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異世界行ったら、出会う女性みんな俺を好きになるので収拾つかなくなっている ~スケッチブックに想いをのせて 死神に恋した男の無双&ほのぼのハーレム~  作者: ひだまりのねこ
第八章 セントレアを奪還せよ

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罰として

『イレブン様、ずいぶんご機嫌麗しゅうございますな!』


 副官のサイアークがニヤリと笑いかけてくる。


『当たり前だろう。せっかく国外に出たのに、テンスの奴が来てからは、表立って暴れられなかったからな』


 ふふふっ、帝国から出てしまえば法に縛られることも無い。


 すべては自己責任。


 失敗すれば罰せられ、成功すれば私の自由にすることが出来る。


 ああ、素晴らしい! 殺すも奪うも壊すも思うがまま!!!


 イレブンは甘美な想像に身を震わせた。




 分かりやすく言えば、今のイレブンは誰にも荒らされていないカブトムシやクワガタが沢山取り放題の森を見つけた小学生のようなものだ。


 あるいは誰にも踏み荒らされていない、新雪が積もった見渡す限りの平原を見た時のような気持ちが近いかも知れない。


 実際同じ状況ならば、ほとんどの人が欲望のまま虫を取り、新雪を踏み荒らすだろう。程度の差はあるだろうけれど。


 もちろん、中には眺めるだけで満足という人もいるかもしれないが、イレブンはもちろんそうでは無い。


 

 テンスという保護者が来るまでは、取り尽くし、壊し尽くし、殺し尽くした。


 

 そして再びテンスから離れた今、もうイレブンを止めるものはいない。罰する法もない。


 失敗すれば罰せられる可能性はあるが、そうならないだけの力がイレブンにはある。


 現状11位の序列に甘んじているが、それは帝国内でライバルを殺し過ぎたせいであって、実力は十傑に勝るとも劣らない。




『ガーランドはエルフという種族の国で、見目麗しいものが多いとか。どうか私めにも少し残していただけると……』


『ふん、この好きものめ……まァ良い、今は気分が良いからな! 適当に残してやる』


『はっ、有難き幸せにございます』


 そうは言っても当てにならないだろうなと内心サイアークは思う。


 イレブンは一度スイッチが入ると皆殺しにするまで止まらないからだ。


『ふうっ……もう我慢ならん、ワイバーンを出せ! 私は先に王都へ乗り込む。お前たちはリースを落としてから合流しろ!』


 うきうきした様子で用意されたワイバーンにまたがり、飛び立つイレブン。



『行ってしまわれましたな……』


『ああ、残念だが王都は全滅だろうな。その分、リースで沢山捕まえないと……』

 

 イレブンを見送り、いやらしい笑みを浮かべるサイアークとその部下たち。


 

 だが、その先のリースで待ち構えているのが最凶の軍団だとは、今の彼らには知る由もない。



***



 一方のイレブンは邪魔が入ることなく、王都が間もなく見えてくるであろう地点を飛行していた。


 むろんハーピィたちはイレブンを捕捉していたが、あえて見逃していた。なぜなら――――



「よぉ、イレブン。悪いがここから先は飛行禁止空域だ。大人しく命を差し出した方が少しだけ楽に死ねるぞ?」


 そう、彼女たちの敬愛する王が、イレブンを通すように命じたから。


『……なんだ貴様は?』


「あっ、それから下に降りても通行止めだからな?」


『……そんな法があるのか?』


「ああ、俺がいま決めた」


『ククッ、面白い! ならば貴様を倒せば済む話ではないか!!』


「ああ……そうだな。倒せるものならな。ちなみにテンスはすでに倒したぞ」


『ほう……どうやったのかは知らないが、事実なら感謝しなければならないな。これで十傑に空席が出来たのだから――――ぐはぁ!?』


 転移で接近したカケルにワイバーンごと蹴り飛ばされ地上に叩きつけられるイレブン。




「……100数え終わるまで時間をやるから好きに攻撃してこいよ。あ、逃げるのは禁止な」


 大地を吹き飛ばす轟音と共に地中から現れるイレブン。



『貴様……後悔するなよ? 千回は殺してやる』


 

 1、2、3……


 なぜだ? なぜ剣が通らない? もっとだ、もっと速く、もっと強く! 【ステータス倍化】


『ステータス倍化を記憶しました』


 9、10、11……


 そうか……こいつ物理無効スキルをもっているんだな。なんちゃら男爵と同じか、ならば


地獄の暗黒炎(ダークインフェルノ)!!!


『暗黒魔法上級を記憶しました』


地獄の暗黒炎(ダークインフェルノ)!!!


 な、なんだと……同じ魔法で打ち消したのか? なぜこいつが暗黒魔法を使えるんだ?


 31、32、33……


 くっ、やむを得ん……【瘴気解放】 魔人貴族種のみに発動可能な瘴気の結界【カースス】だ。寿命が縮むから使いたくなかったが、この結界の中では、貴様の能力は半減し、そして……私の力は倍増するのだ! 


【瘴気封印!!】 


 馬鹿な……瘴気まで操るだと!?


 55、56、57……


 これほどまでの強さとは……どうやらテンスがやられたのは本当かもしれんな。

 仕方が無い、魔刻印【強化】自らの生命核に強化の刻印を刻む禁じ手だ。副作用が出るのが難点だがな。


 67、68、69……


 はぁ、はぁ、はぁっ・・・・・、なぜだ、これでも届かないのか? なんなんだコイツは? 化物め!



 77、78、79……



「なあ……イレブン。俺、強いだろ? そしてお前もたしかに強い」


「でもさ、例えば俺の前に子どもが立ち塞がったら? 小さい手をいっぱいに広げて、『お父さんとお母さんに手を出さないで!』って言われたら? そんなの……例え俺がこの世界ごと壊せるほどの力があったとしても、その子には絶対に勝てない。指一本出せずに完敗だ。お前ならどうだ?」


『ふん、くだらんな。まとめて消し去ってしまえば済む話だ』


 89、90、91……


「そうか……時間を取らせて悪かったな。勘違いするなよ? 別にお前が悪で、俺が正義なんて思ってない。俺もお前も自分の欲求の為に生きているだけの同類だしな」


『……何が言いたい?』


 97、98、99……


「何でもないよ、強さにも色々あるんだって言いたかっただけだ。あとな、大事な友達の大切なものを壊されたからむかついてるだけだよ」


 ……100。はい、時間切れだ。 



『ぎゃあああああああああ!!!!!!!!』




「イレブン……それでもお前に聞いたのはさ、あいつがみんなが笑える国を作るっていってたからだ。だったらお前も誘わないと不公平だろ? でも俺はあいつほど優しくないから……両手を広げた子どもの勇気になにも感じないような奴はきっちり教育しないと許せないんだよ」 


 

 イレブン、とりあえずお前は罰としてアストレア全域の復興の手伝いと下水掃除100年だからな。

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i566029
(作/秋の桜子さま)
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