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貴族の力


「やばいやばいどうしよう!お兄様」


頭を掻きむしりながら、叫ぶこの時初めて自分の状況がやっと分かるバカは打開策が無いか頭を回転させる


「お前本当に焦ってるのか?」


自分がチートと思っていたので、正直どうにでもなると思っていたが、ユウの話を聞くとこの牢獄は特別な素材で魔術を封じる力が有るらしい。

おまけに牢屋の扉の外には魔術の罠だらけで、それを解除出来る人は限られていて看守すら近づけないと聞くとさらにせわしなく動き回る。


「やばいやばい…そうだ!誰か助けてくれーーー!俺は無罪だぁぁああ!」


唯一思いついた策は醜く助けを呼ぶことだった。目を血走らせて唾を吐きながら叫ぶその姿は残念ながら罪の無い人には見えない。


「落ち着け、助けなんて来るわけないだろうが」


「兄ちゃんは何でそんなに余裕が有るんだよ」


「いやお前にも結構余裕有りそうだけどな、さらっと呼び名だけ近づこうとしてるしな」


妹の事はあんなにうろたえていたが、自分の事となるとユウは落ち着きを取り戻していた。


「分かった!冤罪だもんなにぃにぃの貴族の力でどうにかなるんだよな?」


「お前…はぁ…俺達は間違いなく明日処刑されるな?それに相手はゼネル手の打ちようも俺には無いな」


その言葉を聞くと四つん這いになりうなだれる。


「使えねぇ…なんだよカヤの言ってた貴族しか使えない力使う雰囲気出しながら何もできねぇとは」


「コロコロお前は手のひら返すなぁ、それにその力は使うつもりだ」


「なんだよ使っても助からないんだろ、どんな力なんだよ」


ふてくされて、体を丸めてユウの牢獄に背を向ける。


「どんなか……それは領民を民を守る力だ」


その民に俺もいれろよぉと呟いたのは聞こえて無いようでユウは話をつづける。


「俺の命の価値は結構高くてな、死ねば得られる物は平民より多いだろう、土地に領民、税収もかそれに、俺を殺すことで得られる優越感と俺を間接的にでも殺す程の力を持つと周りにアピールできるしな」


「なんだそりゃ…それの何が力だよ…」


「価値が有るものと何かを取引するのが人だろう?」


ユウの方に頭を動かして視線を向けると、薄暗くて見えないはずなんだが覚悟を決めたユウの姿が見えたような気がした。


「そうだな、価値ある物を奪い取るのもまた人だけどな…」


皮肉っぽく返えすが、ユウが動じる様子はうかがえない


「伊達に貴族をやってきたわけじゃない、人より奪われる機会は多かったんだ、そのたびに学んだつもりでいる、だから取引させてみせる、でもすまないお前は助けられそうに無いな」


そう言うユウの言葉に力は無かった、不安から来るものか申し訳なさの気持ちかはわからないが初めて会った時からは想像できなかった声に返す言葉を探るしか出来ない。


「何でお前が謝んだ?」


突っぱねる、それしか今返す言葉が出てこなかった。


「当り前だろう?妹の恩人だ…あの頃は俺も色々手を打ったが全部ダメだった…俺が動いて関係ない人を色々巻き込んでしまった、そんな時にお前が妹を力ずくで助けてくれた、だがそのせいでこんなこんな事態になってしまった、本当にすまない」


「別に俺には俺の事情が合っただけだよ、勝手に謝んな!」


そう言って魔力をユウに飛ばしてでこを軽く小突く。


「お…お前今何を……!?」


そう言いながらでこに手を当て目を見開いて驚く。


「何って今のは魔法で……魔法で…」


いつものように、魔術じゃありえないとか言われたかと思って魔法と説明しようとするがそこで初めて気づく。


「いやこれ脱出出来んじゃね?」


一人でそう呟くと体に魔力を回し身体能力を上げる。

その状態で牢屋の柵に手を掛けると針金のようにぐにゃっと曲がる。


「ははははは!!やっぱり俺に不可能は…アババババババアババアアババババアバアア」


高らかに笑いながら一歩踏み出すと魔術の罠が発動し体に電流が走る。

薄暗かったあたりが明るくなり、ひどく不細工な顔で電流を浴びる姿がスポットされていた。


電流を浴びた本人は死に物狂いでその罠から抜け出し、綺麗に曲がった柵を戻しながら一言ユウに呟く。


「明日にしよう…」


「そうだな………」


ユウも色々聞きたいことが合ったが、電流でチリチリになった髪が頷くことしかさせなかった。










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