ダレスとの出会い
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—————死霊魔法の使用が可能です。使用しますか?
「これは思わぬ収穫だ。もちろん死霊魔法を使うぞ」
—————死霊魔法を使用します。
魔法陣が黒紫色に輝きだす。
そして肉が完全に溶け、骨だけが残った。
ついには目に光がともり、新たな魔物として誕生する。
「オレは・・・」
巨人族だったダレスは、死霊魔法によってメガスケルトンへと生まれ変わったのだ。
体長は10メートルほどもある。
「俺の名はリョウマ。お前に新たな命を与えた者だ」
「リョウマ・・。もしかしてリョウマというのは、大魔導士リョウマのことですか?」
「その通り。今はただのリッチだけどね」
ダレスはリョウマと同じ時代を生きてきた人だ。
だからこそリョウマの凄さは当時から知っていた。
その人物に会えた喜びと、死霊魔法によって復活した効果により、リョウマを神のように崇める。
「新たに命を授けていただき、ありがとうございます。この命はリョウマ様のためにお使いください」
リョウマに対して跪き、忠誠を誓った。
「これからの働きに期待しているぞ」
「はい。・・・それでオレは何をすればいいでしょうか」
「その前に話を聞かせて欲しい。なぜダレスの肉体が残っていたのかや、この地下牢についてわかる範囲で教えてくれ」
「詳しいことは分かりませんが、出来る限りお教えいたします」
そもそもなぜダレスが処刑ではなく、レベル3として監禁されていたのかというと、高すぎる生命力と強靭な肉体にあった。
元から巨人族は生命力が高く、他の種族よりも寿命が長い。
長いもので千年生きるとも言われている。
ダレスは巨人族の中でも、桁違いに生命力が高かったのだ。
だから、処刑するために毒を飲ませてもすぐに回復。
肉体も強かったため、ギロチンで首をはねようにもギロチンの刃が負けた。
ダレスは処刑しなかったのではなく、処刑できなかったのだ。
「もしかしてダレスは、生命力が高すぎたことで長生きし、俺に出会うまで肉体が残っていたというのか」
「おそらくそうだと思われます」
「どのくらい生きていたのか分かるか?」
「千年を超えてから数えることを止めました。ただ、五千年ほどは生きていたと思います」
「凄まじいな・・・」
「大魔導士のリョウマ様に褒めていただける日が来るなんて、思ってもみませんでした」
「それじゃあその間に帝国で起きていたことについてもわかるか?」
「ええ。わかります」
「ぜひ教えてくれ」
リョウマが息絶えてから数か月後、リョウマのような力を持つものを処刑する帝国に対して、大規模な反乱がおきた。
これによって帝国中で争いが起きるようになり、ついには崩壊。
その後はいくつかの国や集落がつくられ、いつしか帝国のことは忘れ去られてしまった。
それに伴って地下牢も放置されたのだ。
「やはり帝国はすでに滅んでいたんだな」
「はい」
「俺の手で潰したかったけど、まあいい。この世を支配することに変わりはないからな」
「世界征服ということですか?」
「そうだ。何か不満でもあるのか?」
「いえいえ! そんなものあるはずがありません!」
「ではどうした?」
「そんなこと出来るのかと思いまして・・・。あの帝国ですら出来なかったことですし」
「難しいことであるのは重々承知している。しかし、やらなくては過去と同じような扱いを受けてしまうかもしれない。だからこそ、俺が世界で一番の力を持たなくてはならないのだ」
「確かに力を持つことは必要。ですが・・・」
「まだ何かあるのか?」
「いえ、リョウマ様が世界征服を成し遂げられるよう、このダレスがわずかながら助力いたします」
「ああ。よろしくな」
リョウマに対して何か思うところがあったダレスだが、それを言葉にすることはしなかった。
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