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chapter.3

「着きました。こちらがクロックフォード様のお部屋でございます。何かございましたら、お呼びください」

笑顔のひとつもない侍女頭。廊下の奥に連れて来るあたり、ラファエロの寝室とは程遠いのだろう。

「部屋は綺麗に保たれてるようだけど、これじゃあまるで客室ね」

扉を開け、辺りを見回すが質素な置物ばかりで何も無かった。長旅で疲れているのに、お茶も出さないなんて、歓迎されていないことは重々理解した。

「お嬢様、今お茶をお持ちしますね」

シルフィアの表情を読み取ったのか、エマはお茶を入れようとまた部屋を出る。

誰もいないこの部屋は、エマと二人でいるよりさらに広く感じた。

シルフィアはソファに座り、疲れた身体を休ませようとため息するのと同時にノックがした。お茶をいれに行ったエマがもう帰ってきたのだろうか?

「はい。どうぞ」

「失礼致します。クロックフォード様」

扉の前にいたのはエマではなく、亜麻色の髪を耳下で一つに結った男だった。

「えっと…」

シルフィアが困惑していると、彼は頭を下げる。

「ラファエロ様の補佐官をしております。リベルドと申します」

他の使用人とは、別に礼儀のあるリベルドだが“一般的な使用人”と変わらず、それ以上でもそれ以下でもない対応だった。

「―――シルフィアよ。よろしくお願いするわね」

「突然ですが、3日後には式を挙げるそうです。公爵閣下がお忙しいため、簡略され屋敷の者だけの出席となります」

それはもう結婚式のお披露目ではない。ただの屋敷使用人の集まりだ。

一般的な結婚式は、親族はもちろん。爵位の高い一族には皇帝夫妻も参加する。

「…えぇ。分かったわ。式のためのドレスは用意していないのでしょう?こちらで準備すればいいのかしら」

リベルドは少し間を空け、「はい」と頷くだけだった。

「それでは失礼します」

リベルドは軽く頭を下げ、部屋を出ていく。

ちょうど入れ違いで、エマがティーセットを乗せたトレイを持ってシルフィアの目の前で歩いてくる。

「さっき、端正な顔立ちの方が部屋から出てきましたよね!?」

「リベルドよ。それと、結婚式が3日後行われるそうなの。明日には仕立て屋を呼んでおいてちょうだい」

エマはティーポットで注いでいたのを止め、大きな声を出した。

「3日後ですか!?」

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