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ギルド長

視点切り替えが上手く表現出来なくて、書くのに時間がかかってしまいました。


何かおかしな点があったら感想でもなんでもいいので教えてくれると嬉しいです。

エステル・アマネ視点


「ちょっと、なんでまた私達のギルドの依頼が、不足依頼とランク無しだけなんですか!」


「私"達"? 所属ギルド員がギルド長のエステル・アマネ、君しかいないのに達ですか?」


 そう、ほくそ笑んでいる男に、思わず魔術をぶち込みそうになるのを何とか我慢する。


「それでもっ! 不足依頼のみだと冒険者だって来てくれません」


「それは、私の責任ではありませんな、だいいち依頼を回してあげてるんですよ? 感謝こそされ文句言われる筋合いはありませんが?」


「感謝ですって? アンタがっ!」


 こんなとこで言ってもしょうがない、どうせ言い逃れられるだけだし、クソクソなんでこんな奴にっ!


「まぁまぁ、分かってくれたならいいんですよ、あなた一人じゃ大変でしょうし、また罰を犯したものをうちのギルドからも送りますよ」


 そのニヤついてる顔を今すぐ恐怖に沈めてやりたい、でも今は我慢するしかない。

 大体、罰を犯したものがまともに依頼を受けるわけが無い、簡単な不足依頼がある時はいいが、大体が不正報告など問題ばかり起こして帰っていく。


「いえ、応援は結構です」


「おや? 大丈夫なのですか、あなた一人で?」


「烈火ギルド、ギルド長エステル・アマネが、責任を持って処理しておきます」


「フフ、そうですか、では私には何の問題もありませんよ。

 じゃあ頼みましたよ。"劣化"ギルドさん」


 今の私には、あの無駄に豪華なローブを羽織った背中を睨み付けることしかできなかった。


「ハァ……」


 潮時かな、正直私一人じゃ処理しきれないし、烈火ギルドが取り潰しになるのも時間の問題だろう。

 あの男のせいで……

 ううん! クヨクヨなんてしてられない、あんな男に負けてたまるもんですか。

 最後まで足掻いてやる。

 そう決意を胸に顔を上げると、いつの間にかローブを深く被った男の子が1人立っていた。

 私のギルドなんかに何の用だろう? 冷やかし、それともまたあの男が何か企んでる?


「ようこそ、烈火ギルドへ、初めての方ですか?」


 もしかしたら、冒険者の人かもしれない。

 笑顔だ笑顔。


「はい、1日暮らせる1人で出来る仕事を下さい」


 嘘! 本当に冒険者!?

 これはチャンスだ、この子が登録してランクをとってくれたら、正式に国に依頼を申請出来る。

 そうなったら、こんな不足依頼叩き返してやる。

 でもなかなかサインを書いてくれない……


「ここの枠にお願いします」


 まさか、あの男が私をからかう為だけに送り込んだんじゃ、でもそれにしては本当に困ってるようだし、顔は見えないけど。


「だ、代筆はありますか?」


 なんだ文字が書けなかっただけなのか、良かった。

 あれ? 代筆の説明したらまた黙ってしまった。

 どうしたんだろう? もしかして、お金が無かったとか……やっちゃった、今はお金なんかいらないのに登録してくれるだけでいいのに。

 今回はサービスってことでタダにしよう。


「あ、あの?」



「やっぱり、自分で書くんで代筆はいいです」


 え? いいの? じゃあ何を悩んでたんだろう。

 そんなことを考えていると、目の前に置いていたペンが宙に浮いた。

 その宙に浮いたペンは登録用紙に名前を書き出した。

 は……? えっ!? この子何をしているの!? 魔術? でも術式は組んで無かったし……

 キリガヤ ハヤト、聞いたこと無い名前、風の魔術師か何かだろうか。

 戦闘スタイルは魔術師だろうし、戦闘テストの時見極めれば問題無いかな。


「えっと、じゃあ魔法使いで」


 マホウツカイ、聞いたこと無いはずだよね。

 自分の記憶を漁ったがそんな戦闘スタイルは聞いたこと無い。

 これは是非戦闘テストを受けてもらわないと。

 そう思って彼に戦闘試験を進めるが、


「ちょ、あ、あのすみません、その戦闘テストは絶対に受けないといけないですか?」


 戦闘テスト受けないの?? それじゃ、マホウツカイの力以前に依頼申請が……

 ああ、ランク無しで登録完了しちゃったよ。

 でも、やっとギルド員が増えたんだし、これからこっから。

 そして、話の流れで不足依頼を紹介することになったけど、アイツ……難しい依頼しか持って来てない。

 一応その中でも1番簡単な依頼を取り出す。

 ゴブリン討伐か、無理だよね。

 一体ならまだしも、五体討伐、AAAランクパーティーが挑む難易度だよ。

 それを、1番初級のAランクにもなって無いランク無しの子、しかもソロに紹介するなんて、多分これで見限られたかな……他のギルドに行くよね、また1人か……


「これで! これでお願いします」


 やっぱり無理……はぁ???

 もしかしてこの子実践経験が無いんじゃ、じゃないとゴブリン討伐なんてソロで挑もうなんて命知らずするわけないし、ちゃんと無事に帰って来てくれたらいいけど、ん? なんかずっと私の後ろ見つめてるけど、なんかあったっけ?

 そう思って後ろに一瞬視線を向けて視線を戻すと、


「い、いない?」


 これが魔法使いの力なのだろうか、私が姿を一瞬で消してしまうなんて。




次の日



 あの子大丈夫かな……

 ゴブリンを見て無理だと思って帰って来てくれたらいいけど。

 そのまま逃げて帰って来たとしても今日か明日ぐらいか。


「はぁ...」


 なんかため息が癖になりそう、クヨクヨしてても仕方ないし、さぁあの子が帰って来ると信じて仕事仕事……


「依頼達成して来ましたよ」


 ビックリした、急に目の前にいるんだもん。

 ってか、え?……は?……達成???


「…………」


 本当に達成してる。

 こうなると、あの男が送り込んだ奴という線が濃厚になってくる。

 でも、送り込んだとして奴の狙いはなんだろう。

 んー全然思いつかない、大体不足依頼を達成してくれるのは正直ありがたいし。

 もしかして、マホウツカイの力が凄いのだろうか? でもそんなに強いなら私のギルドに来る意味がわからない。

 ゴブリン五体討伐何てソロならSSランクぐらいだろうか。

 AAAランクの一つ上のSランクでも厳しいだろうし、



「あのぉ〜……」


 本人に聞いてみようか。


「本当に達成されたんですか……?」


「えっとはい……」


 ってかローブそんなに深く被られたら嘘かも分かんないし、私にもギルティがあれば。


「差し支えなければ、どのように倒したかお聞きしてもよろしいでしょうか?」


「どの様にって……魔法でドーンってして、倒れたゴブリンを魔法でバスーンって感じです」



 子供か!! もっと何一つ理解できんわっ! 気になる、魔法ってのが何かとっても気になる。

 色々質問するがノラリクラリとかわされてしまう。



 言葉で追い詰めているとやっとマホウツカイについて、一言だけ話してくれた。



「んっと、魔術に出来ない事をするのが魔法です」



「魔術を超える……」


 これ以上は話してくれないだろうな、じゃあこの目で確かめてみるしかない。


「じゃあ、この町から1番近い依頼をお願いします」


 凄い依頼の選び方……でも、ゴブリン五体を1人で本当に討伐出来るならおかしくはない、かな?

 私は1枚の紙を取り出す。

 1番近い村じゃないけど、本当にゴブリンを討伐したなら、これくらいじゃないと力は見れないし。


「はいそれでお願いします」


 本当に依頼内容確認せずに行っちゃった。

 私もこうしちゃいられない、急いで追いかけないと、しかし私がギルドを出た時には彼の姿は無かった。


「魔力よ集い私を補助せよ、ウェイク」


 魔術で身体強化した後、彼に教えた道とは違う近い道で先回りをする。


「はぁはぁ……」


 やっとドラゴンを見つけた、ドラゴンに見つからない様に、木から木へ移動し近づき彼を待としたが、


「はぁはぁ……もうドラゴンの目の前にいる、どんだけ、はぁはぁ、早いのよ」


 気づかれない様に小声で自称気味にいう。

 さて、ここにいるってことはアイツの手先では無いってことだよね、マホウツカイ、どんな戦いを見せてくれるんだろう。

 危なくなったら、彼を連れて逃げ出せばいいし。

 そう思って、彼とドラゴンに集中するが次の一言で集中が切らされる。








「わぁなんて大っきいトカゲだろう……ハハハ……」







 ドラゴンを前に現実感が無いような余裕のセリフを吐く、ドラゴンより何十倍も小さい男の子にゾクッと背筋が冷たくなるのを感じてしまった。


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