抽斗(ひきだし)より
掲載日:2026/07/20
以前、一緒に仕事をしていた岡田さんが、友人から聞いたという話。
ある夜、岡田さんの友人がふと目を覚ますと、ベッドの足元から右斜め向こうにあるテレビ台の抽斗から、だらりと腕がはみ出していた。
それは肩口あたりからの白く細い女性の右腕で、抽斗の中から腕を伸ばし、10センチほど下の床をペタペタと触っていた。
「う、うぇ」
思わず悲鳴とも何ともつかない声をあげると、その声に気づいたのか腕はピタリと動きを止め、するすると抽斗の中へと入って行った。
岡田さんの友人は部屋の明かりを点け、そのまま寝ようとしたが気味悪さのためまるで眠れなかった。
翌朝、恐る恐る抽斗を開けてみると、もちろん中には変わったものはなく、テレビの説明書などが入っているだけだった。
テレビ台は新品で買ったものだという。




