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異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収拾つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~  作者: ひだまりのねこ
第九章 決戦の前に 束の間の日常

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セレスティーナの夜

「グゥゥー!」


 突然、お腹が鳴った。


「ん? あ、あれ! 寝ちゃってたか俺?」


「…………」


 何たる失態……そういえば、ミレイヌが来たせいでお昼ごはんを食べていなかったんだった。おのれ、ミレイヌ!! 恩を仇で返す真似を。


「良いのよ、カケル様の可愛い寝顔が見れて幸せだったから」


「クラウディア……」

「カケル様……」


「グゥゥー!」


 今度はカケルのお腹が鳴る。


「…………」

「…………ふふっ、お腹、空いちゃいましたね」


 顔を見合わせて笑う。



「あーっ、ヤバい! 夕食の準備手伝わないと!」


 突然カケルが大声を上げる。


「どうしたんです? そんなに焦って」 


「いや、セレスティーナに食べ物屋が出来るまで、当分の間俺がみんなの料理を提供することになってるんだよ。ハーピィたちだけじゃちょっと不安だからな」


 慣れてきたとはいえ、ハーピィたちだけで回すのはキツいだろう。提供しなければならない人数も一気に増えたしな。


「それなら私も手伝いますよ!」


「助かるよクラウディア。他にも助っ人連れてくるからさ。でも……その恰好じゃな」 


 今のクラウディアはドレス姿だ。


「それなら……着替えさせて……ね?」


 女の子を着替えさせるなんて、子どもの頃のおままごと以来な気がする。


 めっちゃ興奮しましたよ。ええ。



 クラウディアと天才魔人料理人アランをカフェテリアに残して、仲間たちを迎えにゆく。


 セレスティーナ、ユスティティア、クロエ、エヴァ、サクラ、カタリナさん、セシリアさんたちウサネコとソフィアたち守護者のメンバーのセントレア組だ。


 セレスティーナに戻るとすぐに厨房に入り料理を始める。


 大量の食材を茹でたり、蒸したりするのはミヅハがやってくれるのでとても助かる。


 こういう時、サラがいればサラマンダーで一気に焼いてくれるのだが、いないものは仕方がない。


 仲間たちには完成した料理を運んでもらったり、皿を並べたり色々手伝ってもらう。


 ユスティティアの侍女でありプロのメイドでもあるアイシャさんがテキパキと指示を出してくれるのは実にありがたい。



 これからカフェテリアにやってくる人々は、そのほとんどが今日初めてセレスティーナで夜を迎える。


 どうせなら美味しく楽しい夕食にして、良い思い出にしてあげたい。この街を好きになってもらいたいと思う。 


 一気に人数が増えたため、当然カフェテリアには入りきらない。


 とりあえず今日のところは、外にもテーブルやイスを並べてオープンカフェスタイルにしてしまおう。


 

 しばらくすると、美味しそうな匂いに釣られて、街中から続々と人が集まってきた。



「うわぁ、お母さん、美味しそうだよ!」


「こりゃすごい! 本当に食べて良いのかな?」



 基本ビュッフェスタイルだから、大人数にはもってこいだ。あちらこちらから歓声が聞こえてきて嬉しくなってくる。



 ひと通り料理を作り終えて、みんなのところへ戻る。


「カケル様! お疲れ様でした。どうぞこちらへ」


 クラウディアが有無を言わさない勢いで腕をとり引っ張ってゆく。


 すると、向こうから、冒険者ギルドの受付嬢一行がやってくる。

 

「カケルさま〜! お料理とっても美味しかったです! 食後のデザートに私なんてどう――――げっ! クラウディア!? 何でここに貴女がいるのよ?」


「私はカケル様の婚約者なんだからいて当然でしょ。リース……貴女をセレスティーナに送ったのは失敗だったかしらね!」


 リースをジト目でにらみつけるクラウディア。


「うっ、今日のクラウディアは何かが違うわね……」


 クラウディアの迫力に思わず後退るリース。


「ごめんなさいリース、これからカケル様は私と夕食をとるので、また別の機会にね。うふふ、ごきげんよう」


 カケルと腕を組み去ってゆくクラウディアに受付嬢たちがざわめく。



「ね、ねぇリース、何かクラウディアのキャラ変わってない?」


「そ、そうね……とにかく私たちも負けないように頑張らないと! ここセレスティーナの冒険者ギルドをもっと盛り上げてカケルさまにアピールするのよ」


「「「おーっ!!!」」」


 こうして冒険者ギルドの結束もしっかり高まってゆくのだった。




「カケル様、美味しいですか?」

「王子様、はい、あ~ん」


 カケルの両脇をガッチリ固めるクラウディアとサクラ。


 その幸せオーラに圧倒されて、他のメンバーは近づくことが出来ない。


「くっ、サクラの奴、帰って来てからずっと様子がおかしいと思っていたが……」

「そういえば、何かの絵を幸せそうに眺めていたな……」


「何! 本当ですか、お姉様? まさかサクラも旦那様に絵を描いてもらったのか?」

「えっ? サクラも、って、あなた達旦那さまに絵を描いてもらったのか?」


「ふふふ、恥ずかしいのですが、どうしても旦那様が私を描きたいと言うので……」


 頬を染め照れるセレスティーナ。


「ぐぬぬ、私も描いてもらわなければ……ヌードは恥ずかしいが、旦那さまならば……」


 カケルに描いてもらおうとやや間違った決意をするユスティティア。



「ねぇ、エヴァ、クラウディア絶対に御主兄様と何かありましたよね?」


「うむ、間違いないの。じゃが、クラウディアは我々と違ってダーリンと一緒に行動する機会が少ないのじゃから、たまには良いではないか」


「そう……ですね」


 クロエにとってクラウディアは、盟友であり、同志であり、親友だ。


(良かったね、クラウディア)


 クロエは親友の指に光る指輪を見て、優しく微笑む。



「うぅ……何よこれ、美味しい、美味し過ぎるわ!!」


 その一方で、ソフィアは初めて食べるカケルの料理の美味しさの虜になっていた。



「うーん……」

「どうしたんですか? カケル様」


「ああ、誰か忘れているような気がしてな」

「あーっ! アリサを忘れてたわ!?」

 



〜プリメーラ〜



「何で誰もいないのよ……クラウディアさん……」 


 ひとりプリメーラに取り残されたアリサの姿があった。

 

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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