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Snow Drop  作者: 藤岡ななみ
3/3

初恋

相変わらず人との距離の取り方がわからない。

同級生となにを話していいのかわからない。

次第に私は「無口な人」「付き合いにくい人」というレッテルを張られてしまった。


そんな私も中学生になった。


入学式の日、教室でたまたま私の前の席に座っていた ”容子ちゃん”が話しかけてきた。

容子ちゃんはとても優しく頭の良い静かな子だった。

静かな人同士気が合ったのか、私たちは友達になった。

「ラジオの”基礎英語”聞いてる?」と容子ちゃんが言うので私も基礎英語を聞くようになり、

「吹奏楽部に入らない?」と容子ちゃんが言うので私も吹奏楽部に入った。

音楽は元々好きだったので、吹奏楽部は楽しかった。

何より容子ちゃんという友達ができたことが嬉しくて毎日が楽しかった。


このまま容子ちゃんと友達でいられたなら、大げさではなく私の人生は変わっていたかもしれない。

しかし容子ちゃんはお父さんの転勤により、東京へ転校してしまった。




吹奏楽部はやめずに続けた。

理由は単純に楽しかったから。

容子ちゃんのいない吹奏楽部に友達はいなかったけれど、一人一人の音色で1つの曲を作り上げる吹奏楽はとても楽しかった。



恵美子ちゃんという父子家庭の子と一緒にいるようになった。

恵美子ちゃんはいじめを受けていた。


私のサボり癖はどうなったかというと、まだ続いていた。

容子ちゃんが転校してから恵美子ちゃんと保健室に頻繁に通うようになった。

偶然にも小学校の時の保健の先生が人事移動により中学校に赴任して来ていて、なんだか気まずかった。


そんな私が進君という男子に初めて告白された。

進君は一つ上の先輩で、実は私はその先輩の友達が好きだったのだが、そちらは脈なしとみて告白を受けた。

初めて男子と付き合った。

「好きと言われたら好きになってしまう」これは後々私の人生に大きく関わってくる私の特性である。


公園で初めてキスした。公園でのキスはお互い照れてしまって、いかにも中学生同士のキスだった。

両親公認で付き合っていた私たちは、夕方進君の部屋でよくキスしていた。子供のキスは公園での一度だけで、進君の部屋でのキスは大人のキスだった。

なんだか声が漏れそうな快感を覚えた。


そんな二人がお互いに初めてのセックスをするのにそんなに時間はかからなかった。

「ななみを絶対離さないから」と言われて、私も14才のクソガキのくせに「私、大人になったらこの人と結婚するんだな」と思っていた。


私のサボり癖は収まって、保健の先生に「ななみちゃんは恋のパワーで元気になったわね~」と言われた。

余計なお世話である。


タバコを吸うことを覚えたのもこの頃である。多分進君と付き合わなければタバコなんて吸わなかったんじゃないかと思う。


二人にザワザワと波風が立ち始めたのは、進君の高校進学の時である。

私たちの中学校では、大体の生徒が県立の進学校か、市立の商業高校に分かれて進学する。

進君は市立の商業高校を受験し合格した。

私も進君と同じ学校に行きたかったが、ここで母の横やりが入ることになる。

私はコミュニケーション障害のくせに成績が良かった。

なので、母は県立の進学校に行かせたかったのだ。


三者面談の時期になると、担任と母親に進学校に行くように説得された。

二人に説得されるのはどうにも分が悪く、私は反論せず、のらりくらりとかわして三者面談を終わらせてその後、勉強するのをやめた。


不思議なことにどういう経緯で私の進学問題が解決したのか、全く覚えていないが私は進君と同じ市立の商業高校に進学した。

実は進学校に入れたもののお金がなくて大学に行かせられないからというオチかもしれない。








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