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第9話 デーン村の戦い

投稿して1週間で800PVを超えていました。200人以上の方が読んでくれているようです。

応援ありがとうございます ^ - ^


森を抜けたすぐのところに、岩場の影になっている場所を見つけた。

風も防げ、野営地としては良さそうだった。


まず皆で分担して、枯れ枝を拾ってきて、火を起こす。火打ち石を使うこともなく、テクラの魔法で簡単に焚き火が完成した。

その周りに手頃な大きさの石を拾ってきてイスがわりに座り、ひと段落である。


弓使いのディルクが料理係らしく、先ほど退治した野犬の肉をサイコロ状に切って、鍋にかけた。

ご馳走してくれるというので、買っておいた根菜を少し提供する。

これらも鍋に入り、塩で味付けして完成である。野犬の肉は、赤身が多く、少し筋があったが、それなりに食べれる味であった。

固いパンをかじりながら、一緒に鍋をつついた。


「初めての仕事はどうだい?野犬の襲撃にも落ち着いて対処していたよ。怪我人が出ることもなく本当に助かった」


リーダーのホルガーが話しかけてくる。


「前に住んでいたところでも野犬はたまに出ることがあったので。たまたま剣を振ったところに相手が飛び込んできてくれて、助かりました」


そう答える。


「いや、駆け出しのカッパーの冒険者にしては上出来だぜ。このまま小鬼族ゴブリン退治の依頼が完了したら、正式加入でいいんじゃないか?なぁ、ホルガー」


そう言って、ヴォルフラムは俺の背中をバシンと叩いてきた。


「ああ、そうだな。十分な実力だ」


ホルガーは答える。


「なかなかの剣捌きだったが、どこで習ったんだ?弓はどうだ?」


ディルクが聞いてくる。


「我流ですよ。ただ振り回しているだけです。ただ、狩りに出たときには、狼相手にすることもよくあるので、多少慣れているとは思います」

「弓は残念ながら、才能無いみたいで、狩りでは食べていけそうもないので、剣で生きていくことを決意したというわけです」


そう答える。

我ながら、よくスラスラと出まかせができるものだと、逆に感心してしまうが、信頼を得るための必要なウソと割り切ることにした。


「私も賛成よ。ミライとなら上手くやっていけそうな気がするわ」


テクラが同意する。


その答えに対し、ヴォルフラムが微妙な表情を浮かべた。恐らくテクラに好意を寄せているのだろう。仲間としては歓迎するが、恋敵とはなって欲しくないということなのであろう。


こちらにはそんな気は全くないのだが、男女の関係は面倒なので、注意することにする。


さて、テントなどは無いので、火を囲むように横になり、一晩を明かすことになる。


順番に火の番と周囲の警戒をする。

遠くで野犬や狼の声も聞こえるだけに、気は抜けなかった。


一応、半径100m位の周囲を空間感知で警戒してはいたが、その晩は特に近く魔物や獣の反応もなく、無事に夜を越すことができた。


長い夜が明け、朝日が昇る。

朝はパンをかじり、水分を取ったのみで、出発した。すでに半分の道のりは超えているので、夕方には到着するであろうとのことであった。


2日目は何事もなく、デーンの村に到着した。

夕焼けになる前に到着したので、15:00頃であろうか。

村に到着すると、村長の出迎えがあった。60歳を回ったくらいの細身の老人であった。

20人に満たない村で、麦や野菜を作って生活しているようであった。

家畜の牛や鶏の姿もあった。


「よくぞ、遠いところをお越しくださいました。村長のアロイスと申します」

「本日は、ささやかながら食事を用意させていただきました。ゆっくりされて、明日の魔物退治、なにとぞよろしくお願いします」


と、村長の家に招かれた。

決して豪華ではないが、ウサギの肉を炙ったものや、野菜を炒めた料理をいただいた。

薄いワインもジョッキに注がれて出てきた。


食事をしながら、状況を聞いた。


小鬼族ゴブリンの群れが、この森の奥に住み着いたようで。夜に村に降りてきて、大事な家畜をさらっていくのですじゃ」

「村の若い者で対抗しようとしたのですが、クワや鎌では、対抗のしようもなく、困り果てておったところで‥」


「見てのとおり、裕福な村ではござりませぬが、村人全員の蓄えを集めて、魔物退治を依頼させてもらいました。なにとぞよろしくお願いいたします」


そう言って深々と頭を下げる。

料理を用意してくれた女性数人と、村の有力者なのであろう数名の男性陣も、一緒に深々とお辞儀された。


本当に困っているのであろう。

喜んでもらえるのであれば、頑張る甲斐があるというものだ。


その晩は、夜遅くまでささやかな宴会が続いた。

その中で、男たちにこの辺りのことについて教えてもらった。


この村は、ヒルシュフェルト伯爵という貴族の領地になるそうだ。この村よりさらに2日ほど西に行ったところにあるレンズブルクいう街があり、そこに屋敷があるらしい。ヒルシュフェルト伯爵は現ファルムス国王の甥に当たるとのこと。


ヒルシュフェルト伯爵領は、西側にあるキルシュ公国との国境に面しており、国境警備を担っているそうだった。砦が数箇所にあり、頻繁に小競り合いもあるらしい。


この村からも3人徴兵されているとのことで、さらに少し大きな戦の前には、臨時の税徴収もあるようだ。かなり負担になっているらしい。


それでも、領民に対し、過度な税や労働を強いることもなく、評判は良くはないが、悪くもないようだった。


同じ王国内でも、南の方にあるヴィントガッセン男爵の領地は、もっと高い税で、生きていくのもやっととの噂らしい。


村の生活は主に農業で成りたっていた。

麦畑があり、秋に収穫する。

それでもその半分は税として、納めなければならないらしい。

残りの一部を商人に売って現金を得て、必要なものを買うそうだ。

残ったものでパンなどを作り、少しずつ食べるという。


牛や山羊、鶏などを飼っており、乳や卵を得ている。

定期的に森に狩りに入り、ウサギや鹿などを捕まえて、食料にしているとのことであった。


これでもマシな方らしいが、決して裕福な暮らしをしているとは言えないように思えた。


そんなこと話を聞きながら、思わぬところで、この辺りの情勢について聞くことができて有意義な時間となった。


隣では、村長含め、皆、いい感じに出来上がっていた。顔を真っ赤にして、まぶたが閉じかかっている。


俺はどれほど飲んでも酔うことはなかった。

前世ではビール一杯で真っ赤になっていたので、お酒に強い人に多少の憧れもあったのだが、全く酔えないのもどうかと思う。

毒耐性でも効いているのであろうか?謎である。


宴もたけなわということで、お開きになり、村長の家の客間に寝ることになった。

客間と言っても、何もない部屋に雑魚寝するだけではあったが、野宿よりは遥かに快適であった。


ヴォルフラムが、大きなイビキをかいて、腹をかきながら気持ち良さそうに爆睡してる。


窓の外には星空が広がっていた。

3割ほど月が欠けていたが、明るい夜だった。


特にすることもないので、上半身を起こし、片膝を立てて、夜空を眺めていた。


それから1時間ほどが経過しただろうか。

月に雲がかかり、あたりが暗くなったのと同じくらいに、俺の空間探知に反応があった。


森のある方角からである。

数はおよそ30。小鬼族ゴブリンで間違いないだろう。


「おい、ホルガー。起きろ!!」


小声で、ヴォルフラムの横に寝ていたホルガーを揺さぶり、起こそうとしたが、「うーん」と寝返りをうっただけであった。

酔いつぶれて、起きる気配がない。

他の3人も同様であった。


(ったく‥)


舌打ちをしながら、剣を片手にそっと玄関を出た。防具は脱いだままだ。


鶏が「コー、コー」と怯えたように低い声を出している。夜目が効かないので、動くことができずにただただ怯えて小さくなっている。

牛や山羊も、身の危険を感じ、騒ぎ出す。


すでに何匹かの小鬼族ゴブリン達が村の中に入ってきていた。鶏を抱き抱えている。


身長は130cm位。こげ茶色の肌で額には一本の小さな角が生えている。

暗闇で目が紅く光っているのが、魔物らしかった。


転移テレポーテーション


俺は、一瞬のうちに小鬼族ゴブリン達のすぐ後ろに転移し、剣で首をはねた。

続けざまに、隣の2体も切り捨てる。

悲鳴をあげることもできずに、3体が崩れ落ちた。


目標を別の集団に向け、その目の前に走って移動する。


家畜が騒いでいることに目を覚ました村人の1人が、恐怖の表情を浮かべ、恐る恐る窓から顔を出した。


「家の中でジッとしてろ!!」


大声で怒鳴りつける。


30mの距離を一瞬にして詰め、集団の中の剣を持っている小鬼族ゴブリンの腕を一閃し、肩から股にかけて剣を振りおろす。

左右に真っ二つに別れる胴体は、ゆっくりと崩れ落ちる。


それが地面に落ちるよりも早く、隣の1体は胴から首が無くなっていた。


「グガッ‥」


恐怖の声をあげる小鬼族ゴブリン達。


そんなことはお構いなく、俺は1体の心臓を一突きし、もう1体は、胴体を横に一閃した。


俺の感じる、ゆっくりとした時間の流れる中で、拳大の石が空中を飛んで近づいてくる。

投石機スリングによるものだ。


集団の後方に、タオルのような長細い布に石つぶてを入れ、頭上でグルグルと回している小鬼族ゴブリンが二体見えた。

勢いがついたところで、持っている片端を離すと、石が飛んでいく仕組みだ。


転移テレポーテーション


50mの距離を一瞬にして詰め、2体を切り捨てた。


ここまで9体倒すのに、数十秒。

とはいえ、まだ20体以上残っている。

逃げられると再度襲ってくる可能性もあるので、全滅させておく方が、後顧の憂いが無いように思えた。

後で探すのも面倒だ。


そのまま、鬼神のような速度で、1体、また1体と小鬼族ゴブリンを葬り去る。

すでに逃げ腰になっているので、逃げ出す前に仕留めていく。


追加で10体ほど倒したところで、小鬼族ゴブリンの集団の中で、最も大柄な一匹が剣を振りおろしてきた。といっても160cmくらいだろうか。

この集団のリーダーなのであろうが、特に脅威を感じることはなかった。

振りおろしてくる剣を落ち着いて払い、返す刀で胴体を跳ね飛ばす。

上半身が、下半身から離れ地面に落ちた。


残りを全滅させるのも、さほどの労力は必要なかった。完全に戦意を喪失し、逃げ足だっているところを、機械的に1体ずつ倒していく。


結果、5分とかからず、30匹の小鬼族ゴブリンの集団は全滅する結果となったのであった。

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