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控え目に言って天国

「みんなただいま。遅くなって悪かった」


 死神のキリハさんと別れたあと、魔人帝国に戻ってきた。



『主様、お帰りなさい』

『お帰りなさい、大海原さん』

『お帰り、大海原くん』


『お務めご苦労様です、黒影殿』

『お風呂にしますか? それとも、わ、た、し?』



 カイ……ちょっと言い方。あとエルゼ、どこでそんな言葉覚えてきたの?



「とりあえず、少しでも休んで、夜が明けたら出発しよう」


『出発って、どこへ行くんですか、大海原さん』


「どこって、お前の父親、魔人帝国皇帝に会いに行くに決まってるだろ?」


『ええええっ!? 本気ですか? はっ、まさか……娘さんを下さいって。気が早いですよ~大海原さん、えへへへ』


「ま、まあそれもあるけど、主に停戦と捕虜引き渡しの話し合いだな」


 一番の目的は、侵攻作戦の中止と、連れ去られた人々の返還交渉だ。


『もし、決裂したらどうするんですか?』

『そうだよ、皇帝陛下はなかなか手強いよ大海原くん』


 これまでたびたび激突してきたであろう2人は心配そうにたずねてくる。


 だけど答えは初めから決まっているんだ。


「その時は悪いけど力づくだな。ありすの家族だからなるべく穏便に済ませたいけど、こちらから譲歩する気はないからな」 


 以前なら怒りに任せて国ごとぶっ壊しただろうけど、イリゼ様から邪神の因子の話を聞いたからな。


 国のトップが邪神の影響を受けて操られている可能性も考慮しないといけない。


 出来るなら、ありすにはアリーセとしてもこの国で幸せになってもらいたいからな。

  


『その時は黒影殿の力を見せつけてやればいいのです』


『いっそのこと、黒影さまが皇帝になればいいのでは?』


「なるほど……でも俺は魔人じゃないから皇帝にはなれないだろ?」


『問題ありません。歴代の皇帝の中には、転生者と思われる黒髪の魔王がいますから』


 へぇ、魔人帝国にも転生者がいたのか。


「ところでありす、その魔王っていうのは何だ?」


『国内最強を決める御前試合で王族以外が優勝した場合に与えられる称号です』


『ちなみに魔王が誕生した場合、ありすが結婚することになってるんだよ』


「な、ひめか、それは本当か?」


『ち、ちょっと、ひめかちゃん! 大丈夫です。その可能性はほぼゼロですから』


 カケルが慌てたのを見て嬉しそうにするありす。


『ありすのお兄さんの皇太子がバカみたいに強いからね〜』


 何でもナンバーズの頂点ファーストとして、長年君臨しているらしい。


「その皇太子お兄様は侵攻作戦賛成派なのか?」


『賛成派どころか、首謀者ですよ、主様』


 ソニアによれば、皇帝は割と中立で、侵攻作戦はすべて皇太子派が進めているそうだ。



「分かった。なら皇太子をボコボコにすれば解決だな」


『……大海原さん、発想が脳筋魔人ぽくなってますよ』

『でも残念なことに事実だからねえ……』


 ありすとひめかも苦笑いするしかない。。



『そういえば、明日、御前試合が行なわれますからちょうど良いんじゃないですか?』


 なにそのご都合主義!? まあ手間が省けて助かるけどね。



 という訳で、明日皇帝陛下に直訴しに行くことになったが…………あの、君たち何してるのかな?

   

 みんなが俺を掴んで離さない。


『大海原さん……何処へゆくつもりですか?』


「え? 屋敷に戻って寝るつもりだけど?」


『駄目だよ、今夜は帰さないよ!』


 ひめか……意味分かって言ってんの!?

                

『黒影殿、我らが夜伽を務めますゆえ』


 カイ……君も意味分かってないよね?


『主様、ここのお風呂はちょっとすごいですよ! 一緒に入りましょうね』


「え、マジで! よし、風呂入ろうぜソニア」


『『『『…………一緒に風呂??』』』』


 しまった……いつもの癖でうっかり!? 何とか誤魔化さないと。


『はい、毎晩主様と一緒に入ってますよ〜』


 そ、ソニアさん!? ま、毎晩は入ってないと思うよ? じゃなくて余計なことを言わないでくれえええぇっ!?



『ま、まあ、結婚するんだし、大海原さんがどうしてもって言うなら…………』 


 え? どうしてもなら良いのか、ありす?


『あ、あの……ちっぱいで構わなければ……良いよ』


 ひめか……ちっぱいは至高であり正義だ。


『黒影殿にはすべてを見られているからな……今更隠すものなどない』


 カイ、だから誤解される言い方!? ありす、ひめか、違うんだあぁ!


『黒影さま、私の全ての技を駆使して、気持ち良くなっていただきますね!』


 エルゼ、変な期待しちゃうから止めてください。



 結局みんなで風呂に入ることになったよ。


 うーん、ありすとひめかがいると前世の意識が強くて恥ずかしい……やはり呼ぶか。




『あのー、大海原さん? そちらはどなたですか?』


 くっ、一人ぐらい増えても大丈夫かと思ったが、さすがに気付いたか……仕方が無い。


「妹のミヅハだ。仲良くしてやってくれ」


『ミヅハです。お兄様がお世話になっております』


 混浴と言えばミヅハの力が必要になる。この際なりふり構っていられないからな。


『うわあああ……綺麗な妹さんだね〜』


『黒影殿……なぜ妹君が風呂に?』


『大勢で入った方が楽しいですよね〜』


 ナイスだエルゼ! 勢いで押し切る!!


『主様……なぜミヅハ様を呼んだのですか?』


 やめろソニア! 疑問を持つんじゃない。



『お兄様はみなさんに最高のお風呂を味わってもらうために私を呼んだのですよ。ソニア』


「その通りだ。ミヅハの創り出す水は肌がスベスベになって、泡風呂も再現出来るからな」



(お兄様、ミヅハはお役に立てたでしょうか?)

(ありがとう……優秀な妹よ。兄として誇りに思うよ)



 控え目に言って天国だったね。なんたって魔人の慎ましいバストは俺的にどストライクだったから。




***************************************************************************


≪今回登場したヒロインおよびサブヒロイン名鑑≫

  

【名 前】 アリーセ=エンペライオン(女)

【種 族】 魔人族

【年 齢】 17

【その他】  


 魔人帝国第3皇女。駆に恋する女子高生、鏡原ありすが転生した姿。ともに事故で亡くなった親友と再会するために異世界で奮闘していた。すべての結果をなかったことにするキャンセルのユニークスキルをもっている。金髪、金色の瞳。カケルの事を大海原さんと呼ぶ。Aカップ


【名 前】 ジークリンデ=アイスガルド(女)

【種 族】 魔人族

【年 齢】 17

【その他】 


 魔人帝国第3皇女アリーセの右腕で参謀。アイスガルド伯爵家令嬢。中学までの同級生の駆に恋する女子高生、松野ひめかが転生した姿。ともに事故で亡くなった親友鏡原ありすの転生したアリーセを支えてきたが、記憶は失っていた。カケルにキスされたことで記憶がよみがえり、ありすと再会することができた。金髪、金色の瞳。カケルの事を大海原くんと呼ぶ。Aカップ


【名 前】 ソニア=ミッドガルド(女)

【種 族】 魔人族

【年 齢】 15

【その他】  


 魔人帝国ミッドガルド子爵。帝国史上最年少で子爵へと成り上がった天才少女。平和を求めるアリーセ第3皇女の懐刀として暗躍するが、捕らえられ、カケルに命を救われた。暗黒魔法と転移を得意とし、カケルと主君のアリーセをくっつけようと考えている。金髪、金色の瞳。カケルのパーティ『黒の死神』のメンバー。カケルの事を主様と呼ぶ。Aカップ


【名 前】 カイ=ヘルガルド(女)

【種 族】 魔人族

【年 齢】 18

【その他】  


 魔人帝国ヘルガルド子爵。生まれつき魔力をもたない忌み子として殺されるところをアリーセに助けられた。平和を求めるアリーセ第3皇女の最強の懐刀にして、諜報部隊リーダーゼロとして暗躍する。メタモルフォーゼという変身スキルとオールゼロという必殺スキルを駆使して戦う暗殺者。スキルを使用する代償として記憶を失っていたが、カケルによって救われ、本来の自分の名前と姿を取り戻した。金髪、金色の瞳。カケルの事を黒影殿と呼ぶ。Aカップ


【名 前】 エルゼ=アースガルド(女)

【種 族】 魔人族

【年 齢】 17

【その他】  


 魔人帝国アースガルド男爵。平和を求めるアリーセ第3皇女の懐刀にして、諜報部隊メンバーとして暗躍する。戦闘向きではないが、イリュージョンという幻覚を操るスキルでゼロをサポートする。フォースに殺されそうになっていたところをカケルによって救われ、恋の病に冒される。金髪、金色の瞳。カケルの事を黒影さまと呼ぶ。Aカップ


【名 前】 ミヅハ=ワタノハラ(女)

【種 族】 水の大精霊

【年 齢】 0

【その他】 


 魔人帝国率いる魔物の軍勢に住処を汚染され、消滅しかかっていたが、カケルの持つ神水の力により、水の大精霊として生まれ変わる。アクアブルーの髪にアクアブルーの瞳。妹としてカケルを献身的に支える。魂の契約により、実体化している。カケルのパーティ『黒の死神』のメンバー。カケルの事をお兄様と呼ぶ。Aカップ




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i566029
(作/秋の桜子さま)
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