第39話 生徒会長のワンちゃんズ
《旧校舎 臨時生徒会室》
忙しいよう!! 文化祭の当日は完璧なスケジュールを組んだ筈なのに忙しい過ぎて、ゆー君と過ごせないよ〜! う〜ん!!
「黎明祭 午前の部は問題なく終わったね……というよりも午前にあった変な地震以降、異変が無くなったのは私の気のせいかな? 藍」
「いえ、お姉ちゃ……雨宮会長」
「2人きりの時はお姉ちゃんで良いよ」
「わ、分かった。お、お姉ちゃん」
「うむ」
お、お姉ちゃん。私よりも仕事が多い筈なのに、なんでもう終わらせてるの? どんなマジックなの?
「ん? あぁ、私の仕事量かい? ちょっとした伝があってね。写真を報酬に手伝ってもらってるんだ。優秀なハッカーや、私に弱味を握られた変態さん達にね」
「優秀なハッカーに変態さん達?」
◇
《黎明高校 お仕置き部屋》
「ほらほろ!! ハッキングなんて大事件を起こしたんだからビシバシ働いて高嶺さん。そうじゃないと。四君子君との文化祭デートに間に合わないよ?」
「ひ〜ん! それは嫌だよ。百合ちゃん! もう許して~!」
「駄目に決まってるでしょう! 元不良の先輩達も雨宮会長のお陰で、復学できそうなんでから。これからは、このお仕置き部屋で雨宮会長のワンちゃんになるんですよ?」
「ハイですワン。百合様! 大恩ある雨宮生徒会長様の為に、これからは心を入れ換えて働きます」
「そうですぜえ。そうですぜえ。バス停で途方に暮れていた俺達をぶち殺して改心させた事。感謝してますぜ」
「俺は……雨宮生徒会長に一生踏まれててえ。あの冷徹な顔がたまんねんだ。もうクセになっちまってよう。雨宮生徒会長が居ねえ人生なんてあり得ないぜえ」
(よくも私の妹に手を出そうとしてくれたね。これまでの黎明高校で過ごした思い出は綺麗さっぱり忘れて、私の元で働くなら許してあげよう)
(そ、それて、俺達の記憶を消すって事じゃないですか……あひん/// き、気持ち良い!!)
(口答えはもう入らないよ。君達は私達姉妹の言うことを純粋に聞く兵隊君になってくれれば良いんだからね。良いね?)
(((キャイイインン!!)))
「うわぁ……前田先輩。本当に気持ち悪い人ですね。そんなの良いんで、どんどん働いて下さいね。皆さん!」
「「「ウイィススッ!!」」」
今後、心を完全に入れ替えた元不良グループ『MAEDA』は、卒業するまで期間。全てを雨宮姉妹に支配され。
旧校舎の地下にあるお仕置き部屋で、こき使われていく事になることを彼等はまだ知らなかった。
◇
「あの娘は直ぐに解放するけどね。彼等には容赦しないよ。それなりの対価を支払わせるつもりさ」
「は、はぁ、そうなんだ。流石だね。お姉ちゃんは」
「藍こそ。それだけの仕事量を、クラスの手伝いと文芸部の掛け持ちで良くやっているよ。生徒会の方の仕事は、私達のワンちゃん達に振っておこう。藍はゆー君と過ごして来るといい」
「え? 良いの? だってお姉ちゃん。ゆー君の事……あ! ごめん」
「いや。良いさ……数日前に気になる小さい男の子と運命の出会いを果たしてね。少しそっちにお熱なんだ」
……う〜わ! 出た。お姉ちゃんの運命の出会い。お姉ちゃん。小さい男の子とか大好きだもんね。
「そ、そうなんだ。今度は本当の運命の人だと良いね。お姉ちゃん」
「あぁ、ありがとう。藍、応援よろしく頼むよ」
とか、お姉ちゃんは言ってたけど。また。色々あって失敗しないと良いんだけどな〜!
「……忙しいと思ってたら一気に暇になっちゃった。どうしよう」
ゆー君と合流しようかな……あ! その前にゆー君がくれた《《ハンカチ》》を嗅がなくちゃ。ストレスの蓄積があるもんね。
私は制服の内ポケットから、数日前にゆー君から貰っばかりのハンカチを鼻の辺りに当てて……
「スゥー…………ハァー……ゆー君の香り。しゅき」
ゆー君の匂いを嗅いだんだ。
「な、何してるんですか? 雨宮さん」
「わしゃああ!! あ、あれ? 白鳥さん? どうしてこんな所に居るの? 文芸部の方は大丈夫?」
「は、はい。彩葉お姉ちゃんいわく。もう全て大丈夫だって言ってました。今後、この旧校舎で変な事が起こる事はないそうです。皆、出て行っちゃったみたいって、彩葉お姉ちゃんは言ってましたので」
「そ、そうんなんだ~! 良く分からないけど。それは良かったね。私も安心だよ~!」
ビ、ビックリ~した! いきなり、音も無く白鳥さんが現れるんだもん……もしかして、さっきの私の変態行動見られてたかな?
「あ、あの……雨宮さん。つかぬ事をお伺いしますが。宜しいでしょうか?」
「え? な、何かな? 白鳥さん」
「はい……その、雨宮さんが今、手に持っている物って。建宮君のパ……」
「お昼だしお腹空いたよね。白鳥さん。生徒会でね。出店のサービス券を貰ってるから白鳥さんの好きな物を奢ってあげるよ! だ、だから外に行こう! ね? ね? 直ぐに行こう。ね?」
「わわわ! 雨宮さん。背中を押さないで下さい~!」
あ、危なかった。危なかったよ~! もうちょっとで私がゆー君の部屋に捨ててあった《《ハンカチ》》を貰ったのが、白鳥さんに知られちゃう所だったよぉ〜! 恥ずかしい!
「あ! あそこにゆー君と七宮さんも居るね~! 後ろから声をかけて、お、驚かせてあげようよ。白鳥さん」
「で、ですから。あまり勢い良く背中を押さないで下さい~! 転けちゃいますからぁ」
……そう。私はまだゆー君やお友達に、私が変な性癖を持ってる変な人だとは知られたくないの。とくに幼馴染みで大切な存在のゆー君にだけはね!
「あれ? 建宮っち。藍ちゃんと彩愛ちゃんがこっちに向かって来るし。お~い! こっちこっちだし。2人共~!」
「ん? ムッツリ幼馴染み藍さんと白鳥さん?……また、よからぬトラブルを招いたんじゃないだろうな? 全く。あのムッツリ幼馴染みは……」
「建宮君~! 雨宮さんが建宮君のパ……むぎゅ?!」
「わぁ~! 凄い料理だね。私達の為に買って来てくれたの? ゆー君。ありがとう~!」
そう。ゆー君は私が変態なんてまだ知らない……筈!
だから、今日の文化祭で、幼馴染みから関係を少しでも進めるの。午後の文化祭デートが本当の勝負だもん!




