山の章1「航海」
オリジナルストーリーです。是非お楽しみください
これは、ニフカスが日本を支配する少し前の話。
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ニフカスが日本を支配する前から霜月同盟はあった。
別にただ目的があって集まったわけではない。
平和な世を共に謳歌する者の集いのようなもので、そのころはまだ「霜月同盟」という名前でもなかった。
では、組織の名前はなんだったか?
実は名前すら無かった。
加盟者(当時の彼らに言わせるなら、“メンバー”)達は旧霜月同盟のことを呼ぶときは「うち」「ここ」などと呼んでいた。
基地も地下ではなく、とある山奥に大きな小屋(大きいのやら小さいのやら)を建て、そこを基地としていた。
自然たっぷりの場所が好きなのは皆共通であった。
もちろん組織の存在は秘密。
ー太平洋のとある場所ー
一部のメンバーは、とある目的から船で太平洋を航海していた。
乗っているのはリーダーのグレデラ。
そして狙撃手のカリメロ。
見張り役のアルラ。
変態の諫治。
コックのスマイル。
お子ラン野郎ブラック。
釣り人えいく。
そして肝心な航海士は居ない。
海へ出るにも関わらずこれほど無計画な組織はなかなかない。
釣り糸を垂らしてのほほんとしながらえいくが言う。
えいく「予定のとこまだですか?」
ブラック「俺に訊くな」
えいく「あなたに訊いてないです自意識過剰乙です」
グレデラ「あるはずだとは思うがな」
諫治「根拠は?」
グレデラ「無い」
諫治「さっすがアニキ!」
二人「ダッハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
こんな感じでこいつらは太平洋のただ中で漫才をやるほどのバカである。
その頃アルラはマストの上でとあるプリントを読んでいた。
アルラ「フムフム…“フリメールの使徒”か…」
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「フリメールの使徒」
世界には、この伝説が多く残されている。
中でも有名なのが、「Mountains,Rains and Villages are saved by them」という文書である。イギリスで発見されたこの文書、執筆者も執筆年も不明。
しかし、発見された20世紀初頭以降起こった摩訶不思議な出来事からこの文書が一躍有名になったのは言うまでもない。
例を紹介する。
19××年、紛争中だったA国、B国の国境付近を流れる河に何故かそこにだけ雨が降り続けた。結果その河は反乱を起こし、両国は戦争が出来ない状態になったが、死傷者は一人とて出なかったという。
19××年、とある国の火山が噴火し、国民は避難を余儀なくされた。しかし、そのままゼロ海抜地帯へと流れ出ると思われていた火砕流は、突如不自然に動きを止めたという。
19××年、とある国の農村で、熊に襲われた少年が居た。少年は死んだふりをするのも忘れ必死で逃げるも追いつかれ、熊に二の腕を掴まれた時点で気を失った。少年が目を覚ますと、そこには血と肉のかたまりと成り果てた熊の死体があったという。
~山と雨と村の守り神の話~
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アルラ「そして、こっちのプリントは…」
アルラはもう一枚のプリントを取り出した。
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「研究結果」
クロナさんと研究してたこの伝承の一部の新情報がわかったので報告します。私達は山にまつわる超常現象が起きてきた年と場所に注目して、ある規則性を見出だしました。もしフリメールの使徒が存在するのなら、きっと彼(あるいは彼女)はこう進むでしょう。
海図を書きました。頑張って探してみてください。
まりり
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そのプリントには海図がそえられていた。
アルラは航海士ではないが、海へ出るものの最低条件として流石に海図は読める。
アルラ「こう進めばあと少しね…皆さん、あと少しですよ~。奥に島が見えます!」
ニトリ「お、マジか!」
アルラ「数百キロ先に」
ニトリ「見えるか!!!」
山の章をしばらく続けるか、雨の章、村の章と同時に進めるか悩んでます。