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世紀末よろしく

やばい…主人公がどんどんゲスに…こんなはずでは

異世界転生、俺の世界では物語の主人公になれる人だけが体験できる、神の所業。


そんな神に選ばれた俺は今…
















「ヒャハァーここは通さねぇぜ」


盗賊をやっています。


「なんだてめぇは??」


俺の世紀末よろしくなセリフを聞いた10人ほどの屈強な男が、同時に腰にしてある剣を鞘から抜く。


「ヒヒヒ金目のもん全部置いていきなぁ」


俺はそういいながら手にしているナイフを舌で舐める。そのせいで舌が薄く切られ口から血が流れる。


「お前最近噂の盗賊狩りだろ?見逃してやるからそこどきな!俺たちが用があんのは、お前の後ろの馬車の奴らなんだからよ」


口の中に広がる鉄の味をゴクッと飲み込み口が切れたことを恥ずかしいので何とか隠そうとする。


「ひゃが断る!」


舌が切れて、滑舌が悪い。あまりの恥ずかしさのあまりそこにいた盗賊の一人を八つ当たりでぶっ飛ばす。


「なっ!?てめぇ!俺たちは銀狼一家だぞ!」


知るかバカと言ってやりたいが自業自得のせいで今はあまり喋りたくない。


「本気で俺たちと構えるってんだな!覚悟は出来てんだろうな!!」


正直覚悟は出来ていない、日本の義務教育のおかげか、せいかはわからないが一般人に手を出すのは気が引けた。

消去法で盗賊なら盗賊してもいいじゃね?という覚悟もへったくれもなく盗賊相手に盗賊をしていた。


「やっちまえやろうども!!」


のセリフと同時に盗賊たちを魔力で押さえつけて無力化する。

押さえつけている間に魔術を打とうとするやつもいたのでとりあえず、そこら辺の砂を魔力で集めて口に放り込んでおく。

無力化した盗賊を適当に魔力で気絶させ、全裸にひんむいて持ち物をすべて奪い取りる。

その際に盗賊が持っていたロープで全員縛り上げる。


「よひむりょくかかんひょう!」


イタイイタイ!口の傷を忘れてつい喋ってしまう。多分だが助けたことになるだろう馬車の方を向くと、その馬車の護衛の三人が剣を構えたまま俺を警戒していた。


「ちょ!!おへあやしくない!!」


そう口に出すが、極刑の判決を受けて逃げてきたんだった…超やばい奴じゃん俺!

このまま逃げてもいいんだがそれじゃ俺は生きてけない、とりあえず盗賊の荷物をまとめているところに魔力を飛ばして運んでくるとその護衛の前に置く。


「な、なにを?」


戦利品を渡したことで少し警戒を緩めたのか剣は握ったまんまだが、戦闘態勢を解く。


「しょかった…ひょれと食べ物をこうひてくえないか?」


「食べ物か?俺たちも旅の途中であまり多くは渡せないが、ちょっと待ってろ」


そう言って一人の護衛が馬車に走り出す。


「悪いな…これが限界だ、割にあわねぇと思うが納得してくれ」


申し訳なさそうに両手一杯に保存食を持ってきた。


「あひがとう…」


その食料をホクホク顔で受け取りその場を去ろうとするが護衛に止められる。


「正直そんなんじゃ礼がしきれね。俺はルビラの街で冒険者をやってるミントてもんだ、もしルビラの街に来ることがあったらよ冒険者ギルドに来てくれ、ぜひお礼がしてぇ」


いやそもそも街に入れなんですが…とは言えないのでぺこっと頭を下げて身体強化をしてその場を後にする。


ダッシュで我がマイホームとなっている洞窟に向かう。


「がはははは!!」


マイホーム(洞窟)に着くと下品な笑い声が洞窟内に響いていた。


「ん?誰かいるのか?」


口の痛みは少し残っているが、喋れるようになっていてつい小さな声で呟く。

まさか、洞窟でルームシェアを体験か?と少し緊張した面持ちで声がしたほうに進んでいく。


「おうやっと帰ってきたか!!」


なんでそうなったと聞きたくなるような、肩の布がギザギザに割かれているガラの悪いおっさんが話し掛けてくる。

その周りには20人程の男たちが武器を持ってゲラゲラと笑っていた。


「その様子だと家の若けぇ奴らはやられたみてぇだな、がははは!」


何が面白いかわからない、こんな笑いもファッションも合わないやつとルームシェア出来ない!と何とか追い返そうするがその前に話し掛けてきた奴が肩に手を回してくる。


「お前結構腕立つらしいな、どうだ?銀狼に入らねぇか?」


「はははお頭にそんなんされたんじゃ怖くてことわれねぇっすよ」


銀狼の一味であろう奴がそう言うと、また洞窟内に下品な笑い声が響く。


「いや何?入らないけど?」


だって盗賊ってあれだろ?人殺して金品奪たりだろ、無理無理!レベルたけぇよ日本のゆとり教育なめんな!


「がはは!盗賊狩りやってんだ、ならそれくらい度胸ねぇとな!!俺んとこに来ればあんなひもじいもんじゃなくてもっといいもん食わせてやるよ!おめぇの股にぶら下がってる息子にもな!がははは」


そう言いながら親指で指したほうに向けると、俺の宝物(備蓄していた食料)が無残にも床に散らばっていた。

それに加えてそこらへんの木を魔力で削って作った食料を入れるための宝箱も無残に壊されていた。


「…………おれ」


「あぁ??」


「そこに全員なおれボコボコにしてやる!!!」


そう言ったと同時にお頭を強化した拳で吹っ飛ばす。その拍子に持っていた食料を落とし、さらに怒りのボルテージを上げる。勝手に落として勝手に怒りのボルテージを上げられてはたまったもんではない。




切れた盛大に切れた、戦い事態はものの数分で終わったがそれで収まらなかった怒りに任せて、盗賊一人一人を頭だけ出して地中に埋める作業に時間がかかってしまった。


その後お頭と呼ばれていた奴をビンタで起こす。


「俺の食料を奪った罪は重いぞ!覚悟しろ」


「ひぃ…悪かった俺が悪かっただから「謝って許されると思うなよ!!返せ俺の食料!!!」ひっ!返す俺たちが持ってる食料全部やるからな?ついでにそこにある宝も全部やるから!!」


「なんだそれを先に言えよ飯お前持ってるのかよ」


急に穏やかな笑みを浮かべる相手に、まさかほんとに許してもらえるかもと思わずお頭は期待感を顔に出してしまう。


「でどこにあんだ??」


「この洞窟から街道に出てそこから見える山の麓に小屋があるそこが俺たちのアジトだそこに全部置いてある」


これで助かるかも知れないと必死にアジトの場所を教える。


「小屋か……よしそこに住もう!そうと決まれば善は急げ!」


そう言ってすぐに走り去っていく。


「あ!俺たちを……」


お頭がその言葉を出すころにはもう姿は見えていなかった。






「あっ!」


街道に出たところで盗賊たちを埋めたままだったことを思い出す。

めんどくさいと思いながらも魔力探知を使ってさっきの護衛していた冒険者を探す。


これかなぁという反応が割と近くに合ったので、ダッシュでそこに向かう。


遠くにミントと名乗っていた冒険者と馬車ついでに全裸の盗賊も見える。


「おおーい良かった止まってくれー!!!」


馬車と護衛達は止まるがまだこちらが誰かわからないようで、武器を構え始めた。


「ちょミント!だったけ?さっきの俺だよ」


そう言いながら近づくと護衛達が安心したように武器を下す。


「あぁさっきのどうしたんだぁ?」


「あぁすまない良かった見つかって、実はさその全裸の盗賊のなんだっけ?銀狼?かなんかの頭って言われてるやつブッ倒したんだけどさそのままそこに放置してんだよ、そいつらのついでに持って行ってくれねぇか?」


「そうか…そいつは残念だ…」


そう言って護衛の三人はまた武器を構える。


「え??はぁ??」


急に向けられた敵意に反応出来ずにただじっとミントを見る。


「お前ぇが離れてそんなに時間も経ってねぇ、多少頭は回るようだが所詮盗賊詰めがあめぇようだな」


「盗賊??俺が??どうしてそうなった??」


「二度も俺たちを騙せるとは思わねぇことだな、おめぇら2の式だ!!」


ミントがそう叫ぶと同時に馬車から二人の武装した男が降りてくる。

それと同時に馬車が走り出す。


「やばい!」


馬車を逃がすためというのはすぐにわかったが、もし馬車がなくなって食料がなくなったミント達が盗賊を運べないとか言われると困る。

あっこから脱出して復讐とかに来られても面倒だし、何より俺が盗賊のアジトだった小屋を手に入れるためには、盗賊は是が非でも連れてってもらわないと!!


一瞬でそう判断すると、馬車の前に回り込み片手で馬を止める。


「「「えっ??」」」


俺と対峙していた三人は急に馬車の前に移動した俺に驚き変な声を上げる。


「ミントさんこいつはやべぇかもしれねっす」


「気を引き締めろ!相手は盗賊と言えど結構な手練れだ!」


俺は、こんなに必死に守っているものが何か気になりだした。

テンプレで言うとこの中にはお忍びで来ている貴族のそれはそれは見ため美しい女性がいるんだろう。

それは好奇心かちょっとした悪戯心だったのかもしれない、馬車の後ろに素早く回り込み布きれでしきりになっているところに、勢いよく首を突っ込んだ。


「………………」


そのまますぐに首を外に出しゆっくりともう一度中を確かめる。


「お前ら…なんでそんな必死に戦えんの?」


馬車から視線を護衛に戻し、問いかける。

中には汗と鼻水と涙でより不細工に仕上がった、小太りのおっさんがいた。


「離れろ!」


そう言いながら馬車と俺の間を切りつけて間にミントが割り込んでくる。


「いや…なんでそんなおっさんのために必死なんだよ…」


完全に俺は何かが萎えて戦いどころでは無かった。

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