反撃の紅狼 後編
ー時間は45分前に遡るー
Fクラスの襲撃者を蹴散らす前に、獣は語り掛けてきた。
『力を貸してやろうか?』
これまで俺を否定してきた奴が、いきなり助力の提案をしてきた。
疑うなって言う方が変だろ。
襲撃者の攻撃をいなしながら、意識を獣の方に集中させる。
何のつもりだ?何を企んでやがる。
『企んでなんていねぇよ。ただの気まぐれだ。今のおまえの本質を、確かめたくなった。おまえなら、俺の獲物を狩ることができるのか。それを試したくなっただけだ』
前も言ってたな、獲物の匂いがどうとか……。確か、柘榴が教室に来た時だったか。
『そうだ。あの赤毛の男からは、獲物の匂いがした。奴が手にした力、それが俺様の獲物だ』
抽象的過ぎて意味わかんねぇんだけど。つまり、柘榴を倒すために協力するってことか?
『ああ、その認識で構わねぇぜ。あの男が俺様の獲物の力を使ったのなら、それに対抗するための力を貸してやる。俺様は獲物を喰らうことができ、おまえは目的を達成できる。悪くねぇ条件だろ?』
他人との関わりを否定するおまえが、人助けに協力するなんてな。
『言っただろ?俺様はただ、確かめたいだけだ。俺様の力を手にしながら、おまえはそれでも他者との繋がりを求めるのか。さっきのおまえの言葉が戯言じゃないなら、それを己の力で証明して見せろ』
正直、こいつのことはまだ信用できねぇ。
だけど、今はこいつの気まぐれに付き合うしかねぇと本能が訴えている。
……わかった、契約成立だ。俺の中で見てれば良い。必ず、恵美やEクラスの仲間を、助け出して見せる。
俺は心の中で誓いを掲げ、白華を抜刀した。
ーーーーー
ー時間は現在時刻に戻るー
柘榴は呼吸が辛くなりながらも、クッフフフと笑う。
「あべぇぇんだよ…‼」
喉を踏まれた状態でも声を発した瞬間、背後から殺気を感じて背後を見れば、3本の鎖が急速に接近してきた。
白華で3つとも弾けど、すぐに軌道修正して迫ってくる。
この鎖、防御しても攻撃を即座に再開してくる。
守りに徹していたら、押されるのは時間の問題だ。
柘榴から離れて宙に跳び、3方向から迫ってくる鎖を横に回転しながら同時に弾く。
「椿流剣術 回天‼」
強い力で薙ぎ払おうと、鎖は怯むことなく迫ってくる。
っ、今のは叩き斬るつもりで振ったんだけどな。
頑丈な鎖だ。
「クッフフフ。今の状況で俺の息の根を止めなかったのが、運の尽きだぜ‼おまえは、この鎖の猛攻から逃げられない‼途絶えることのない攻撃に体力を消耗され、毒刃を受けるのも時間の問題だぁ‼」
内海のあの状態から、毒を受ける危険性は把握できた。
かと言って、このまま3本の鎖を避けきることができるかと言われれば、それは無理だろ。
鎖の動きは、俺の動きに対応するように段々と速くなっている。
柘榴はこの状況で、まだ自分に勝てる可能性があると思っていることだろう。
それに対して俺は白華を床に刺し、小さくこう呟いた。
「ありがとな、柘榴。おまえが諦めないおかげで、俺は全力を試せる…‼」
この前のジョーカー戦の時を思い出す。
あの時の感覚は、まだ覚えている。
左目で今の鎖の動きを、右目でその先の動きを捉える。
そして、左右から迫ってくる2本の鎖を、毒刃が触れる直前で同時に掴んで止めた。
「何だと…!?」
「あっぶね……けど、これで良い」
掴んだ部分から紅氷が鎖をピキピキピキっと高速で侵食していき、粉砕する。
そして、後ろ足を蹴って残りの1本は自分から接近し、掴んで氷らせると同時に一周振り回してぶん投げる。
「ぶぐるぁあああああああああ‼‼‼」
壁に身体を叩きつけるが、奴は立ち上がっては腰をかがめて拳を握る。
「……クフッ、クフフフッ。俺のことを眼中に無いって言いながら、散々痛めつけてくれるじゃねぇか。そんなに俺が許せないか?それとも、怒りを抱いている振りをしてるのかぁ?人間の真似事をするのも大変だなぁ…怪物が」
「言ってろよ。おまえの武器は3本とも破壊した。正直、もう勝てると思ってねぇだろ?それでも、まだ戦うつもりか?」
「逆に聞いてやる。この程度で、俺が負けを認めると思ってたのかよぉ‼」
鎧の効果か、おぼつかない足取りから態勢を立て直し、向かってくる柘榴。
良いぜ、まだやるって言うなら望むところだ。
こっちも両手で拳を作って前に出し、格闘戦の構えを取る。
「うらぁあ‼」
右脚の振り上げる回し蹴りが顔面に迫るが、それを敢えて俺は動かずに左腕のガードだけで止める。
「おまえを潰すために、俺は今日まで生きてきた‼おまえに、俺と同じ絶望を味合わせるためになぁ‼」
ガードされた時には次の動きに移っており、身体を空中で半回転させては右拳を振り下ろしてくる。
その一撃を兜で受け止めるが、顔が横に微動する程度のダメージしかない。
「……だから?」
拳を受けたまま、俺はマスク越しに冷徹な目を向けて問いかける。
それに対して、「っ!?」と息を飲む声が聞こえたが、攻撃は止まらない。
地面に着地し、狼のマスクに両腕の拳を何度も当ててくる。
カキンっカキンっと金属がぶつかる鈍い音が、教室に広がる。
「絶対に!潰す!壊す!おまえだけは!俺の手で‼そう、決めたんだよ‼」
奴は今、認めたくない現実に直面している。
柘榴の振るう拳は、まるで俺に効いてない。
軽いんだ。
復讐を口にする割には、その相手に向ける、こいつの拳には重みが無い。
だから、回避する必要性を感じない。
「どうした!?突っ立ってるだけなら、ただの的だ‼俺に負けを、認めさせるんじゃなかったのか!?あぁ‼」
罵声を浴びせてくるが、俺には何も響かない。
柘榴もバカじゃない。
この状況で、どっちが優位に立っているかは理解しているはずだ。
それなのに、無意味な攻撃を続ける。
30発ほど受けた所で、俺は左拳を右手で手首を握ることで止める。
「もう良い。……もう、良いだろ…」
奴の左腕を壁に押し当て、そのまま氷らせて固定する。
「うぐっ‼まだだぁ‼」
残った右拳を振るってくるが、こっちも殴られ疲れたため、左手で受け止めてはそのまま握り潰す。
「ぐるぁあああああああ‼‼」
骨が砕ける音が連続で鳴り続け、右手から力が抜けていった。
左手は固定し、右手は今壊した。
それでも、柘榴の目から俺への敵対心は消えていない。
「クッ…フフ、やってくれるぜ。おまえ、これで終わったと思ってんのか?」
「これだけされて、形勢逆転はありえねぇだろ」
「確かに、もう身体は使い物にならねぇなぁ。だが、化け物にも心が存在するって言うなら、力以外にも恐怖を与える方法はある」
身体が壊されようとも、まだあいつには残っている手があるようだ。
「なぁ、俺に嵌められ、久しぶりに人を殺した気分はどうだった?懐かしかっただろ。自分が人殺ししかできない化け物だって、再確認できただろ?人間の皮を被って、温い学園生活を送っていたのが、退屈でしかたなかったんじゃねぇのか?なぁ‼」
柘榴は顔を突き出し、俺と仮面越しに目を合わせようとする。
「Eクラスの雑魚どものことは、本当は見捨てたかっただろ?最上恵美のことも、復讐のための駒としか思ってなかったはずだぁ。おまえに、誰かを助けたいなんて感情があるはずが無い。命令があれば、誰であろうと、何十、何百、何千と命を奪ってきたおまえに今更、人間らしい感覚があるはずねぇもんなぁ‼……ぶぐっ‼」
俺は無言で、奴の腹部に右拳を叩きこんだ。
「クッフフ……図星を突かれたからって、動揺すんなよ。どうせ、俺のことも殺すつもりだったんだろ?怒ってるように見せたいんだろ?許せないって思いたいんだろ!?だったら…‼難しいことはねぇ。さっさとやれよ。赤雪姫の2代目を継いだおまえなら、簡単なことだろ?」
次は、左手の拳で顔面を殴る。
「ばぐはぁ‼……フッ、俺が身動きできないようにして、ジワジワと殴り殺すつもりか?悪趣味だなぁ、おい。周りに誰も居なければ、化け物の本性を現しやがる。その意味の分からねぇ獣の姿は、おまえの身を守る鎧じゃねぇ。おまえの本当の姿だ―――がはぁっ‼」
今度は、右手に持っている白華で蠍の鎧に斬り付ける。
それも一振りだけじゃない。
「がぐっ‼ぶはっ‼あがっ‼がっ‼ぐるぁ‼あぐっ‼いがっ‼ぶっ‼ぎぁ‼ぐるふぁ‼」
連続で白華を叩きつけ、最後にヴァナルガンドの力を紅の刃に流し込み、牙のように連なっていく。
そして……。
「椿流剣術……氷牙・十紋刃‼」
兜に向かって横に強く振るって刃を叩きつけ、上段構えから縦に振り下ろす。
「がぶふっ‼ぎぁはぁああああああああ‼‼」
柘榴が今までで最も悲痛な叫び声を上げれば、ダメージが限界を超えたのか、邪蠍装の変身をやっと解除することに成功した。
「……ふうぅ、やっと邪魔な外皮を取ることができた。意外と疲れんな、これ」
今の行動だけで、わかったことは1つ。
拳を叩きこんだり、白華の刃をぶつけても、この鎧は氷って砕けることは無かった。
ナイトドローンの時のようにはいかなかった。
ヴァナルガンドの力で砕けるのは、今の変な鎧の場合は武器だけってことか。
変身を解除されれば、柘榴は腰を丸めて力が抜けながらも、憎悪の目を向けてくる。
そして、俺は今まで奴が言っていた言葉を対して、陽気に返してやった。
「あー、悪い。聞く気なかったから、おまえの話は全然頭に入ってねぇわ」
「っ!?」
力で敵わないなら、言葉で恐怖を与えようとする。
柘榴に残された一手は、それしか無かった。
まぁ、こっちは「どうしたら、この邪魔な鎧を剥がせるのか」を考えるのに集中していたから何も聞こえてない。
邪蠍装が解除されれば、俺の方もヴァナルガンドの鎧が勝手に解除された。
おい、本当に気まぐれだな。
多分、柘榴の鎧が剥がれたことで、興味が無くなったってとこか。
「柘榴……おまえの言葉、1つだけ訂正するぜ。大前提として、俺はおまえに対しては何の怒りも抱いてねぇよ」
「んなっ!?……何を、ほざいてやがる?だったら、今の戦いは何だったってんだ!?おまえは、俺が許せないから、俺と戦ったんじゃねぇのかよ!?強がってんじゃねぇぞ‼」
「……おまえ、本当に理解できてねぇな。言っただろ?これはただの八つ当たりだって」
大体、今のは勝負にすらなって無かったことに、こいつは気づいていない。
「散々痛めつけたからって、おまえに怒りを感じているなんて誰が決めた?」
俺の問いに、柘榴は目を見開いては額に青筋を立てる。
「何…だ…とぉ…‼」
理解できないのも無理はない。
俺は元から、こいつのことは敵ではあっても、復讐のために泳がせていた餌という認識しか持っていなかったのだから。
「夏休みの記憶泥棒事件、2学期の仮面舞踏会、体育祭……これまで、おまえを潰そうと思えば、すぐにでも行動に移すことはできた。おまえは、俺にとってはその程度の認識しか持たれてなかったってことだ」
「後だしの強がりを吐いてんじゃねぇぞ!?大体、それが本当なら……何故、俺をすぐに潰さなかった!?俺がおまえを潰そうとしていたことは、わかっていたはずだぁ‼」
納得できないのも無理はない。
良いだろう、ここらで種明かしをするか。
「記憶泥棒事件の時から、おまえの動向を観察することは決めていた。メモリーライトを手にしていたこともそうだし、恵美の話でポーカーズが現れたことは知っていたからな。おまえとポーカーズに何かしらの関係があると睨んで、今は手を出さないでおこうと思った」
まぁ、あの時、岸野に止められなかったら、ガチで殴り込みに行くつもりだったのは確かだけどな。
「おまえとポーカーズの繋がりについて確信を持ったのは、体育祭の時だ。おまえは俺を追いつめるために、ポーカーズの力を借りたんだろ?各種目の攻略方法を事前に知り、木島との取引を実現させるために各団の編成に介入させた。そんな大がかりなことができる奴が、組織の末端の構成員でできるとは思えねぇ。幹部レベルのポーカーズが動かしたのは疑うまでもない」
ポーカーズと関係があるという確証は得られた。
そして、そこからが肝心だ。
「どうして、俺があの時、おまえに止めを刺さなかったと思う?それも、次で最後だってチャンスも与えている……おかしいと思わなかったのかよ?」
いや、聞くだけ無駄か。
そう思わなかったから、今のこの状況なんだ。
「それは、おまえが最後の勝負で確実に俺を倒すために、ポーカーズの力を最大限活用すると踏んでいたからだ。組織が介入すればするだけ、奴らは俺の前に顔を出しやすくなる。それだけ、奴らに復讐するチャンスが生まれる。討つことはできなくても、俺の知りたい情報が出てくるかもしれない。……おまえを叩くのは、その後でも良かったんだ」
これまでの俺の思惑を明かせば、柘榴は足から崩れていき、目を泳がせる。
「ま、まさか……俺は……おまえに、泳がされてたって…言うのかぁ!?」
「気づくのが遅ぇんだよ。だけど、そのおかげでジョーカーの余裕な態度を崩すことはできた。その点だけは感謝してやるよ。……それでも」
白華を床に突き刺し、地面に落ちていた恵美のレールガンを拾って銃口を向ける。
その距離は、50cm。
「俺の仲間を危険に追いやった罪は、その身で償ってもらわねぇとな。そのけじめをつけるために、ここに来たんだ」
冷徹な目で柘榴を見下ろし、引き金に人差し指をかけた。
「八つ当たり……再開だ」
バギュ―――――ッ‼
「ぐるぁあああああああ‼」
1度だけでなく、2度、3度と人差指で引き続ける。
「がぁあああ‼…ぎゃぁああああああ‼‼」
脱力状態の身体に電撃を浴びながら、柘榴は左手を固定されているため倒れることもできず、身体を仰け反らせながら目を見開き、悲鳴をあげる。
そんな姿を見ながら、俺は引き金を引く指を止めない。
「うぐるぅうう‼ぐぁああ‼はぎゅぃいい‼ぎがぁあ‼あがぁああ‼がぐぁああああ‼」
何度も何度も引き金を引き続け、教室の中に何度も柘榴の悲鳴が響く。
こいつは、多くの人間を苦しめた。
「ぐるぁああ‼がはぇああああ‼」
Eクラスのみんなだけじゃない。
「ぎゃぁあああ‼ふぐぅううう‼」
俺を追いつめるためだけに、Fクラスの奴らも利用した。
「がるぁああああ‼ぎぃやぁあああ‼」
俺に復讐するためだけに、人間としての一線を越えた。
「はがぁああ‼」
それは、許されざる行為だ。
「いぎゃぁあああ‼」
だけど、その原因を作ったのは俺だ。
断罪する権利なんてないのかもしれない。
それでも、けじめをつけるなら俺の手で。
それが、今まで苦しめられた者たちへの償いだ。
もう何度電撃を浴びせたかわからない。
いつの間にかスマホのバッテリーが切れており、引き金を引いても電撃は飛ばなくなっていた。
左手を上げたまま、柘榴は全体的に焦げており、身体を支えることができずに項垂れている。
「……つ…ぶし……て……や…ぅ……お…ま…ぇ…ぉ…。おま…え……の……すべ……て、を……おれの……手でぇ…!!」
気を失う寸前になりながらも、俺への敵意はまだ消えていない。
その執念だけは、肯定はできないけど敬意を表するには値する。
だから、最後の仕上げに移る。
レールガンの持ち手で紅氷を砕いて解放すれば、柘榴はうつ伏せに倒れる。
そして、こんな状態になっても笑みは絶えない。
「ククッ……クフフフフッ…‼椿…椿よぉ。おまえ、楽しんでるだろ!?人を傷つけることを、何とも思っていないって奴の面だぜ!?俺の考えは間違ってなかった‼おまえの本質は、否定しようも無い化け物だ‼」
俺を見上げながら、狂ったように笑いながら言う柘榴。
もはや、この状態だと頭のネジが1、2本外れているとしか思えねぇな。
心底呆れ、怒りを通り越して気持ちが冷める。
蒼と紅の瞳から光が消え、冷めた目で愚者を見下ろす。
「俺が化け物であることを否定してるなんて、誰が決めた?」
予想外の言葉だったのか、柘榴は表情が青ざめた。
「こんな化け物の力でも、あいつらを守るためだったら、喜んで振るってやる。善人でも悪人でも…ぶっ倒す‼」
俺は自分が普通じゃないことを認めている。
そして、それを受け入れた上で信じてくれる大切な存在が居る。
俺を理解して、支えてくれる仲間が居る。
もう、誰からも理解されない、孤独な忌み子じゃない。
もう、姉さん1人居てくれれば良いと思う大量殺戮兵器、隻眼の赤雪姫でもない。
俺は才王学園1年Eクラスの、椿円華だ。
奴に背中を向け、最後まで意識は奪わずにそのまま教室の出口に向かって足を進める。
「八つ当たりは、これで勘弁してやる」
これだけ痛めつけながら、止めすら刺そうとしない。
それほどまでに、自分は敵として認識されていない。
その事実が、柘榴の怒りをこれまでにないほどに増幅させる。
「ふぅぅうう……うぅぅぅうっ‼つぅばぁきぃいいいいいい‼‼‼」
柘榴はもうボロボロの状態になりながら、床に刺さっていた白華の柄を握り、俺に向かって刀を振るう。
白華の刃が俺の背中に迫り、斬りつけようとする。
しかし、その瞬間―――。
パリ――――ンっ‼
白華の刃は砕けた。
残念だったな、柘榴。
白華は俺の愛刀であり専用武器。
使用者以外が柄を握れば、その刃は自壊するようになっている。
そして、そのタイミングで俺は後ろを振り返り、柘榴の顔面を掴んでは頭を床に強く叩きつけた。
「んぐふぁ‼」
指と指の間から、俺は奴と目を合わせて言った。
「るっせぇよ」
その目に映っていた蒼紅の瞳は、どこまでも冷たかった。
奴の目には、俺の目を通して何が見えているのか。
身体をビクッと痙攣させ、一瞬目を見開いた。
「そ……ぅ…じ…」
今にも消えそうな声でそう呟く柘榴の右目からは、一粒の涙が零れ落ちた。
そして、意識を失う直前、奴の顔は感情を失い、閉じられる目は絶望一色に染まっていた。
円華VS柘榴、決着‼
円華くん、容赦ねぇえええええ‼‼
感想、評価、ブックマーク登録、いつもありがとうございます‼




