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6.俺はおまえを名誉既存で訴える

 その後議論が何回か川流れしてると悪口は閉じられた。

 ディークは手と膝を地について項垂れていたが類似でいえば土下座と同等の敗北感与えられたのでこのまま放置(正義)


 すると最後の盾のように視界の端っこのほうにいたゲイルがやって来るが

 他のとはどうにも様子は違って


「私はやめた方がいいと止めていたが彼らの暴走を止めることが出来なかった。

 すまないなソラウィンケ。迷惑をかけた」


 とどちらを責めるでも庇うでもないコウモリ発言。

 次々と倒されていく仲間のいう悪口が受け流されると敵であるはずなのに潜在能力の桁違いの才能に諦め表情であった。

 ゲイルはこの騒ぎのどっちについてもヤバいと感じたのだろう

 やはり家の今後を握るものとなるとリスク管理に鋭敏なんだがなら何故にゲイルは今日までニーシャに靡いていたかという謎は疑問のままだった。


 あとはどうニーシャに痛い目あわせてやろうかと魔力が牙剥いて溢れるのを押さえてニーシャをヒト睨みすると弟のブルーは恐れおののく悲鳴をあげるのだがニーシャはウソ泣きの構えのままそれほどビビってるようには見えない。

 まだここからどうにかする気かもしれない。

 一歩二歩とそちらに歩み寄ろうとするとここまで結構ダンマリの時間が多かったニーシャは台本でも読むようにとつじょ口を開いた。


「私はただただ悲しいです。

 サンノイア王国では未だ虐げられた平民は泣き寝入りするしかない、そんな悲しい国なのですね」


 何を言うかと思ったらニーシャは時すでに結論でてる話題を掘り返してきた。

 こいつは頭が悪すぎるな、と思ったがここまで伏せてた顔あげて涙ツーッと垂らす高等技術とのあわせ技の発言だから感情に訴えてギャラリー味方につけるつもりかもしれない。

 ニーシャは舞台に立つ一級役者のように貴族と平民の差は是正されねばならないとでも言いたそうな話を主要ギャラリー・貴族の前で朗々と語り続ける。

 おまえ学園生活ではどちかというと天真爛漫でこんなベラベラ自説を語るタイプじゃなかったしイキナリにサファエアに牙剥くのも態度違ったと思うんだが。


 さっきも俺とディークとの論破バトルを面倒そうな顔で見てたし

 急にふられた質問にすっとぼけた答えを返したと思ったら

 激しい怒りをぶつけられてウソ泣きするし

 今は初めから決めてたみたいなことを凛としてるし

 なんかコロコロ回転しながら変わる続ける態度に次は何してくるか予想がつかない。


「サファエアさんは言いました。

 証拠がなければ罪は裁けないと。


 そう、疑わしきは罰せず。


 でもね。

 有るんですよ。

 証拠は。


 流石に、今この場にはありませんが」


「なんだと」


 俺は言葉を疑った。

 ディークもうつむいてた頭をあげるしどよどよとギャラリーもざわめく。

 それが事実とするとここまで「証拠がないから無効」にしてきた俺の論破はひじょうにまずいことになる。

 だけど俺は俺の有罪の証拠などそもそもの罪がないからあるわけがないんだが……


 ないものを出すということは証拠を捏造するということになる。

 俺が気付かなかっただけの隠れた証拠?

 俺に身に覚えがないんだから仮にあっても「大した証拠じゃありませんでした」程度だろ


 俺には突きつけられた全てのいいがかりが嘘だとわかっているし出てくる証拠をねつ造をまず見破れると自負がある。


 けど客観的な第三者の意見にならないから

 いますぐ出せないが持っている

 とかいう証拠の有無に関して俺が反論してもムダ。


 少なくとも「証拠があるなら見せてみろ」という流れになるし新たな証拠と付き合わせて話をするのは想像に容易なのだが……まずいぞ


「おまえまさか……」


「ですから一度、仕切り直しましょう。

 日を改めて、場を改めて、サファエアさんが表向きは立派な淑女でも、裏では悪徳令嬢だったと証明してみせます。

 私は逃げも隠れもしません。

 学園の皆様、本日はこのような晴れがましい場で見苦しくお騒がせしてしまい申し訳ありませんでした」


 ニーシャは言いたいことだけ言うと舞台で演目終わった後の歌姫みたいに俺の方以外に深々と頭を下げる。


 この場の仕切り直しを許すわけにいかない。


 少なくともダンスホールでどやかましい騒ぎを起こしただけでも貴族的なダメージは深刻な噂になるというに(しかもサファエアは言葉の暴力でノックダウンしたのち後とつじょ普段と言動が豹変したふうに見えてると思う)話の流れ的に俺が不利なってるまま中断したら収集つかなくなる。

 少なくともこの場で噂がいっきに悪に傾くだろうな。

 そしてなにより。

 仕切り直しの場で、俺がサファエアの代わりにいられると限らない。 

 俺はいつでもサファエアの味方だが次にいつ目を覚ますかも精神的に重症だし寝てる間にどんな捏造情報だされて世論とられるかと思うと気がヒュンヒュンする。

 人の意見に流される者ばかりなので本人の意見が遅れると捏造で好き放題叩かれまくられて最悪の最悪を想定すると貴族の地位にいれないどころか社会生活も危ういだろ。



 あるひ目が覚めたら世間から悪徳令嬢と呼ばれてました?

 想像すれば簡単に思い浮かぶ運命にサファエアを黙ってさしだすわけにいかない。

 言っとくけど俺は悪徳令嬢じゃないから。あんまりひつこいとバラバラに引き裂くぞ!



 ニーシャは晴れ舞台をおりるように歩いてホールから逃げ出そうとしてたから俺が逃がすかとばかりにニーシャに迫ろうとすると影の薄いゲイルに肩を掴まれインターセプトされた。


「そこまでだケルウィンケ!

 気持ちはわからんでもないが今日はこれで手仕舞いにしておきなさい。

 ケルウィンケの無実が真であれば、後日出された証拠の品の疑わしきを暴けばよいではないか」


 こいつ地味なポジション取りしてポイント稼ぐ姑息な奴だな。

 他人の嫌いの量をできるだけ減らして好きの上昇のはばも小さいけど地道にアッピルの典型だな今の俺には天敵だけどええかっこしいだった。


「うるさい黙れ。世間の後日に俺はないだろうな。

 だから今日中にケッチャコをつける」


 俺はゲイルを振り払うのはあきらめた。

 男と女の腕力の違いは魔力で補えるとしても目に見えるダメージを出してしまえばギャラリーの印象は最低下落し問答無用の悪者になってしまう。


 だから俺は今にもホールから出ていきそうなニーシャに向かって叫んだ。


「逃げるな雑魚ビビってるバレてるからな!

 聞けニーシャ・チートリア!

 俺はおまえを名誉既存で訴える!」

2016/9/10加筆修正

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