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第11話 次の依頼

「本当にありがとうございました」

「またいつでも遊びに来てください」

「ミラにぃ、また遊びに来いよな〜」


村人総出でのお見送りである。


次の日、ホルガー、ヴォルフラム、ディルク、テクラ、そして俺ミライの5人は、王都エルドバールへ帰還することにした。


アロイス村長から、報酬の20金貨ソリドゥスを受け取り、帰りの食料も差し入れしてくれた。


帰りもまた、2日の道のりを歩くことになる。


「しかし、ミライさんよ、お前がこんなに強かったねんて、想像以上だぜ‥」

「結局、俺たちほとんどなにもしてないしな‥」

とヴォルホルムとホルガー。


「どんな戦い方をしたら、一人で小鬼族ゴブリン30人を一人で全滅させられるんだ?」

ディルクが聞いてくる。


「ハハハハハ‥」

乾いた笑いで誤魔化しながら、内緒ということにしておく。


「ホルガー、ミライを正式にパーティ加入ということで良いわよね?」

とテクラ。


「ああ、もちろんだ。ミライさえ良ければ」

ホルガーがうなずく。


「じゃあ、せっかくなので。これからもよろしく」

ホルガー達と握手をし、彼らのパーティへ正式加入となった。


「ところで、この銅板カッパーの冒険者タグだが、銀板シルバーになるには、どういう条件があるんだ?」

「うーん、ハッキリとした条件はないが、Cランクの銅板カッパー冒険者向けの仕事であれば10件くらい、Bランクの銀板シルバー冒険者向けのサポートの仕事であれば4-5件こなせばもらえたと思うぞ」

と、ヴォルホルムが答えてくれた。


「あとは我々銀板シルバー冒険者からの推薦も受け付けていたと思うわよ。ダメ元で推薦してみたらどうかしら?」

とテクラ。


「そうだな、十分実力はあるわけだし、ギルドに戻ったら話をしてみようか」

ホルガーが同意する。


「その代わり、俺たちが酔いつぶれて役立たずだったことは内緒に頼むぜ〜」

ディルクが、冗談とも本気ともとれる言い方で、おどけてみせた。


「ああ、了解した。内緒にしておくよ‥」

そう伝え、次の仕事の話をする。


「次はどんな内容の仕事を受けるつもりだ?」

「ああ、まだ残っていればだが、盗賊退治の依頼を受けようかと思っている」

「内容からBランクの依頼の中ではかなり難しい部類に入りそうだったので、迷っていたんだが、ミライが加入したことにより、十分可能だろう。どうだろうか?」

ホルガーが答える。


「確か、最近現れた盗賊集団だろ?ここ1ヶ月位で商隊が4-5件やられてるって話じゃないか?」

「ああ、俺も聞いたぞ。なんでもリーダーは片目の男らしいな。なんでも片刃の湾曲した変わった剣の使い手らしい。酒場でも噂になってたぞ」

と、ディルクとヴォルホルム。


「いいんじゃないか?盗賊退治。面白そうだ」

そう答える。


「よし、決まりだ。王都に戻ったら、2-3日ゆっくりして、盗賊退治に向かうことにしよう」

とホルガー。

皆うなづく。


そんな感じで、仕事の話以外はたわいもない話をしながら、特に魔物に遭遇することもなく、無事に王都へ戻ったのだった。


ギルドに戻り、魔物退治の証拠として、ゴブリンと野犬の耳を換金する。全部で100銀貨デナリウスの報奨金が支払われた。


報酬は、結局、当初の9分割して皆が2/9づつ、俺が1/9という割合ではなく、5等分しよういうことになった。申し訳なさすぎて、せめてそれぐらいさせてくれということだった。

俺もそれで了承した。

ということで、一人当たり5金貨ソリドゥスと8銀貨デナリウス受け取り、初めての冒険クエストは無事に成功して終えることができたのであった。


あと、ホルガーの方から、俺ミライが、ゴブリンの大多数を一人で倒し(皆が酔いつぶれていたことは、彼らの名誉の為にも内緒なので、30匹全部ではない‥)、十分に銀板シルバーの冒険者の実力があると推薦してくれた。


「あんた、その若さでそんなに強かったのかい?あらあら、人は見かけによらないもんだねぇ」

と、以前俺をホルガー達に引き合わせてくれた中年の女性である。レオノーレという名前らしい。


それでも、流石に一つのクエストだけでは判断ができないということで、次のクエストが成功したら、銀板シルバータグを渡すという話に落ち着いた。


登録料さえ払えば誰でもなれる銅板カッパーの冒険者と違い、何件か依頼をこなし実力を示した冒険者だけがもらえる銀板シルバータグからは、一定の身分が保証される。

その為、名前が刻印されるのだが、その準備に少し時間がかかるということだった。


さて、盗賊退治の依頼はまだ残っていたので、受けることができた。

報酬が60金貨ソリドゥスとなっていたので、ゴブリン退治の3倍である。

それだけ難易度が高いということであろう。

依頼人は、この辺りの商人ギルドからであった。


ホルガーが受付の女性、レオノーレにこの依頼を受けたいという話をすると、


「実はね、すでに4日ほど前にハンスのパーティが依頼を受けて向かったんだけれどね。戻ってこないのよ」

「依頼主の商人ギルドの要請で、一刻も早く解決してほしいということで、依頼の紙を戻したところなの」

「早く解決できれば、追加報酬ボーナスも用意されているみたいよ」

とのことだった。

ちなみにハンスというのは、別の銀板シルバーの冒険者パーティのリーダーのことで、そこそこ古株にあたるらしく、実力は銀板シルバー冒険者の中でも上の方だったらしい。


俺たちは、皆で夕食を食べながら、仕事について相談することにした。


「ハンス達が戻ってこないということは、それだけ今回の依頼内容が難しいということのようだ。みんなはどう思う?」

とホルガー。


「俺たちの実力でこの依頼は厳しいんじゃないか?ハンス達ですら無理だったんだろ?」

とディルク。


「今まではそうだったかもしれないけど、今の私たちにはミライがいるわ。きっと大丈夫よ」

とテクラ。

えらい信用されたものである。

ヴォルホルムも同意する。


「ミライはどう思う?」

とホルガー。


「うーん、そうだな。相手の実力も人数も不明ということだが、たかが盗賊相手に負けることはないと思うぞ」

強気に答える。


実際、負ける要素は見当たらない。

普通の武器では、俺に傷一つつけることもできないのだから。


ただ、懸念事項もある。

ホルガー達が無傷でいられるかは別問題だからだ。ただ、テクラも回復魔法が使えるし、そもそも彼らに攻撃が及ぶ前に倒してしまえば良い。


「わかった。ミライを信じよう。皆いいか?」

ホルガーの言葉に、ディルクも同意した。


ということで、この依頼を受けることにし、追加報酬ボーナスもゲットできれば、しばらくはゆっくりできるだろうということで、今回はオフ無しで、明日の朝出発しようということになったのだった。


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