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第三章 ヴァルゴリエル
『天使』 - それはまさしく天使だった。
一対の白き翼、腰まである髪は銀に輝き、双眸はサファイアを髣髴とさせる蒼、豊満な胸、きゅっとくびれた腰、抜群のプロポーションを白銀の鎧に包む。
「ドミニオン・フレイム」
天使の言葉と共に、手にした剣の刀身に青白い炎が宿る。
天使は炎を纏った剣を目の前のキャンサー・ビーストに振り下ろした。
青白い炎に包まれ灰となってゆく怪物。
それを見下ろす天使と呆然と見上げる美海。
しばらくして我に返った美海が目の前の天使に尋ねる。
「あの、あなたは一体・・・?」
「私は『ヴァルゴリエル』」
美海の問いに天使 - ヴァルゴリエル - が答える。
白銀の天使はそれだけ言うと、夜空へと飛び去っていった。