第12話 文芸部の出し物は?
「そうだわ。彩愛、話合いの前にちゃんと皆に挨拶しなさい。さっきの貴女の態度無礼だったもの」
「な? 彩葉先輩。そんな!」
「いいから。ちゃんと挨拶しなさい。挨拶もできない娘に育てた覚えはないのだけど?」
秋月部長の睨み付け怖……雫姉ちゃんみたいに怒らせちゃいけないタイプの人リストに追加しておこう。
「つっ!……は、はい。白鳥彩愛です。皆さんと同じクラスメイトで文芸部です。よろしくお願いします!」
「貴方達もさっきの無礼な態度を彩愛に謝りなさい。いくら彩愛がぼっちちゃんで影が薄い娘だからって、認識してあげないのはあまりにも可哀想よ」
「ぐはぁ?! 彩葉先輩。なんでバラしちゃうんですか!」
……ぼっちちゃんなのか? 白鳥さんって? ロックとか聴くのかな?
「ぼっちちゃ……じゃなくて、白鳥さん。ごめん……これからのよろしく」
「えっと……彩愛ちゃんだよね? 久しぶりだね。これからよろしくね」
「ぼっちちゃんなん?……なら、部活終わったらマップ行こうよ。マップ! 友好深めるし~! ぼっちちゃん。よろ~!」
おお、皆個性的な自己紹介ができたな。これならぼっちちゃ……白鳥さんも喜んでくれるだろうな。
「なんですか? ジロジロ私の身体を見て! そんなに私が気になるんですか? そうですよね。私達。幼稚園からずっと同じクラスですものね。建宮君!」
そんな事は無かった。身体を捩れさせて、頬を赤く染めながら俺達の事を嫌悪した眼差しで見て来たぞ。
しかし、俺と始めて喋るのによく喋る娘だな……胸は普通サイズか。藍の方がデカイ。ポヨンポヨンだ。
「いや、全然見てないけどさ……つうか2人共。俺から放れろし」
俺の背中に密着し、胸囲的な圧をかけてくる藍と七宮の拘束を振りほどいた。
「はぅ?! 何するの? ゆー君」
「あぅ?! 何するし? 建宮っち」
「いや、お前等が俺に何してんだよ。もう少しで鼻血出るところだったんだぞ」
ふぅ~! やっと解放されたぜ。最近、鼻からの大量出血が本当に多い。そのうち貧血で倒れるかもとビクビクしている。
本当に最近は刺激が多いからな……色々と。
「挨拶と仲直りができて良かった良かった。フフフ、人が増えると賑やかになるわね」
秋月部長。これを仲直りできたと思えるの凄いですね。白鳥さん。今も俺の事を嫌悪した目で見てるんですけど。
「それじゃあ今年の文化祭の出し物を決めましょうか。何か良いアイデアはあるかしら?」
「はいはいは~い! 建宮っちメインの女装メイド喫茶だし~! 美少年の蘭ちんも呼んで盛大にやって大儲けするし!」
なんて事を言いながら、七宮はスマホを操作して動画を再生し皆に見させ始めた。
『3人共可愛い~! これなら文化祭で、学年売上ナンバー1にもなれるわ』
『こっち向いて蘭様~! 素敵過ぎますわ~!』
『真君。顔上げて上げて~! ソシャゲばっかりしてると脱がせるよ』
『ゆー君が私の前で着替え始めて……メイド姿に……私、冥土に行っちゃうの?(ブシュウウ!!)』
『キャアアア!! 雨宮さんが鼻血を出して倒れたわ。誰が受け止めてえぇ!!』
「オラアア!! 消えろ俺の黒歴史いぃ!!」
俺は七宮のスマホを奪い取るとその動画を問答無用で削除した。
「な?! 何するし。建宮っち。返せし! ウチのスマホ~!」
「うるさいぞ。盗撮魔が! やっぱりあの動画を学年中に広めたのはお前女子連中か。何がAクラスの仲良し動画だ! 学外に広まったどうするつもりだ?」
俺や蘭が外で女の子と間違えられてナンパされるだろうが、本当に何してくれてんだクラスの女子達は。
「そ、そんなの美海ちゃんの謎技術でウチ等の学年しか見れないように細工してあるし」
「美海ちゃん? 誰だそれ? 七宮の脳内疑似的親友か?……ちょっと待て謎技術とか……何だそれ?」
「隣のクラスでウチの親友の美海ちゃんだし。謎技術のハッキング的な? みたいな感じだし? 学校じゃない場所で動画再生すると端末事態がウイルス感染するみたいなノリ?」
ウイルス感染って……おいおい。要は、さっきの動画を学校外で見たら電子機器がウイルス感染して壊れるって事じゃねえか。
本当に何してくれてんの? その七宮の親友は?
「あぁ、例の動画ですか……だから私のスマホ動かなくなったんですね。まぁ、お母さんとのやり取り以外使わないんで、支障は全然無いんで大丈夫ですけどね……フフフ」
ぼっちちゃ……じゃなくて、暗い顔の白鳥さんが何も映ってないスマホを俺達へと見せてきた。
後でお友達になって連絡先を俺達が交換してやるからそんな悲しい顔しないでくれ、ぼっちちゃん。
「七宮。お前これ……マルウェアとか言うやつじゃねえか。何してんだ。アホ!」
俺は七宮の肩を掴もうとした瞬間。七宮は猫のような反射神経で避けてた。そのせいで手が七宮の胸を触ってしまった。
「ちょっ! おっぱい揉むなし! 恥ずかしいんですけど///」
「ゆー君~! 後でお仕置きだね」
「ハレンチ! ハレンチですよ。建宮君!」
藍はニコニコ笑顔でぶちギレ。ぼっちちゃんはアワアワしながら、俺が触ってしまった七宮の胸を凝視している。
「つっ/// わ、悪い……七宮」
あー、俺。死んだわ。色々と。
「ていうか。建宮っち、慌て過ぎだし。美海ちゃんのピッキング技術とかいうの謎技術は、超安全だから」
「全然、安心に聞こえないだが?」
「だから~!壊れた機械端末も1ヶ月くらいすれば動くようになるって美海ちゃんが言ってたから安心だし。ウチの親友を信用してよみたいな?」
な、なんも信用できねえぇ! なに可愛くウインクしてんだコイツ~!
「うんうん。本当に人が増えてくれて良かったわ。それじゃあ、その他にも案を出してくれるかしら? どんどんいきましょう」
秋月部長は俺達のやり取りなんて全然気にする事なく話を進めていく。こういうやり取りになれてんのかな?
七宮の奴。後でハッキングやらについては、その親友の美海ちゃんとやらを呼び出して一緒に尋問してやるから覚悟しとけよ。
「え、えっと……ラノベの音読会を……ワタナベとかどうですか?」
「…………BLの展示会したいです。彩葉先輩」
「文芸部は可愛い女の子が多いんだから、女の子のメイド喫茶やりましょう。俺は着ませんけど」
ここで牽制しておく。俺はもう2度と人前でメイド服を着て女装はしないぞ。
そんな感じでどんどん案が出されていった。
「うん。じゃあ、今回の文化祭の出し物は建宮君を中心とした。メイド服を着ながらの音読会に決定ね。これならコスプレをするだげだから準備め簡単に終わりそうだし。楽ね」
「反対! 反た……ごもぁ?!」
「賛成だし~! 暇な時に給仕もできるから最高だし。静華っち達にも手伝ってもらうって盛大にやるし」
「うんうん。凄く良いね。やったね。ゆー君、沢山おめかししようね」
「建宮君と蘭様の……女装メイド……プハァ!!」
白鳥さんは気持ち悪い笑みを浮かびながら鼻血を吹き出した。なんだこの娘俺と同類か。鼻血仲間が増えたよ。
そして、皆から出された案はまとまり、俺以外の部員は『メイド服を着ながらの音読会』に賛同し。文芸部の出し物は決まった。




