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まちづくり

「これが私と旦那様の新居なのだな……」


 違うよセレスティーナ、ここは領主の城だよ!?


「違います、セレスティーナ様、私たちと王子様の新居です!」


 サクラ……それも間違っているぞ。



 まずは街の中心で象徴となる城を使えるようにしないとな。


 土魔法で、壊れた城壁や建物を直してゆく。


 せっかくだから、目一杯頑丈にしておこう。


 中はセレスティーナたちに任せて次はギルドだ。


「あっ、カケルさま!」


 ギルド職員と冒険者たちがギルド跡地を片付けている中、受付嬢のリースさんが駆け寄ってくる。


「リースさん、お疲れ様です。ギルドも今直してしまいますね」


「へ? 直すって何を?」


 ギルドの建物も土魔法で直しながら頑丈に強化しておく。


「よしっ、これで大丈夫ですよ」



「カケルさま……上級土魔法まで……素敵です」


 瞳をキラキラ輝かせるリース。



 ギルド職員たちと別れ、次はロナウドさんたちと合流する。


「ロナウドさん、出店する場所は決まりましたか?」


 ロナウドさんたちには商店を開く場所を決めてもらっていたのだ。なんたって、今なら選び放題だからね。


「カケルさん、ここにしようと思います」


 ロナウドさんが選んだのは、大通り沿いの1等地にある商会跡地だ。かなり破壊されているが、広い地下室もあり、街のどこからでもアクセスしやすい好立地だ。


「わかりました。では、ちょっと離れていて下さい」


 土魔法で一気に直してゆく。せっかくなので、前世の知識を活かして有名な建物のデザインを模してリニューアルする。


「こ、これは……素晴らしいデザインだ! カケルさん、ありがとうございます!」


 ロナウドさんたちも気に入ってくれたようだ。


 良いものは異世界でも通用する。著作権ないから真似し放題だよ。少しはアレンジしてるけどね。


 預かっていた商会用の荷物や商品をロナウドさんたちに渡し、今度は外壁の修復に取り掛かる。



 なんと言っても、街で1番破損が酷いのが外壁だ。


 普通に修復しようと思ったら年単位の時間がかかるのだろうが、土魔法ならあっと言う間に終わる。


 すでに使い切れないほどの魔力があるし、神水で回復出来るからね。



 ふぅ……さすがに疲れたな。


 プリメーラよりは小さいとはいえ、5万人が暮らせる街だ。周囲数十キロに渡る外壁の修復は、思いの外大変だった。



 次はみんなの昼食の準備だ。


「アラン、今日は大人数分作るぞ!」


『主様、やり甲斐がありますね!』


 街で1番大きな食堂を改装して巨大なカフェテリアを用意した。


 料理極スキルを持つ天才料理魔人アランを召喚して、料理を作り始める。


「ツバサ、ミヅハ、悪いけど手伝ってくれ」


『もちろんよお兄様』

『承知した王よ』


 人手が足りないので、フィステリアからもハーピィたちを召喚する。



 しばらくすると、街中に美味しそうな匂いが拡がってゆく。ツバサの風魔法で匂いをみんなに届けているのだ。


 

 料理スキル極を持つ2人が作る料理は、もはや凶器といっても良いレベルだ。


 朝からの作業でお腹が空いた人々が、匂いに釣られて我先にとカフェテリアに集まってくる。



「みなさん、料理は大皿に盛り付けてあるので、各自好きに取り分けて食べて下さい」



 集まった人々から歓声が上がる。



「な、何だこりゃ! 旨すぎるだろ!?」


 初めてカケルの料理を食べた人間は皆衝撃を受ける。


「どうしましょう……カケルさまが素敵すぎる……クラウディアがぞっこんなのも納得だわ」


「カケルさまと結婚したらこんな料理が毎日……ごくり」


 リースを始め、ギルドの受付嬢たちもカケルの料理にメロメロになってゆく。



「カケルさん、このカフェテリアって、いつまでやるんですか?」


 冒険者たちがたずねてくる。身体が資本の冒険者たちには大事なポイントだろう。


「宿屋とか食堂が出来るまでは続けるつもりだから安心してくれ」


「マジか! こっちに来て正解だったな!」

「だから私が言ったでしょ? カケルさんについていけば間違いないって」


 評価してくれるのは嬉しいが、ちょっとプレッシャーを感じるな。



 昼食のあとは、みんなが泊まる家だ。


 とりあえず、カフェテリアの近くにある大きめの宿屋をいくつか改装してゆく。


 内装は最低限だけど、布団は新品を用意してある。当面寝泊まりするだけなら大丈夫だろう。ギルドにも簡易宿泊施設があるしね。



 最後は1番作りたかった施設だ。


「ミヅハ、始めようか」

『はい、お兄様!』


 作るのは公衆温泉施設だ。すでに源泉はミヅハが見つけて街まで引いてある。



 多くの人々に使って欲しいので、一度に数百人入れる大きな浴槽にした。


 お湯が入り始めると湯けむりが周囲に立ち込め、温泉の香りが広がってゆく。


 当面の間、運営はハーピィたちに任せることにした。施設名は『ハーピィの湯』だ。



 よしっ、今日はこんなところかな。


 後のことはみんなに任せて一旦プリメーラに戻る。


 セレスティーナに出店してくれる人を商業ギルドに集めてもらうためだ。


 あ、ついでに甘味の話もしておかないと。




『……王様、王様! 人を見つけました!』


 転移しようとしたその時、捜索隊のハーピィから念話が届いた。


「良くやったぞ、スズカゼ。今行く!」


 

 生存者発見の報に胸がおどる。


 カケルはすぐにスズカゼの元へ転移するのだった。

 

 




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i566029
(作/秋の桜子さま)
― 新着の感想 ―
[一言] 生存者……新たなるハーレム要員か。 それとも新たなる戦いの火種なのか。
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