第44話 どこにも居ないね
《旧校舎 文芸部室》
ゆー君が居ない……七宮さんも。生徒会の仕事が終わって、会いに行ったのにどこにも居なかったよ。
「白鳥さ~ん。ゆー君と七宮さん見つかった?」
「い、いえ……見つかりませんね。体育館に居た時は見かけたんですけど」
「……2人だけで居なくなるのは、いつもの事だったね。でも、いきなり居なくなったのは初めてかも」
「……なんだか。嫌な予感がしませんか? 今回は」
「むむむ……たしかに~!」
◇
《体育倉庫》
「はい。お疲れ~! 建宮っち。コーラどうじょ」
「あ、ああ、サンキュー……七宮」
俺は七宮からキンキンに冷えたコーラを手渡されて蓋を緩めた。
そして、俺はとんでもない勘違いしていた事を、自分の心の中で七宮に謝罪した。
疑ってすまんと。
「……ん……ん……プハァ~! 豪快に飲むジンジャーは美味しいし~! お母様の目を気にしなくて良いの最高だし~!」
「俺も飲もう……旨いな。どこ産だ?」
「カリフォルニアだし~!」
「マジ?」
「嘘だし~! 建宮っち。騙されたん?」
「だな……なんか。逆に静かで良いな。こういうのも」
「だしょ! 建宮っち。分かってるじゃん。流石、ウチの旦那だし」
「誰が旦那だよ。誰が……ハハハ」
「ん~? だから建宮っちだし。つうか、ウチらマジで付き合わん? 建宮っち。今、フリーなんしょ?」
……コイツは。いきなりブチこんで来たな。こんな雑な雰囲気もないアホな宴でよう。
「アホ……まだ良いわ。色々とまだフリーでいたいしな。来年の夏なら良いかもな」
「……なんなんそれ? 優柔不断過ぎん? 建宮っち~!」
自然体だよな?……普通。告白したらドキマギするもんじゃないのか?
「優柔不断もお前がいきなりぶっ込んで来たんだろう。理由は?」
「ん~? 文化祭の雰囲気に当てられたノリ?みたいな?」
「ノリねえ……俺のどこが良いんだか」
「建宮っち。良い男じゃん。そんでウチは良い女」
「アホギャルな……まぁ、考えてとくは。濃厚な方で」
「……濃厚な方って……マジで?」
「ん〜?……意外とマジだな。今はフリーだし。七宮ならあり中のありだな」
「ほう。マジかし……藍ちゃんとかどうするんだし?」
「藍?……なんで、そこで藍の名前は上がるんだよ。藍は俺の大切な幼馴染みだぞ」
「あ〜! 成る程なん。そういう所でズレてん? 建宮っち。意外と鈍感王過ぎん?」
「鈍感王って……いきなり俺に雰囲気と場所も考えずに告るヤツには言われたくないんだがな」
「自分の気持ちが分からんアホ君には言われたくないし~!! どの口が言ってるし!」
「グボッ?!」
な、七宮のヤツ! 自分が飲んでいたジンジャーを俺の口の中に突っ込みやがった。
「……あ! 済まん済まんし~! 建宮っち。手と感情がウチの中にある悪意を呼んだし」
「がはぁ?! ゲホゲホ……そんな悪意を呼んでんじゃねえよ。七宮の今の行動でハッキリしたは、告白は保留な。100年後の夏まで待て!」
「はぁ~?! ふざけんなし~! そんなに時間経ったら建宮っちが天に召されてるじゃん~!」
「なら、俺にジンジャーを突っ込んだ事を謝れ。そうすれば半年後まで短縮してやる」
「ま、マジで?! 建宮っちの口にジンジャーを突っ込んでごめんなさいだし!」
七宮は俺に土下座して謝って来た。
「ほう。そんなに深々と謝るのか。それなら許してやろ」
「やったし~! それなら仲直りにウチの乳を揉むと良いし。建宮っち。揉ませてあげんよ」
……コイツ。調子にノリ始めたんだが。
「アホ! や、止めろ。誰か来たらどうする気だ?」
「あん/// どこ触ってるし。建宮っち。なん? ここでウチの初めて欲しいん? 別にええよ」
「だからせんは今は、雰囲気と場所が最悪だろうが」
「タイミングは最高だし」
「どこがだ!」
あ~!あ~! さっきまで良かったアオハルの雰囲気が最悪じゃねえか。こんな所を藍や白鳥さんにでも見られたら殺され……
ガラガラガラガラ!!
「あ! やっぱり。ここに居たんだね。ゆー君。七宮さ……ん?」
パシャ!
「……や、やっぱりセック●しようとしてたんですね。お二人共、ハレンチですね。ウフフ」
る場は整ったみたいだ。ニコニコ笑顔の藍と手にカメラを持った白鳥さんが体育倉庫の扉を開けて入って来た。
「……あれ? 建宮っち。ウチらって今、大ピンチ?」
「……いや、俺だけ殺される展開だろう。これは」
「そうなん? なら、ウチは建宮っちを守る盾になるし。ウチ行くし。建宮っち」
「は? お馬鹿、止めろ。今の荒ぶる藍さんをこれ以上怒らせるな! アホ宮!」
「い、嫌だし。ウオオオ!! 藍ちゃん。建宮っちはウチが守るんだし!!」
「よ、止せ! アホ宮~!」
や、止めろ。行くな七宮。お前の焚き付けた怒りは、最終的に俺に全て来るんだぞ。
「ウオォォ!! 藍ちゃん。一緒に幸せになろうしぃ……へぶ?!」
藍さんは向かって来る七宮の頭を鷲巣がみにすると、一瞬で意識を奪った。怖!
「七宮さんも後で、ちゃんとゆー君と一緒にお仕置きしてあげるからね」
「……だし」
「良い娘だね~! ウフフ。ゆー君。覚悟してね。七宮さんとこんな所でイチャイチャしようとした理由教えてもらうよ。ウフフ」
「……あ、はい。藍さん……あ! 止めろ。その乳を俺に押し付け……ぎゃあああ!!」
「だし~!………」
こうして、俺と七宮は幼馴染み藍さんに心も身体もお仕置きされた。




