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彼女の詩  作者: 秋葉竹
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傷ついた2人の堕天使の話

折られた翼を引きずった天使が、

私の街を歩いている。

悲しみをおし殺しているんだろう、

けっして俯かない頰にあたる風に

ピクピクと泣き黒子のあたりを痙攣させて、

でも、前だけ見て歩いている。

もはや翼とは呼べない羽根のかたまりも

アスファルトに擦れた傷は痛々しく、

細く長い血の道を描きながら

ふらつきながらも、歩いている。


誰か彼女を救ってやってはくれないだろうか?

私に出来るなら私がやってあげたいけれど

私には、無理だから。

私こそが堕天使の…

あ、よろけ…こけちゃった…

え? 誰も声もかけないの?


あのー、大丈夫ですか?


振り返った天使は、

けれど、決して涙は浮かべておらず、

その口元にはかすかな微笑みさえ浮かべていた。


あ、ありがとう、ございます。、

大丈夫です。1人で、立てますから……


そうだろう。

私の手助けなど、何の役にも立たないだろう。

一応、手を貸して立ち上がるの待ち終わった私が


それでは、お大事に。


と別れて行こうとすると


(お願いだから、行かないで…)


明らかに頭の中に聞こえた幻聴なんだけど

それはあまりにも生々しい涙声で

私の1番白くて柔らかい心を掻きむしった。

彼女を救えるものなら、救ってあげたい

と、心の芯から震えていた。


どこか行くあてはありますか?

もしよかったら私と一緒に…


見つめる天使の目は瞬くうちに涙に溢れ

触れれば壊れそうなその細い肩を私は抱きかかえ


さぁ、つかまって?


と、彼女が堕ち込んだ闇の道から

引きずりあげたんだけれど、

その時本当の人生の絶望のどん底の闇から

引きずりあげられていたのは

実はこちら側だったと言う話さ。



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