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第20話 ゆー君はもう逆らえないよ


 夕暮れ時の帰り道。ファミレスを出た俺と藍は何故か公園のベンチに座り話をしていた。


「旧校舎の七菜子さんねぇ……白鳥さんとイチャコラしていた言い訳になのかな? ゆー君」


 両頬りょうほほを膨らませて、俺の顔をジト目で見てくる藍。


「いや、違うって。藍も教室に入って来る時に見たろう。白鳥さんの雰囲気が可笑しかったのも」


「それはそうだけどね〜! それを抵抗もしないでゆー君はギルティーだと思うんですけど〜?」


「ぐっ! それは、七菜子さんに金縛かなしばりをかけられていたというかだか」


「言い訳も見苦しいぞよ。ゆー君……全く。最近のゆー君ときたら。文芸部ハーレムで気がゆるゆる過ぎるね。この!この!」


 右膝みぎひざで背中を突っつかれている。


「いやな。最近は色々あって……藍と帰れなくった。済まん」


「そうそう。そうやって素直に謝ってくれないから、ゆー君の幼馴染みの藍ちゃんは怒ってるんですよ〜!……それで秋月部長は七菜子さんについて、他にも何か言ってたのかな?」


「ん? あぁ、秋月家と白鳥家はそういう謎の何かに関係してるとか。パワースポットがどうとか言っていたな。話の内容は全然理解できなかったけどさ」


「それって幽霊的な何かとかかな? 黎明高校って、そんなの出るんだね〜!」


 ムスっとしてたと思ったら、今度はムムムという顔をする藍。教室にだと大人しい優等生を演じてるくせに、俺と居る時は色んな表情を向けてくれるんだよな……


「分からん……ただ、文化祭も近いしな。今年の文化祭って旧校舎がメインの文化祭だったよな?」


「そうそう。毎年、秋の文化祭は旧校舎を使って、冬のクリスマスイベントは新校舎でやる感じかなぁ。楽しみだね〜!」


「冬は新校舎って……黎明高校って、なんで毎月の様に学内イベントが豊富にあるんだろうな? 雫姉……雨宮会長の頃から増えたんだっけ?」


「そうだね〜! お姉ちゃん。お家に居ると、お母さんの出席する行事に付き合わされるから、あんまりお家に居たくないみたい。それで学内イベントを増やして、生徒会の仕事でずっと学校に残ってるの」


「家では母親の仕事の手伝い。学校では生徒会長の仕事か……だから最近の雫姉ちゃんは情緒、不安定気味なんだな」


「ん〜? 多分かな? それよりも。ゆー君」


「ん?」


「そんなに。その旧校舎の七菜子さん?だっけ? 気になるなら。明日、図書室で調べてみるのはどうかな? 黎明高校の七不思議」


「調べるっていってもな。文芸部の準備は終わってても……」


 文芸部の準備はトンキでメイド服のコスプレ衣裳とお菓子を大量に買って。児童用の絵本を用意するだけだからもう終わって暇か。


 ただ、クラスの方の準備はまだまだかかるんだよな。蘭がヒロイン役のお姫様衣装を全然着たがらないし。


 佐伯と一ノいちのせが主役の王子様役をどっちも譲らないしで問題が山積みだ。


「そんなんだね〜! それじゃあ、さっき、ゆー君が白鳥さんとイチャイチャしていた動画。雫お姉ちゃんに見せちゃうからね〜!」


 俺は藍の方を見て驚愕した。それは藍が右手にスマホを持って動画を再生させた。


〖ひ、ひぃ!! 知りません。私はただ、気づいたら建宮君に抱かれていただけですから〜!〗


〖〖抱かれていた?……天誅〜!〗〗


 その動画には俺が白鳥に押し倒されている場面だった。なんでそんな動画が撮られてんだよ。


「……藍さんや。その動画はどこで入手を?」


「ん〜? 白鳥さんから提供してもらったよ。七宮さんに貰ったのもあるけど見たいかな? ゆー君」


 藍の満面の笑顔が怖い。つうか、アイツ等!! なにを証拠動画なんか俺に内緒で撮ってんだ?


「いや。いい……それよりも藍。その図書室での調べて物の件なんだが」


「うん。もし断った。雫お姉ちゃんにこの動画を提供しちょうかな」


 俺に拒否権ゼロじゃねえか。 


「ハハハ。明日、図書室での七不思議調べ。楽しみだな。藍」


「うん。そうだね。ゆー君。明日、私と2人のきりの図書室デート楽しみだね」


 ……話が噛み合っていない。どうやら俺は、いつの間にか。藍さんに逆らえない男になってしまった様だ。


 どうしてこうなったー!!……それはきっと筋肉デートに熱中していたツケなんだろうな。


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