第5話 なんて生徒会メンバーなんだ
「……雫姉。あ、頭痛い……空中アイアンクローを止めてぇ〜!」
「うるさい。葵、またこんな物を流行らそうと企んでいたなんてね。お仕置きさせてもらうよ」
「いや〜! 光〜助けて〜! 雫姉、離して〜!」
放課後、生徒会に呼び出された俺達が教室内へと入ったら。金髪ギャルの先輩が、生徒会長で空中アイアンクローをされていた。
あの制服を気崩したエロ格好の金髪ギャル……2年生で有名な織姫先輩だよな? なんで雨宮会長に右手で頭を捕まれて宙吊りで持ち上げられてんだ?
「ほう……私の大切な生徒会のメンバーであり、妹の藍をお姫様抱っこして廊下で追いかけっこをしたと? 凄い大胆な事をしたんだね。君達、あの場面を見た時は凄く面白くて笑ってしまったよ」
「は、はぁ……すみませんでした。雨宮生徒会長」
「ごめんなさい。お姉ちゃ……会長」
俺と藍は素直に謝った。そんなの当たり前だ。雨宮生徒会長を怒らせると怖いからな。
黎明高校が誇る優秀な女子生徒で、雨宮 雫生徒会長。藍のお姉さんだ。
学校内で怒らせてはいけない人物No.1であり、生徒会書記で実の妹でもある藍を溺愛している。そして、逆らう者に容赦がしない怖い人。
「アハハ! 葵姉、また雫ちゃんを怒らせる事したん? 空中アイアンクローとかメチャメチャウケるんですけどぉ……はぎぁ?!」
雨宮会長は、ゲラゲラ笑う七宮の顔面を掴むと。そのまま右手に掴んでいた金髪ギャル先輩同様に、左手で空中アイアンクローの刑を執行した。
「痛たたた!! 雫姉。こめかみが痛いし〜!!」
「痛たたた!! 雫ちゃん。こめかみが痛いし〜!!」
おお! 流石、見た目が似ているビッチ金髪ギャル同士の台詞も似るとはな。
「全く。うるさい娘達だね。葵も美来も……ウチに高校は何故、こういうタイプが毎年入学してくるんだろうね」
「はぁ〜? 雫姉だって、昔は金髪に髪を染め……痛たた!!」
「そうだし〜! パーティーの時に失恋したから、髪色戻した事覚えている……痛たた!!」
「全く。君達は昔から私の黒歴史を他人の前で当たり前の様に話すね? 癖なのかな?」
再び雨宮会長の手には力が入り。両手に宙吊りにされている金髪ギャル2人は断末魔の声を上げ始めた。
凄いな雨宮会長、あの七宮を圧倒的な武力で完全制御している。俺も見習おうかな。
「雨宮会長。後輩の前なんですから、葵にお仕置きするのもその辺にしておいた方が……」
「おっと!それもそうだった、すまないね。汐崎君」
さっきまで、雨宮会長と金髪ギャル2人の事を、静かに見詰めていた生徒会副会長の光先輩が、雨宮会長の制裁行動を止めに入った。
何故か室内でサングラスを掛けていて、整った顔立ちと綺麗な眼をした長身イケメンな汐崎副会長。
「光〜! 助けて〜!」
「光パイセン~!ウチも!ウチも!」
雨宮会長からのアイアンクローの地獄から解放されると思ったのか、金髪ギャル2人の声がなんだか明るくなったぞ。
「……雨宮会長。やっぱり。コイツ等、全く反省していないんで、もう少しだけ懲らしめ下さい」
「ほう。そうなのかね?……葵!美来! 君達は昔から私を甘くみているようだね」
「キャアア!! 雫姉。効いてる効いてる! こめかみに強い力があぁ!!」
「キャアア!! 雫ちゃん。効いてる効いてる! こめかみに強い力があぁ!!」
またハモったな。金髪ギャル同士仲が良いんだな。
「……ゆー君。このままだと、七宮さん。壊れちゃうんじゃあ?」
「いや、元々、七宮の行動理念は壊れてるから、雨宮会長のお仕置きの衝撃を受けて治るんじゃないか?」
「ゆー君。酷い……」
いや、だって旧校舎での隠れ鬼といい、さっきのリアル鬼ごっこといい。俺達は七宮に振り回されてばっかりなんだから、それくらい言って当然だ。
「2人にも連帯責任は取ってもらうけどな」
「汐崎先輩?!」
「汐崎副会長。いつの間に?」
俺と藍が会話をしていると、汐崎先輩が話しかけて来た。
「いや……俺は陰日向者だからな」
言っている意味がちょっとよく分からなかった……しかし、この人本当にリアル五条みたいにビジュアル良いな。
噂だと今、アイアンクローされている金髪ギャルビッチと付き合ってるらしいけど、本当なんだろうか?
「全く……昨日の不良グループの件で活躍したくせに、今日は今日で雨宮妹をお姫様抱っこして、問題児の七宮と校内で追い駆けっことはな……ぶふっ!」
ちょっ! この人、他人事と思って面白がってないか?
「………笑われた」
「ひ、酷いです。汐崎副会長」
「あぁ、すまんすまん。雨宮妹。生徒会に呼び出される内容が面白くてさ……まぁ、それ相応の罰は受けてもらうか」
「罰ですか? それってまさか」
停学か?! いやいや勘弁しくれ。黎明高校は、一部の不良生徒も居るが進学校だ。1日でも授業を欠席すれば、学校の勉強に付いていけなくなる。
体育倉庫で藍に手を出そうとしていた不良グループも、そんな連中の集まりだ。俺は学校の成績はギリギリだから停学だけは勘弁してほしい……
「騒ぎを起こした罰として、お前達3人は文芸部に幽霊部員として所属してやってくれ」
「「ぶ、文芸部?!」」
「そうだ。俺の親友が1人で細々とやってるんだが。今年は侵入部員が入部しないし、部員が足りなくてな。廃部寸前だったんだ。宜しく頼む」
「……七宮を含んだ俺達。3人が……」
「文芸部……ですか」
「なになに? ウチ等3人でナニするん? エッチな事なん? 建見っ……フミャアア!!」
「卑猥な発言は生徒会室では、控えてもらおうか。美来」
「雫ちゃん……ウチの頭潰れちゃうし〜!」
「うるさいね……とういうわけでね。文芸部の件宜しく頼むよ。この後、旧校舎の文芸部の部室に行ってみてくれるかな? 名前だけ貸して、たまに顔を出しに行けばいいだけだからね」
雨宮会長が狂喜的な笑顔で俺達にそう言うと。
「か、畏まりました。雨宮会長」
「ちゃんと全うしますです。お姉ちゃん」
俺と藍は怯えながら文芸部の件を承諾した……いやいや、なんで俺達が文芸部の幽霊部員って、どんな急展開だよ。全く!
「……やったし~! 放課後は建宮っちとイチャイチャでき……」
「あぁ、済まない。美来……美来がうるさいからついつい力が入ってしまったね」
「頭が割れそうだし~!」
「本当よ。なんで私がこんな目に~!」
そして、金髪ギャル2人のお仕置きはまだ続いていた。




