しいメイドさんたちとも今日初めて会うんだよな。


「アイシャ、ヒルデガルド、急で悪いんだけど顔合わせパーティ用意出来るかな?」 



「そう思って準備してありますのでご安心下さい」

『そう思って、帝国風ビュッフェを用意してありますのでご安心下さい』



 メイド長と専用メイド長が有能過ぎる件。


 

 一応声をかけたら、イリゼス組のセレスティーナたちも一時的にこちらのパーティに参加するってさ。

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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