不足依頼
1話1話が短いような、出来る限り1話を長く書きたいと思います。
応援よろしくお願いします。
やっちまった……
普通にカード受け取っちまった……ひらりと開くローブを、光の速さで閉じた。
「ははは……見ました?」
「装備ぐらいちゃんとしとかないと、危ないですよ」
セ、セーフ
下側が机で見えてなかったのが幸いしたのか、上だけローブ一枚と思われたみたいだ。
さて仕事受けた後どうやって出よう、下半身を見られたらローブで隠していようと、ズボンを履いていないのがわかる。
靴も無いのだもしかしたら全裸というのを推測するのは簡単だろうし。
どうしよう……
と、とりあえず仕事だ。
「あの、仕事いいですか?」
「ランクなしだと、この辺りですね」
3枚の紙を机の上に出されたので、それを読んでいく。
「えっと、これが採取ですか?」
「そうですね、魔術学校の生徒方も授業で受けるくらいですから、簡単ですよ」
却下だな。
スクルトの実ってのがわかんねーよ!
「報酬は500リールで安いですが、一食分ぐらいにはなるんじゃないでしょうか」
一食分!? 低すぎる。
「ちなみにこの辺で一番安い宿は、いくらぐらいですか?」
「安い宿ですか、素泊まりでいいなら大体1000リールぐらいじゃないですかね、おおよそですが」
飯一食500リールか、大体俺の世界でも安いチェーン店に行くと大体500円のワンコインだったから、本当に単位が変わっただけか。
ってことは3食宿で2500リール、それに服を買うことを考えると4000リールくらいだろうか、服の値段を聞きたいがバレる恐れがあるしな、クッソもう詰んでるんだが!
「他のも報酬500リールですね……」
「そうですね、基本的にランク無しというのは子供のお使い程度なのでどうしても、なんでしたらやっぱりテストを……」
「あ、いいです」
お姉さんがまた勝手に盛り上がってたので、即座に断らせてもらう。
「んー、んー、はぁ……」
どうしよう、マジで詰んでしまった。
ランク無しだと受ける仕事は限られる、かといってテストもまず服がないと受けれないし、あぁーどうしよう。
「あの、一応ランク無しでも1日以上暮らせるような報酬が出る依頼はありますよ」
「まじっっすか!?」
お姉さんにグイッと寄り近づく。
ってかあるなら最初かっら出してくれよ!
「はい、依頼主が全員決まった報酬額を払えるわけではありませんので、依頼内容と報酬額が釣り合って無い依頼があります、基本はギルドで問題を起こしたりした方の、罰としてやって頂いてるのですが、これにはランク指定がありませんので、一応受けることは出来ます」
す、素晴らしい。
何て救いの制度なんだ。
「じゃあそれを」
「ですが難しい依頼ばかりで、下手をすれば命の危険が……」
少し暗い顔でお姉さんが言うが、それを受けないとどっちみち死んでしまう。
今も空腹で倒れそうだし。
「分かりました。
これが現在ある不足依頼の中でも簡単な方です」
そう言って1枚の紙を出される。
なになに、ゴブリン5匹討伐ね、ファンタジー世界の初歩じゃん、報酬が50万リール!?
は、破格過ぎる
「これで! これでお願いします」
「わ、分かりました、すみません不足依頼の簡単な物は、やはり罰則を受けるもの達が受けてしまうので、こんな物しか残っておらず……」
心底申し訳ない顔をして言われるが、こっちからしたらゴブリンなんぞ初歩中の初歩。
ふふ……運が回って来たようだな俺にも。
「この依頼書を持って依頼に行ってください。
達成した場合は依頼主にサインを頂いて下さい。
それをギルドに持って来ていただくと本来は報酬が出ます」
「本来は?」
「はい、不足依頼の場合誰も積極的に受けようとしませんので、依頼されてから時間が経っていることが多いのです、ですからいつ達成されるかわかりませんので、基本的にギルドでも報酬を預かっていません」
「ということは自主回収ってこと?」
「はい、依頼主がその時払える限度額一杯でも、基本より低い報酬を払えないということもあります、ですので、不足依頼の場合のみ途中放棄が認められます。依頼書を持って帰って来ていただくだけでいいので、決して無理をしないで下さい」
たかだかゴブリンで心配性だな、でもその優しさについ笑みがこぼれてしまう。
「大丈夫ですよ。
じゃあ依頼書貰って行きますね、後この依頼書に書いてあるセンラ村の場所教えて貰っていいですか?」
「受けてしまうんですね、分かりました、ギルドを出て南の門に行って下さい、そのまま南に進んでもらえばセンラ村に着くことが出来ます」
「そっかわりやすいなぁ、ありがとうございました」
そう言って依頼書を魔力で持ち上げ、折りたたんで胸ポケットに入れる。
同じミスはしないのだよ! ハハハッ!
さてどうやってこっそりギルドからでよう、はぁ...