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序章

異世界、三陽さんよう

ときに争い、ときに和解した少年たちがいた。その者の名は中厨坐なかちゅうざ 蘭陽らんよう中厨坐なかちゅうざ りん

その者たちは日々切磋琢磨し、互いを磨いていった。…というのは表向き。

その者たちは血で血を洗うような日々を過ごしてきたという。

これはふたつの魂がひとつになるまでの物語ー



ときは794年、夏。

猛烈な暑さの中、任命式が行われた。

月の王と太陽の王、ふたりが王となり国を収めるといわれているからだ。

ふたりはみことのりを持って頭を下げる。

この国では異能が存在する。

闇の力ー陰と、陽。どちらかふたつを完壁に使いこなせるものだけが、この国の王となれるのだ。


「これより、中厨坐蘭陽と中厨坐麟の任命式を行う!」


ふたりは前へ進む。

自分たちの父親が座っている椅子いすの前で跪くのだ。

なんだか、とてつもない何かが感じた。


「蘭陽には陽の後宮を。麟には陰の後宮を頼む。ゴホッゴホッ…。朕はもう長くない。それでは、行くぞ。好きに暮らせ…」


父の寿命はあと3年。

力を使いすぎたせいか、あと3年しかたないと医師ー陽陰師よういんしに告げられた。

三陽では医者を陽陰師と呼び、後宮、朝廷ちょうていからは大切にされている。


蘭陽は麟を励ました。

実の父親は違うが、実の兄弟のように育てられたので本当の弟のように思っているのだ。

麟が悲しんでいれば、いつだって、どこにいたって励ます。

隠しごとはしたことないくらい仲良しなのだ。


「麟…」

「兄上…ひっく…うっ…」

「麟!!」


麟がいきなり胸を抑えた。これが、三陽を脅かす原因となったのである。

すると突如、麟が倒れた。

周りの者が騒ぎ出す。


「麟ー!!!」


蘭陽の声が三陽中に響き渡る。

それに加え、後宮にも何か異変が起きたようだ。

来てはいけない者が来た、そんな気がしたー



***


「これより妃様さま方の任命式を行います。皆さまどうぞ、静粛に」

「まず、西華せいか家当主の娘、西華せいか 琳禮りんれいさま」

「はい」


13歳くらいだろうか。まだ幼い姫が、ひとりで前に出てくる。


「闇ー」

「いえ、陽です」

「ありがとう存じます。琳禮さまには、陽の後宮に入っていただきます」

「恐悦至極に存じます、陛下」


琳禮が下がったあと、漆黒の衣に身を隠した姫が現れた。

この者はきっと、陽ではなく陰の後宮に入りたいのだろう。

姫たちは入りたい後宮に合わせ、衣の色を変えなければならない。

この者は黒。

しかも漆黒という一番姫君に似合わない色だ。親に無理やり着させられたのか、それとも自分で着たのか。

いずれわかる。


白壇龍はくだんりゅう 俐子りこさまには陰の後宮を」

「ありがとう存じます」


俐子は詔を賜る。

すると、にやっと笑った。

これが三陽の安泰を安泰を脅かしたのである。

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