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第14話 デーン村への移住

王都に着く前に、南門に向かって街道を歩いているホルガー達の姿を見つけた。

後ろから近づき、

「よぉ、お疲れさん」と声をかける。


「なんか、色々と面倒ごとに巻き込んでしまったみたいで、悪かったな」

「あー、いや、ミライさんって、実はすごい人だったのですね?逆に馴れ馴れしくしてしまって、色々とすみません」

ホルガーが恐縮している。


「なんか、まだ依頼を2回一緒させてもらっただけですけど、もう、驚き過ぎて、雲の上の人みたいになっちゃってますものね‥」

とディルク。


「確かに‥」

と、3人が同意する。


「いや、まぁそんなんじゃないよ。俺も色々と巻き込まれてる方だし‥ハハハ‥」

「ところで、報酬が入ったら、どうするんだ」


「そうですね。少し装備をグレードアップさせたいとは思ってます。あとは少しゆっくりとお休みしたいですね」

とホルガー。


「そうじゃの」「私も」

とヴォルホルムと、テクラ。


「ミライさんはどうされるんですか?」


「んー、とりあえず、アイツらが落ち着くまでは、面倒みてやらないとなぁ。村の人達に迷惑かけてもまずいしなぁ」

「しばらくは、冒険者稼業は休ませてもらう。落ち着いたら、また‥な」


そんなこんなで、ギルドに到着した。

代表してホルガーが報告し、報酬を受け取った。

追加報酬ボーナスが10金貨ソリドゥス追加されていた為、合計70金貨ソリドゥスうけとった。

証拠として持ち帰ったハンス達の銀板シルバータグは受理され、宝はもらって良いと返却された。


あとは、受付のレオノールさんから、俺の名前が刻印された銀板シルバータグを受け取った。

これで、ある意味ギルドに認められた正規の冒険者となったわけである。


報酬として14金貨ソリドゥスを受け取り、あとの宝は、適当に4人で分けてくれと渡した。


その金だけでは当然足りず、手持ちの金貨100枚ほど追加して、斧やノコギリなどの家を建てるための道具と、クワや鎌などの畑を開墾するための道具と麦や野菜の種子、当面の間の食料や調理道具を調達し、“空間”に放り込むと、デーン村に向かった。


元盗賊達との合流までの1週間、デーン村の村民に協力してもらいながら、彼らの住む場所の確保に努めた。


村の北側に森が広がっていたが、これを一部切り拓いた。村の北端から100mくらい離れたところを住宅建設スペースとし、その西側を仮設住宅スペースとして確保した。

風刃ウインドソードの魔法で木を切り倒し、重力操作グラヴィティコントロールの魔法で持ち上げ、一ヶ所にまとめて保管した。


直径が10cmに満たないものは、2本の細い丸太の上部をロープで縛り、アルファベットのAのようになったものを二組用意する。これを2mほど離した場所で足を地面に突き刺す。そしてAの上部同士に一本の丸太を渡して、三角柱を横に寝かしたような形を作る。

これをAフレームと呼ぶのだが、これに動物の毛皮や枝、葉っぱなどを被せ、簡易的なシェルターを作り、雨をしのげるようにする。


また、地面の上に直に寝るのは、体への負担が大きいので、二本の丸太の間にロープを斜めがけに張り、簡易ベッドも作った。


サンプルはいくつか作ったので、あとは自分達で作らせよう。


本格的な家を作るまでの間は、この仮住まいでしばらく我慢してもらうしかないが、完全に野宿よりは幾分マシであろう。


あとは石を積んだカマドをいくつか準備したので、食事の心配も無くなった。

小麦やライ麦も大量に買ってきてるので、炭火パンを焼いたり、すいとん鍋を作ることもできる。


金貨の手持ちはまだまだあるので、足りなくなったら買ってくれば良い。

が、財布がすっからかんになってしまう前に、自給自足への道筋をつけてあげる必要があった。


さて、そんなことをしているうちに、1週間が経過し、受け入れ準備は概ね完了した。


(んー、本当は、指示だけ出して、あとはやらせるのが理想なのだが)


まぁ、村の人達にあまり迷惑かけたくはなかったので、自分でやれることはやっておいたのだ。


村の外に集まった元盗賊達を迎えに行く。

空中から確認し、少し離れた森の中に集まっているのを見つけた。


「よぅ、全員集まったか?」

認識阻害の魔法はかけていない。

人間形態のまま、竜の翼を羽ばたかせながら、地上に降り立つ。


「集まったぞ。待ちくたびれたわ。ガハハ」

と、マティアス(赤竜バハムート)。


「オッケー、じゃあ、これから移動するが、いくつか注意点を」

「まず、これから移動するデーン村は、20名にも満たない人口しかない小さな村だ。以前ゴブリンの襲撃に困っていたところを助けてやったことので友好的な関係にある」

「ただ、俺が竜であることは言ってない。多少魔法と剣の腕が立つ冒険者という認識だ」

「お前らのことは、元傭兵と説明してある。元盗賊だったということは忘れてしまえ」

「村の北側に仮住居と、街の建設スペースを用意した。道具や当面の食料も用意してある。この中で得意分野を生かし、いくつかチーム分けをして欲しい」

「細かい調整はグスタフに任せるが、大きくは武器、防具、農機具や大工道具など準備する鍛冶担当、狩猟による食料確保および周辺の警護担当、そして土地の開拓を行い、住む住居を建設する建設担当。農地を拡大して食料を生産したり、麻や綿を生産し、布や衣服を準備する農業担当の4部門に分ける。まずは衣食住を充実させよう」

「何か質問は?」


皆の顔を見渡す。

皆、やる気に満ち溢れている顔をしている。


「よし、俺達の新しい拠点ホームに移動しよう!」


元盗賊達97名。通称ミライ組は、デーン村への移住を開始したのであった。

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