第28話 ムッツリな幼馴染み
《旧校舎 理科室》
「待て。藍~! 俺のパンツ返せ~!」
「な、なんでウチ等。理科室の中をぐるぐる回ってるん?……建宮っち。ウチ、少し座って休んでるし」
「ん? あぁ、分かった。待てコラ~! ムッツリ藍~!」
「うえぇ~! やだやだ。やだよぅ。もう履いてるもん。ゆー君が履いてた物は私が履いちゃってるんだもん~!」
藍が自分のスカートを抑えながら逃げ回っている。
藍のやつ。う、嘘だよな……アイツ。本当に俺が履いてたパンツを……いや。これ以上は考えたくない。
「いいから返せ! 変態藍」
「筋肉お馬鹿さんのゆー君に言われたくないよ~! うえぇん! 絶対に返さないもん!」
そういえば。藍は昔から俺の着ていた物を欲しがったりしていたな。
パンツを俺からパクったのは今回が初だけど……
▽
《雨宮藍 10才》
「うわぁ。このYシャツもう着れなくなったのか。母さんに言って新しく買わないとな」
「……そ、それじゃあ。そのYシャツはどうするの? ゆー君」
「ん? いや、雑巾とかにして家で使うと思うけど。何で? 藍ちゃん」
「そ、それなら私に頂戴? 私なら、ゆー君が着てたお洋服まだ着れるし。駄目かな? ふん!」
……なんで藍ちゃんは鼻息を荒くして興奮してるんだろう?
「う、うん。良いよ……まぁ、着れなくなったら捨てて……ね?」
「ありがとう。ゆー君! 一生の宝物にするね。スウゥゥ! ふぁ~! これがゆー君の香りなんだね。幸せだよぅ」
そうして、藍ちゃんにYシャツを渡したら。速攻でYシャツの匂いを嗅いでいたな。
「な、なしてんの? 藍ちゃん」
「ふぇ?! ゆー君の温もりを感じていたかな? エヘヘ///」
前髪で素顔は隠しているけど。藍ちゃんは可愛らしい顔立ちの女の子。
そんな可愛らしい娘が恥ずかしがっている姿を見ると見惚れてしまう僕だった。
だからその時は、そんな藍ちゃんの姿で気づいていなかったんだ。藍ちゃんのムッツリ性に。
《雨宮藍 14才》
「ゆー君。この、ゆー君が着れなくなったYシャツまた貰っていくけど? いいかな?」
「い、いいけど。藍、お前……この間、俺が前にあげたYシャツで俺の部屋に遊びに来るのそろそろ止めないか?」
「え~? 何で? ゆー君と私は幼馴染みなんだから。なんでも許される間柄だよね?」
ムッとしながら怒ってる。それに距離もやたら近い。
「あ、あぁ、そうだな。俺達はなんでも許される間柄だな」
「うん! じゃあ、これからもYシャツを着ただけで、ゆー君の部屋に入り浸るよ……だからゆー君。その気なら私をいつでも押し倒していいんだよ?」
藍は何を言ってんだか。相変わらず。アホの娘だな。
「するか。アホ……藍は俺にとって大切な存在なんだぞ。フンッ!」
「ヒャウッ! ゆー、ゆー君。いきなり何するの?」
その時の俺は冗談で藍のお尻を軽くひっぱたいたが。変な違和感を感じた。
「ん?……藍のお尻。パンツ履いてる感じがしなかったぞ。藍、お前まさか本当に?」
「ん~? どうしたの? ゆー君」
なにかをねだる様に俺にお尻を振って来る……これ以上聞くのは危険だな。
「い、いや……なんでもない。パンツ。日頃からちゃんと履いた方がいいぞ」
「……うん。履いてるよ。(ゆー君のお下がりだけどね)」
あれ? 何か藍が最後にボソッと言ったような?
「なにか言ったか? 藍」
「え? ううん。ゆー君カッコいいって言ってみたかな~! アハハ」
そして、気まずそうな表情をする藍。
「……俺がカッコいい?」
《雨宮藍 15才》
「藍ちゃんよ。そろそろ俺の部屋で暮らすのを止めてくれ。俺のプライベートがなくなる」
「……嫌かな。ゆー君は監視していないと。直ぐにフラグを作るから。落ち着くまで私がゆー君の側で見守ってあげるの」
この時期の藍さんは凄かったな。なんせ、俺の部屋に住み込んだ。
しかもちゃんと俺と自分の両親の許可を取ってだ。
アホしかいないのか? 俺の身内達には?
「いいから。雨宮家に帰りなさい! それとパンツ履け! Yシャツだけで俺の部屋で過ごすな。目に毒なんだよ!」
「嘘は駄目だよ。ゆー君! ゆー君が私と一緒に部屋で過ごしている時に、私を見るゆー君のはエッチな目だもん……ゆー君は、そんなに私成長したお胸が好きなのかな? ゆー君」
「お、おい! 止めろ! 押し付けるな。そんな恐ろしい胸囲を……ブシュウウ!!」
「ゆ、ゆー君! しっかりして、ゆー君~!」
そうこの頃から藍の元々大きかった胸や身体は大人の女性の身体へと成長しムチムチ素敵に成長していた。
「……この隙に。ゆー君に悪戯してあげるんだからね。ゆー君が私になかなか手を出さないのが、いけないんだよ。ゆー君。フフフ」
▽
そして、現在。俺は藍に股がり動きを止めて生殺与奪を握っている。俺のパンツを取り返す為に。
「や、止めて! ゆー君。いくら私達がなんでもありの幼馴染みの間柄でも。脱がしちゃ駄目だよぉ///」
……なんで凄く嬉しいそうなんだ。この変態藍さんは。
「お前が始めた物語だろう? 藍……貴様。今、思えば。とんでもない変態ムッツリスケベだったんだな。返して貰うぞ。俺のパンツ」
俺は藍のスカートの中に手を突っ込み。パンツを取り返した。これは藍がいつも言っている幼馴染みならなにをしても許される理論に従った行動だ。
「だ、駄目~!ゆー君。駄目駄目駄目~! 今の私、ゆー君のパンツしか履いてないから駄目なのに~! ゆー君の変態さ~ん!」
「お、お前! なんで俺にのしかかりしてく…うわぁ!! 顔を近づいて、俺に何する気だ! 止めろ! 藍! よせえぇ!」
そして、藍の思わぬ反撃で俺と藍は……いや。これ以上は言えない。これは俺と藍。深い仲で起きた恥ずかしいハプニングだったんだから。
「ぷはぁ!! も、もう。容赦しないからね。ゆー君。この文化祭で無理矢理にでもゆー君との距離を詰めてあげるんだから! それとゆー君にパンツ返して……んしょっと! はぁ~! ゆー君の温もりを感じるよ。ゆー君♡」
「……………俺の幼馴染み。とんでもない変態じゃねえか。ガクッ!」




