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第四章 事情聴取
あの後、美海は市警から事情聴取を受けた。
美海はそこで、キャンサー・ビーストの事、ヴァルゴリエルと名乗った天使の事、全てを話した。
「ヴァルゴリエルね・・・十数年前から『それ』を我々も追っていました。未だその正体を掴んでいませんけどね」
取り調べをした刑事の一人、アンダーソン警部補は言った。
「『彼女』は『キャンサー』や『スコルピオ』など所謂『アンチ・ゾディアック』絡みの事件で現われ、人ならざるモノなら退治、人間の犯罪者なら死なない程度に痛めつけてその場を去る、所謂『謎のヒーロー』とか言われるヤツですよ。我々からすれば犯罪者ですけどね。」
『アンチ・ゾディアック』 - 美海もその名は聞いたことがある。ゾディアック統合政府の『暴力によってゾディアック及びそれに属する国家・組織に危害を加える存在』に対する総称のようなものだ。その中には元はゾディアックに属していた存在も含まれると言われている。
「ま、今日は夜も遅いですし、家に帰っていいですよ。また聞きたいことがあったら連絡します。」
そう言われ、美海が家に帰宅したのは11時頃だった。