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初期練習作(短編)

君がいる

掲載日:2015/06/17

 「君がいてくれるととても嬉しいよ」

そう言って彼は手を差し出す。

わたしは無言で手をつなぎ返し、

歩き出す。

そう、彼とわたしは恋人同士。

どう見てもそんな風には見えないと思うけど。

年は30離れ、若さでいっぱいの彼は、

なかなか男前だと思う。

それでいて、わたしのことを気にかけて、

いつも一緒にいてくれる。

「そうだね、ありがとう」

そう返すと、彼はにっこりと笑う。

暑苦しいくらいに顔をくしゃくしゃにして。

わたしは自分の背丈をのろった。

だって全然背が届かないのだから。


 「響子ちゃん、幼稚園は楽しい?」

聞いてくる内容が陳腐である。

わたしのことを子ども扱いして。

本当に結婚してくれるのかしら。

それとも、遊ばれてるだけなのかしら。

「大人になったら結婚してあげるから」

それまで全部おあずけね。

わたしは遠い未来に目をそむけた。


 「親御さんにあいさつに行かなきゃね」

本当にやる気あるのかしら。

反対されるかもしれないじゃない。

そう言うと彼は、

わたしをお迎えに来てくれたママのもとへ

手をつないで歩いていく。

「先生、いつもすみません」

「いえいえ、今日も良い子でしたよ」

「それではまた明日」

「ばいばい、響子ちゃん」


 「ねえママ、先生わたしと結婚してくれるのよ」

「ああそう、良かったわねえ」

ママは意外とすんなりOKしてくれた。

正直びっくりしたけど、とっても嬉しい。

わたしは小躍りして喜んだ。

「本当にいいのよ。

生きていてくれたら……」

ママは涙ぐむ。

大丈夫よ、手術も検査もがんばって、

絶対病気を治してやるんだから。

それできっと、幸せになるんだ。


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