第10話 ホームルームでボッコボッコ
「ホームルーム中に何のソシャゲやってんだ? 真」
「ん~? 叡知なゲームかな。アレちゃんが最推しの娘だよ~!」
「アレちゃん? 誰?」
「これはまだベータ版なんだけどね。ニャンニャンできるんだ」
「……うん。よく分からんが真が幸せならいいや」
「うん。ありがとう~!」
スマホ画面を夢中で見ているのが親友の真。自称叡知なゲーム愛好家。
そして、流石は俺の親友の1人。なに言ってんのか分からんな。
「は~い! 皆さん。お静かに~! ロングホームルームで自由時間ではありますが。私達のクラスの出し物まだ決まってないんですからね」
「何か案があったらどんどん出してね」
うちのクラスの委員長の佐伯と蘭が教卓でそう話すと次々と女子達が手を上げて、文化祭の出し物の案を出していく。
「蘭様メインの女装喫茶!!」
「違うわよ。蘭君がメインヒロインのロミジュリよ」
「じゃあ元カノの私が王子様役ね~!」
「「「それは許さん!!」」」
「ひぇ……」
「それでは変わりに私が蘭々の王子様に」
「「「それも許さん!!」」」
「うぇ?」
流石、秀才美少年の蘭。クラスの女子達に大人気だな。
蘭に女子達が群がってあっちこっちボディータッチされてるな。取り合いだぜ。取り合い。いや微かに男達も交ざってるわ。
「どこ触ろうとしてるの皆? 僕、男の子だよ?!」
「ドレスの寸法を計るのよ。蘭君」
「退いて下さい! 蘭々は私の幼馴染みなんですよ」
「私は元カノなんだけど~!」
相変わらず賑やかなクラスだよな。うちのクラスって個性豊かな奴等ばっかりだわ。
「デュフフ……可愛いよ。アレちゃん」
皆が盛り上がってる間。真君は叡知なソシャゲにご満悦かよ。レベル高いな。おい……
「……本当に個性豊かなクラスだわ」
「なんだしなんだし。何を黄昏てんだし。建宮っち。クラスの話し合いはちゃんと参加しろし」
モニュモニュッ!
……あれ? この感触は?
「七宮。教室でいきなり後ろから抱き付いて来るなよな。皆が見て……無いか」
「な、七宮さん。どさくさに紛れてゆー君に抱き付いてるの? 羨ま…じゃなくて。ゆー君から離れて。皆に見られちゃうよ」
「え~? 嫌だし。うちは建宮っちとコミュニケーションたいだけだし。ね~? 建宮っち」
「何がコミュニケーションだ。放れろ。ヤンキーギャル」
「はあぁ?! ウチはヤンキーギャルじゃないしをピチピチの金髪美少女ギャルだし」
なんで月に変わってお仕置きよのポーズしてんだよ。たしか主人公は金髪兎だけど。
七宮。お前は金髪兎というよりもは金髪狼だろうが。肉食系の獲物を刈り取る方。
「いい加減放れろ。当たってるし……藍も怒ってるだろう」
俺は胸を押し立てて来る七宮を容赦なく振り払った。そんな胸囲なんか藍で慣れてるから。きかん!
「ふわぁ?! な、何するし? うちがせっかく一生懸命張り付いたのに」
「一生懸命張り付くな。俺達が仲睦まじく見えるだろう」
「仲睦まじいし。ふざけんなし! うちの事を守ってくれるって言ってたのは嘘だったん? 建宮っちは最初からうちの身体が目当てだたし?」
「お、お前。今、ホームルームとはいえ授業中だぞ。それになんで皆が誤解を抱くような言い回ししてんだ!」
不味い不味い。七宮の奴。大声で叫びよって。これはクラスの全員に聴かれ……
ガシッ!
「ヒイッ?!」
「ちょっと。文化祭の事は後にして集合しましょうか。建宮君」
「……建宮。アンタ……何、私達の親友にちょっかいかけてるわけ?」
「佐伯……山河……」
七宮と仲が良い。佐伯と山河に両肩を掴まれた。めちゃくちゃキレた顔してるわ。俺終ったわ。
「ゆー君。どういう事かな? 七宮の身体に何したのかな?」
藍が病んだ顔で俺にそろりそろりと近付いて来る。
「何? 何? 建宮君。またいけない事したの?」
「アンタ。藍がいるんじゃないの? ふざけてるの?」
藍の親友の一之瀬さんと九条さんが、俺が逃げられないように囲い始めた。いや、2人だけじゃない……
「何? 美来ちゃんの事泣かしたの?」
「嘘でしょう? ウチ等のクラスボスを?」
「やっちゃう? 建宮君。どうする皆処す? 処しちゃう?」
わらわらと集まってくるクラスの女子達。
「……あぁ、俺しんだわ」
「ギルティーです!」
「「「オラッ!」」」
委員長の佐伯のその一言を合図を最後に俺は死んだ。
「無……ギャアアア!!」
ちなみにクラスの男子の殆どは、美少年の蘭に夢中で取り囲んでいた。
「蘭君。俺が主役になってやるからな」
「いや。俺が!」
「いやいや。俺だわ」
「皆~! 僕、男の子なんだけど~!」
◇
《放課後 文芸部室》
「なんて事があったんですよ。秋月部長。ふんっ!」
「……成る程。だから顔が腫れているのね。よく分かったわ」
「建宮っち。皆を勘違いさせるような事を言ってごめんなさいだし~! だから両頬ひしゃらなひぃでひゃし~!」
俺はその事を秋月部長に報告しながら、七宮の頬っぺたを伸ばしていた。




