二つの顔を持つ詐欺師
私の名前は雪風吹雪こうみえて就活がようやく終わり、非常に嬉しいという気持ちを抱えている元就活生である。
ここは私の大学の近くにあるカフェなのだが毎日の様に通っていたが、就活している時には通えなかった場所である。
「そのノート、就活用?」
突然一人の男が話しかけてきた。
おいおいふざけるなよ。
こっちはな半年ぶりにこのカフェにこれて嬉しかったんだよ!
なのにこいつのせいで台無しだ。
「おまたせしました!フルーツサンドとアイスコーヒーです」
店員がおいしそうなサンドウィッチと共に氷が入ったコーヒーが運ばれてくる。
「ありがとうございます」
変な男はサンドウィッチを食べ始めた私を怪訝な目で見ながらも、食べ進める事にした。
「よかったらそのノート見せてもらえない?」
「別にいいですけど…」
「ありがとう!へえ…君いろんな事書き込んでるね」
変な男はいきなりノートを見始めてそんな事を言い始める
「どうやら就活で悩んでるみたいだね…そんな君にこのセミナー受けてみない?」
気持ち悪!!
なんなんこいつ…
いきなり話しかけたと思ったらそれかよ…
正直この手の奴はパターン化してるし私も一度引っかかった事があるからもうこりごりなんだよ!
「すいませんそういうセミナーには興味なくて…あの私もう行かないといけないので…失礼します」
「俺実はベンチャー企業で社長をやってるんだけどどう?うちの会社にこない?」
正直言いづらいが、すでに私はもう内定が取れている。
しかも大企業の一つであるスター銀行にだ。
確かに私はベンチャー企業には興味があるが…それでもこの男には惹かれない
正直初任給40万円と福利厚生が充実していたから入るだけだけど…
「いやもう私行く会社決まってるんで…すいません…もういいですか?」
「俺が直々に出てやっているんだまさか断るのか?別にいいけどさ…じゃあこのオンラインセミナー受けてみない?」
めんどくさい自称(笑)社長はまだ食いつく。
社長だかなんだか知らないが社長がこんな平日の真昼間に外でこんな奴に話しかけるかよ、暇だなおい。
そもそもこいつ絶対社長じゃないじゃん。
なんなんだよこいつ。
「すいませんちょっとそういうのに興味が無くて…もう良いですか?」
「いいから話だけでも聞けよ!」
男は声を荒げる。
正直この男にはもう興味がないしただうっとうしい。
蠅の様だな…
と思いながらこのままだと彼に殴られそうだし、話だけでも聞いとくか…
めんどくせー!!
「分かりました。話を聞きます」
「それでいいんだよそれでまずな、この自己啓発セミナーって言うのはな……」
15分後
長いなー
うん
長い
「それで、俺実は大学の頃テニスサークルで部長をつとめててさ、そん時の話なんだけど…」
10分後
「だから俺年収1000万なんだよね。」
なんかいつのまにかそいつの自慢話になってるし”いつの間にか”
さてと…
もうサンドウィッチは食べ終わったし、逃げるか、コーヒーも飲んだし、
「すいませんこの後友人と遊びに行く予定なので失礼します」
「良かったら俺とこの後遊びに行かない?」
友達と遊びに行くっていってんじゃん!
本当に人の神経を苛立たせる事しかできないのかこいつは!
「逃げませんよただ本当に用事があって…」
「一時間だけでいいから!」
男が立ち上がって私にそう言ってくるが…
さっきから思ってるが、この男セミナーの勧誘と同時にナンパしてるな
こうなったら最終奥義!
「すいませんちょっと私お手洗いに…」
そういうと私はSaySayで決済を済ませ颯爽とその店を出て行った。
不幸中の幸いかレジの近くにトイレがついててよかった…
お手洗いに行くと見せかけて店を出ていく私の必殺技!
やべ!
あの男追いかけてくるんじゃん!
走って逃げよ!
「おい!待て!!」
「はいそこのお兄さんちょっといい?」
一人の若い警察官が男に声をかける。
自称社長(笑)は職質に捕まった。
後日その男は横領、詐欺、恐喝、脱税の容疑で逮捕された。
というニュースをカフェでサンドウィッチをほおばりながら見た。
「あいつもアホだなやるならばれない様にしないとこの私みたいにね…」
そういうと私は席を後にし就活で悩んでそうなスーツを着ている男の人に声をかける。
「そのノート、就活用?」
他にも小説を書いてるのでよければ読んでみてください