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エルフの神界

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 リョウマたちがアーチをくぐりぬけると、そこは木々に囲まれた広場だった。

 木の背丈は数十メートルあり、そこから木漏れ日がさしている。

 木の上には住居もあり、誰かが生活している様子が見て取れた。

 少し離れたところにある遊具では子供が遊んでいる。


「ここは・・・」

「キレイな場所ですね。心が洗われるようです」


 周囲の光景に心を奪われていると、アーチの中から少女が出てきた。


「リョウマさん!」

「・・・!」


 フーアはリョウマの前に行き、涙を浮かべながら謝罪をする。


「約束を守れなくてごめんなさい!」

「・・・」

「私が約束を守れなかったから、リョウマさんを危険な目に遭わせてしまった・・・。私には冒険者と止められませんでした・・・」

「リョウマさま。やはり何か事情があったようですよ」

「・・・」

「話くらい聞いてはいかがですか」


 ダレスがリョウマを説得しようとしたとき、アーチの中から案内した蝶が出てきた。

 そしてアーチは閉じ、何もなかったようにもどる。


「揃いましたね・・・」


 蝶は光はじめ、形が変化していく。

 徐々に大きくなり人の形を作っていった。

 160センチほどで細身。

 少し耳が尖っていて長い。

 

 光が収まると、そこには緑髪で整った顔立ちの女性が立っていた。

 その女性はダレスを向き、頭を下げて挨拶をする。


「ここまで来ていただきありがとうございました」

「ん?」


 いきなり言葉遣いが丁寧になり、リョウマたちも困惑していた。


「ダレス、知っている人か?」

「いえ・・・」


 女性が挨拶したことを合図に、木々の中から人が現れ始める。

 どの人も男女問わず、緑の髪で耳が長かった。

 そしてダレスに向かい、総勢50人ほどの人が頭を下げる。


「「「ようこそお越しくださいました」」」


 ダレスへ、アーチで案内してきた女性が話し始めた。


「まずはエルフの神界へ来ていただいた事へ感謝を。当然のことで理解できないと思います。ですので、森人族族長であるワタシが説明しましょう」

「感謝します」


 リョウマたちが案内されたのは、森人族が暮らすエルフの神界と呼ばれる場所だった。

 森人族は別名、エルフとも呼ばれていることからこのような名になっている。


「俺達にも説明してくれるのか?」

「・・・?」


 ダレスにしていたやわらかい表情から一変。

 リョウマに対しては険しい顔になる。


「どうして魔物なんかに説明しなければならないんだ? お前たちはこの方と親しげにしていたから、仕方なく案内したに過ぎない」

「この方ってダレスのことか? やっぱり知り合いなんじゃないか」

「いえ・・・記憶にありませんが・・・」

「ダレス様というのですね!」


 ダレスの名前を知った森人族の人たちは名前を呼び、一斉に拍手をし始めた。


「ダレス様というのか・・・!」

「ダレス様!!」


「すごいな・・・」


 リョウマが森人族の人達に圧倒されていると、レイシアはダレスを案内する。


「それではダレス様、ご案内いたします。こちらへどうぞ」

「は、はい・・・」


 残されるリョウマはレイシアに尋ねた。


「どうしても教えてくれないのか?」

「ワタシらから教えることは無い。これ以上駄々をこねるなら、あの氷の剣士のように木に変えるぞ?」

「・・・」

「リョウマさま。後で聞いたことはお教えいたしますから。今は言う通りにしましょう。オレが教える分には問題ないですよね?」

「もちろんです!」

「ではリョウマさまは、少しここでお待ちください」

「・・・わかった」


 そう言ってレイシアに案内されながらダレスは、一番大きな建物へと向かっていった。

 もちろん他の森人族も同伴しているため、残されたのはリョウマとアンデッド。

 そしてフーアだった。


読んでいただきありがとうございます!

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