初の武器
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朝。
リョウマは目を覚まし、布団を片付ける。
「お、起きたか!」
「おはようございます」
「朝飯作るから、顔でも洗ってこい!」
田舎に水道なんてものはないため、近くにある井戸にいって顔を洗う。
リョウマに顔なんてないので行く必要はないのだが、怪しまれないように外に出た。
「・・・雨が降りそうだ」
昨日まではとてもいい天気だったが、この日の空は厚い雲で覆われていた。
今は大丈夫だが、いつ降ってもおかしくない。
リョウマは外に出たついでに、ネル村長の家に顔を出すことにした。
「おはようございます」
「おや、リョウマ。昨日はよく眠れたかい?」
「おかげさまで」
「あのバートンのことだから、迷惑かけていないか心配だったけど大丈夫だったみたいだね」
「迷惑だなんてとんでもない」
「そうかいそうかい。今日にはもう発ってしまうのかい?」
「そのつもりです。バートンさんに剣を作ってもらう予定なので、それが完成でき次第ですが」
「今日は雨が降りそうだからね。気を付けていくんだよ」
「ありがとうございます」
「それと、森を歩くときは気をつけな」
「気を付ける?」
「最近魔物が騒がしい。ときどき何かが吠える声も聞こえる。命は大切にするんだよ」
「わかりました」
リョウマはその魔物の正体に心当たりがあった。
それは初めて地下牢から外に出たときに聞いた、ドラゴンと思われる咆哮。
力をもった魔物が近くにいれば、他の弱い魔物たちが騒がしくなるのも無理はない。
少しの恐れを抱きながら、バートンの家へと戻った。
「お、もどったか! それじゃあ朝飯にしよう!」
リョウマはバートンに朝食を貰い、昨晩と同じように一人で食べる。
その後、バートンは鍛冶場でリョウマの武器をつくるため籠ってしまった。
リョウマは時間が出来たので、昨日と同じ場所でホーンラビットを狩ることにする。
今回は素材を集める必要がないので、死霊魔法を積極的に使う。
「ホーンラビットをアンデットにしていけば戦力が増えて、効率的に狩れるようになるはずだ。とりあえず昨日と同じく10体を目標にがんばるか」
最初のホーンラビットは昨日と同じく不意打ちで仕留める。
死霊魔法を使うと、ホーンラビットがボーンラビットへと変化。
骨のみでできた身体のラビットが誕生したのだ。
リョウマは、このボーンラビットと連携しつつさらに討伐していく。
味方を増やしながら倒していくため、一体一体を倒す時間が徐々に短縮されていった。
そして一時間ほどで、目標にしていた10体を討伐しアンデット化することが出来たのだ。
「いい時間だな。戻るか。・・・あ、降ってきた」
雨が強くなる前に急いで村に戻る。
ボーンラビットを村の中に入れるわけにはいかないので、近くに待機させて一人でバートンの家に向かった。
「お、リョウマ! ちょうど今完成したぞ!」
「本当ですか」
「見てみろ!」
「これは綺麗だ・・・」
剣身はホーンラビットの角と同じ白。
それに対して鍔と握りは黒。
柄頭には一体の龍が描かれていた。
「名は『兎角・白』。大した剣じゃないが、簡単には壊れないはずだ!」
「いえ。ありがとうございます!」
「剣もできたことだし、もう行くのか?」
「はい、お世話になりました」
「天気も悪いし、もう一晩くらいいいんだぞ」
「いつまでもお世話になれませんから」
「そうか。・・・まあ、元気でやれよ!」
「はい!」
リョウマはバートンから被り笠をもらい、家を出発したのだった。
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