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美琴の中のミコト

 マイカたちと別れ、避難所から戻ると今度は援軍を迎えに行く。


 カタリナさんたちウサネコA級冒険者パーティとソフィアたちS級冒険者パーティ守護者(ガーディアン)


 セレスティーナたちアストレア組も参戦すると意気込んでいる。


 そして過剰戦力だとは思うが、魔人帝国からも、ゼロ、エルゼ、ソニアに応援に来てもらうつもりだ。


 

(以前の俺だったら、きっとひとりで戦ってたんだろうな……)


 もともとこの世界に来た最大にして唯一の目的は、一刻も早く神になって、ミコトさんの伴侶になることだった。


 であれば、10万もの魔物の群れは成長するための絶好の糧であり、ひとり占めした方が目的を早く達成出来る。 


 でも今は、この世界で生きる意味も守るべき人もたくさんいる。


 それなら俺一人が強くなるより、みんなで成長していった方がいいよな。



 とはいえ、目的は変わっていないし、手を抜くつもりもないけれど。


 もちろんみんなの安全性にも万全を期すつもりだ。過保護と言われても構わない。




 それよりも1番恐れているのは、セレスティーナたちと美琴を会わせることだ。


 おそらく美琴ならば、セレスティーナたちに抱きついてあんなことやこんなことをしまくるだろう。


 ……あれ? 良く考えたら俺にとっては眼福以外の何物でもないじゃないか!!


(よし、早くみんなを連れてこよう)



 カケルは期待を胸に転移して行くのであった。



***



「いやあああああ! 姫騎士セレスティーナキター!!! 超綺麗! 超凛々しい! お願い、くっ、殺せって言ってくれない?」


 予想通り、いや予想以上に美琴のテンションが高い。 

 

 次々と欲望をぶつけていく姿はもはや芸術的といっても良いだろう。

 

 後でスケッチしようとしっかりと目に焼き付ける。 


 しかし俺には出来ない事を平気でやらかす美琴の勇気には感服するしかない。


 ありがとう。やはりお前は真の勇者だよ。


***


 ところで今夜、この辺境伯の屋敷には、俺の婚約者が16名もいる。


 チカゼとカザネを入れたら18名。戦闘タイプのメンバーはほぼ揃ったといえる。


 仮に100万の魔物相手でも負ける気がしないぜ。




 でもこうして見ると壮観だわ〜。


 タイプの違う美少女、美女たちが全員先輩の婚約者とか、しかもこれでも武闘派だけで、他にも大勢いるとか……ふふっ、楽しい! めっちゃ楽しいんですけど異世界!


 先輩が大好きで、美少女大好きの私にとって、この状況は正に私得でしかない。


 まだ見ぬ女の子たち、これから加わるであろう女の子たち。ワクワクが止まらなくてヤバい。鼻血出そう。


(……心配なのはミコトさんが出てこないことぐらい?) 


 先輩に会ってから一度もミコトさんは出てこない。


 多分、私に気を遣ってくれたんだよね? ミコトさんも意外と優しいところあるし……あれ? あったかな……いや、一つくらいあるはず!? 


 思いつかないけどまあ良いや。


 だったら今のうちに先輩を満喫しないとね!



 ――――神界――――



『……戻らないの? ミコちん』 


『…………戻れない、美琴の魂がかつて無いほど充実しているせい』


『あちゃー、じゃあ美琴が寝るまで戻るのは無理っぽいかな?』


『…………イリゼのお茶が飲みたい』


『はいはい、今淹れるからねぇ〜』 



***



 そして夜。恒例の部屋割りタイムだ。


「今夜は私の騎士と一緒に寝ます」


 リーゼロッテが宣言をする。


「「「「ひとりだけずるいぞリーゼロッテ!」」」」


 当然他のメンバーから不満が出るが……


「貴方達はいつもプリメーラで一緒に寝ているじゃない! ここは私の家なんだから、嫌なら野宿してもらいますからね!」


 一理あると、リーゼロッテの気迫に渋々応じる一同。



「リーゼロッテ、私は良いわよね? 親友だし」


 だが美琴が引き下がる訳がない。今夜にかける想いはリーゼロッテに決して負けていない。


「し、親友……!?」


 それはリーゼロッテにとって遥か昔に諦めた想像上の存在。それが手を伸ばせば届くところにあるのだ。


「……仕方ないわね、美琴は一緒に寝ましょう。だって、し、親友だからね!!」



 結局、俺はリーゼロッテと美琴の部屋で寝ることになった。


 いきなり3人で何をするのだろうか? え? 寝るんだろうって? ソウデスネ。



(くっ、親友という甘い誘惑に勝てなかったわ……)


 リーゼロッテが悔やむも今更だ。


「ねぇリーゼロッテ、先輩をはんぶんこしよっ!」


「は、はんぶんこ? わ、わかったわ」 


 美琴の提案に頷くリーゼロッテ。



「先輩……もっとくっついて良い?」


 美琴が腕にむにゅっと押し付けてくる。


「あ、ああ……構わないぞ」


「私の騎士……さ、触りたかったら触って良いのよ?」 


 反対側からリーゼロッテがむにゅっと押し付けてくる。


 ふふふ、並の男ならどちらから行くか迷う場面だが、俺には神級スキル並行動作がある。


 神級スキルなのにくだらないことにしか使っていない気がするが、スキルは使ってこそだ。


 今こそ使い時!! むしろその為に存在するスキルと言っても過言ではない!



「……あれ? 2人とも寝てる!?」 


 いつの間にか、2人は寝息を立てていた。


 くっ、俺はそんなに悩んでいたのか?



「仕方ない、俺も寝よう」


 夜明け前には迎え撃つ準備をしなければならないしな。


 2人の体温を感じながら目を閉じる。



『……カケル?』


 ん? 今、なにか聞こえたような……


『カケル、カケル!』


 見れば、美琴が目を開いて俺をつんつんしている――――いや、違う! これは―――― 


「……ミコトさん?」

 

『うん……ミコトさん』


 いつの間にか、姿も美琴からミコトさんに変わっていた。


 そうか……俺は夢を見ているのか。


『夢じゃない。私は美琴の中にいる。これからはずっと一緒……』 


「ほ、本当に? また消えてしまわない?」


 信じるのが怖い。裏切られたら耐えられない。


『ふふっ、どうすれば信じる?』


「……キスして欲しい」


『ん、わかった。カケル……』


 ミコトさんと唇を重ねる。


 間違いない。本物のミコトさんだ!


「ミコトさん、でもどうして?」


『カケルに逢いたかったから、休暇をとった』


「ミコトさん……俺のために」


『カケル……ん? こ、これはイリゼの過保護!? くっ、駄目……抗えない……』


「え? ミコトさん?」


 目の前にはすやすや眠る美琴の姿が。


 ……イリゼ様の過保護って何ぞや?


 謎は残ったけど、ミコトさんのことは夢じゃないんだ。幸せで頬が緩む。


 それにしても、美琴の中にミコトさんがいるとか俺得でしかない。



 興奮して眠れそうに無いので、魔法の寝袋のお世話になりました。


 ミコトさん、おやすみなさい。

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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