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カオスメイト ~この混沌とした学園で復讐を~  作者: カナト
帰省と共に始まる断罪
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夏祭り、終了

 こう言うのって、スルーすべきかどうか迷う。


 瑠璃ちゃんたちの下に戻ったら、円華と恵美ちゃんが戻ってきており、久実ちゃんが泣きながら花火を一緒に見れなかったことを追及していた。


 それは謝って許してもらえたみたいだけど、その後の2人の距離感が怪しい。


 いや、その前からお互いに意識しているような雰囲気はただよってたんだけどさぁ、それとはまた違うんだよ。


 2人とも、お互いが意識していることに気づいているのに、それに気づいていないようにしているのが見てとれる。


 つか、恵美ちゃんの頬がさっきからずっと少し紅いんだよな。表情も無表情から少し血が通ったように緩んでるし。


 あ~や~し~い。


 花火が終わり、あとは屋台を回るくらいしか楽しみがない。


 その屋台も、ボチボチと閉まり始め、残っているリンゴあめを買い、女子のみなさんも各々欲しい物を買ったり、遊んだりしている。


 その中でも、恵美ちゃんが射的に挑戦している近くで、円華が待機しているのが視界に入った。


 恵美ちゃんがずっと弾を外しているのを、じれったく感じているだろうことが半目の片方をピクピクと動かしているところからわかる。


「銃身が安定しない……使いづらい」


「銃の反動も計算に入れろよ。不器用だなぁ」


「うっ……うるさいし!!」


 円華が腕を組んで素っ気なく言えば、恵美ちゃんは頬を紅くして過剰に反応してプクッと膨らませる。


 そして、銃の構え方を少し変えて、銃口の近くを掴み、景品に狙いを定める。


 狙うのは、小さな熊のマスコット。


「当たれ!」


 その一言を発すると同時に引き金を引けば、銃口からコルク弾が発射し、マスコットに直撃。


 マスコットは後ろに倒れた。


「やった……!!」


「ま、まぁまぁなんじゃねぇの?」


「何それ?上から目線ムカつく。円華のくせに」


「だぁから、おまえの中で俺はどれだけ低評価なんだって……」


「…………別に、評価が低いわけじゃないし」


 一瞬だけ、恵美ちゃんの反応が遅れた。


 俺の勘が言っている。この2人、何かあったな。


 円華も恵美ちゃんも、お互いに顔を見ようとしていない。だけど、意識はしあっている。


 何、これ?中学生か、中学生の初恋かよ、こいつら!!


 すっげー、焦れったい。


 俺は溜め息をついて円華に近づけば、肩を組んでコショコショ話をする体制を作る。


「へいへい、円華く~ん?どったの?さっきから恵美ちゃんにべったりじゃん。……もしかして、ついに告ったの?」


「……はぁ?何の話だよ」


「いや、だからさぁ、恵美ちゃんに『好きだ、付き合ってくれ』って告ったのかって。おまえ、もう完全に恵美ちゃんのことを好きになってるだろ?」


 ニヤニヤ顔で小突きながら言えば、円華は何故か溜め息をつき、片手で自身の顔を押さえる。


「そんなこと、できるわけねぇだろ……」


「……はい?」


「確かに、あいつのことは大切だと思ってる。……だけど、最上には会いたいと思っている男が居るんだ。多分、最上はその男に好意を持っている。なら、大切だと思っても……好きになることは、間違ってるだろ。それに前に言ったはずだ。俺はもう恋なんてしないってな」


 そういう円華の表情は、少し悲しそうだった。こいつのそう言う顔は、初めて見た。


 そして、俺は今の円華の言葉を聞いて、心の底から叫びたい言葉を心の中で叫んだ。


 面倒くせぇなぁあ、こいつ!!!本当に面倒!!


 何?こいつの頭は何時代なの?


 好きなら好きで、それで良いじゃん!!好きな女の子に別の好きな男が居るなら、そいつから心変わりさせるような気概きがいを持てってんだ!!いつまで過去の初恋を引きずってるんだよ!!


 俺はそう言いたいが、言った瞬間に半殺しにされそうだと怖くなったため、深い溜め息をついて円華の肩から腕を離し、死んだ目を向ける。


「まぁ……どんまい」


 これが、今の俺に言える精一杯でした。


 誰か、この時代遅れの面倒な男に慈悲を与えてあげてください。



 ーーーーー

 久実side



 祭りが終わり、屋台がほとんど閉まった。


 うちらは円華っちの家に帰っていると、うちだけなのかな?円華っちと恵美っちが妙に距離を開けて歩いている。


 もう2人が一緒に歩いているところを見るのに慣れていただけに、少しでも間があることに違和感を感じてしまう。


 2人とも、喧嘩でもしたのかにゃ。


 うちは距離が近い恵美っちに寄ってみる。


 近くで見てみると、恵美っちの顔は少し紅い。


「恵美っち、どうしたの。顔が紅いぞ?熱でもあるんじゃない?」


「えっ!?……いや……何でも……ない」


 恵美っちが顔を隠すように横髪を触り、チラッと円華っちのことを見たのを、うちは見逃さなかった。


 これは、円華っちと何かあったことが丸わかりだわ。


「円華っちと何かあった?」


 興味本位で聞いてみると、恵美っちは少し紅かった顔が耳まで真っ赤になった。


 アニメ風な表現力をすると、頭から湯気が出てきているように見える。


「何も…ない!!べ、別に……円華のことなんて……全然、ちっとも……な、何とも思ってないし!!」


「恵美っち、説得力ないよ」


 よし、戻ったら洗いざらい吐かせよう。


 円華っちの家に着くと、うちら女子組と男子組は別れ、そのまま寝室に戻る。


 その時の円華っちと恵美っちの一瞬の名残惜しそうな目。


 これは、うちの予想が当たっていることを物語っているはず。


 寝室に戻れば、瑠璃っちはまだ9時だって言うのに、浴衣から着替えて欠伸あくびをすれば、すぐに布団の中に入ってしまった。


「先に休ませてもらうわ。2人とも、静かにお願いするわね」


「えー!?もう寝ちゃうの!?」


「疲れているの。もうあと30秒くらいで夢の世界に浸ると思うわ。おやすみなさい」


「瑠璃っち~、一緒にガールズトークは~?」


 ブーイングしたが、瑠璃っちは可愛い寝息をたてて寝てしまった。


 こうなったら、うち1人で恵美っちに迫るしかない!


 うちは自身の布団の上で座って、顔を紅くしてボーっと放心状態になっている恵美っちの前に座る。


 今度は逃がさない。


「め~ぐみっち、円華っちのことで何か悩んでるんでしょ?うちに話してみ?」


「……えっ、だ、だから……何も無いって言ってるじゃん。それに、何かあったって、新森には関係なーー」


「関係あるよ!恵美っちはうちのこと友達って思ってなくても、うちはもう、恵美っちのことを親友って思ってるんだから!」


 うちが恵美っちの目を見て言えば、彼女は目をそらして少し黙り込んだけど、すぐにまたうちの目を見て微笑んできた。


「新森ってお人好しだね、円華とは違う意味でバカだよ」


「バ、バカとは失礼な‼バカかもしれないけど、傷つくんだぞ‼」


「ごめんごめん。……でも、私が酷いことを言ったのに、それでも親友って……」


 恵美っちは小さく溜め息をついて肩を落とせば、はにかんで笑う。


「もう、私の負けだね。降参だよ」


「な、何の話かにゃ?」


「私も、新森のことを親友だって思ってるってこと。……昨日は、酷いこと言ってごめんね?」


「恵美っち……。わ、悪いって思ってるなら、うちは恵美っちにお願いがあります」


「え?何?いきなり……」


 うちは、うちなりに真剣な表情をすれば、恵美っちのことを見る。


「うちのこと、名前で呼んでください。親友って思っているなら、良いでしょ?」


「そ、それは……」


「良いじゃん!円華っちのことは、結構最初から名前で呼んでたじゃん!」


「ぅ~~……わかったよ、別に問題はない。久実……これで、良いんでしょ?」


「うん!親友同士なんだから、名前で呼ぶのが普通だよね!」


 うちが笑えば、恵美っちも笑ってくれた。


 よし、ここで本題に戻ろう。


「そ~れ~で~、円華っちとな~に~が、あったのかにゃ~?親友に相談してみ?」


「っ!!……久実の意地悪ぅ」


 恵美っちは若干涙目になったが、溜め息をついて全てを話してくれた。


 その中でも、円華っちが恵美っちを抱きしめたことは、流石に驚いたのだ。


「ま、まさか、円華っちがそんな大胆なことをするとはね……」


「その……別に、変な考えはしてない。円華がアメリカに居たことは聞いたから、ハグなんて挨拶代わりみたいなものって本人は認識してるだけかもしれないし。……私が円華に好意を持たれてるなんて、そんな自惚うぬぼれたことは思ってないよ」


「何でー!?円華っち、完全に恵美っちに惚れてるでしょ!?じゃないと、ハグなんてしないって、絶対に!!」


「ううん。……円華には、私以上に大切な人が居たの。私のことを大切だ、必要だって言ってくれたけど、円華の中にはまだ、その人への想いが残ってる。私が入り込む余地は無いからさ」


 悲しそうな表情をする恵美っちを見て、うちは露骨に半目になる。


 うちは今、ある言葉を叫びたい。


 恵美っち、面倒くさぁい!!


 そこは、私が忘れさせてやるってくらいの心意気でアタックしようよ!!


 どうして、そうもネガティブなの!!


 もう、うぶなの!?好きなら、もっと頑張ろうよ!!


 うちは深い溜め息をつき、恵美っちの肩に手を置く。


「恵美っち、うちは応援してるから。頑張ろうよ、うん」


「えっ……何を頑張るの?」


 この時うちは、2人のキューピッドになろうと心に決めた。

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