初の死霊魔法
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—————死霊魔法の使用が可能です。使用しますか?
「あ、これはまだ使えるのか」
リョウマがこれと言ったのは、思考補助魔法。
まだ人として生きていたころのリョウマは、高度な魔法の使用を可能とするために開発した魔法。
自らの精神内に疑似的な人格を生み出すことで、通常の2倍の思考力を手に入れることができる。
精神に施した魔法であったことから、スケルトンとして生まれ変わっても思考補助ができたのだ。
さらに頭ではわからない自分の事についても教えてくれる。
「死霊魔法を使う前に、俺の状態について教えて欲しい。死霊魔法を使えることも知らなかったし」
—————では、簡易的なステータスを表示します。
名前:リョウマ
種族:リッチ
レベル:2
スキル:死霊魔法Ⅰ
「俺はスケルトンじゃなく、リッチだったのか」
—————死霊魔法は使用しますか?
「お、そうだったな。じゃあ頼んだ」
—————3体の魔物に死霊魔法を使用します。
ゴブリンの周りに魔法陣が浮かび上がり、黒紫色に発光している。
そして徐々にゴブリンの肉が溶け出し、白い骨だけになった。
光が収まるとスケルトンが立ち上がる。
「これが死霊魔法なのか。倒せば倒すほど強くなれるな」
死霊魔法は、体内に魔石を持つ魔物の死体をスケルトンのようなアンデットにする。
生み出されたアンデットは、生み出した人に絶対の忠誠心があり裏切ることは無い。
またアンデットが他の魔物を倒して得たマナの一部を、生み出した人が吸収する。
つまりリョウマが何もしなくても、レベルを上げることが出来るのだ。
今回生み出されたスケルトンたちも、リョウマへの忠誠心を持っている。
リョウマに対して跪き、指示を仰いていた。
「とりあえず俺は外へと向かう。だからそれに付き添ってくれ」
スケルトンたちは頷き、リョウマの後ろに立つ。
そしてリョウマたちは地下牢を上へと進んで行った。
その道中にキラーバットなどの魔物を見かけたが、いち早く情報を手に入れるために戦闘は避けていた。
リョウマは地下牢で目覚めたばかり。
何年ここにいたのか、何故地下牢が風化しているのかなど、知らない事だらけ。
世界征服するためにも、昔と何が変わっているのか知りたかったのだ。
「そろそろ地下牢を抜け出せるな。果たして帝城はどうなっていることやら」
人であった頃の地下牢の入り口は魔道具でできており、一部の人しか開閉をすることが出来なかった。
抜け出すことや破壊することが出来ない事から、帝城の地下牢は脱獄不可能と言われていたのだ。
どんな者でも収監できるように、かなり大きく作られている。
ただ出入りをするために巨大な魔道具を動かすのは大変なので、脇に成人男性が通れるくらいの扉もあった。
もちろんこれも魔道具だ。
そんな魔道具も、今となってはただの石の扉。
力を加えることで、簡単に開くことが出来た。
開けると外の眩しい光が差し込む。
そして衝撃の光景を目にすることになった。
「これは・・・!?」
扉を開けると、そこは樹海の中だった。
周りを数十メートルもある大木が囲み、かつて帝国の街並みがあったとは思えない。
大きな扉は崖に取りついているみたいに存在している。
これは帝国が栄えていた時と同じ。
帝国の南側は到底登れないほど高い崖が続いていた。
その崖を掘ることで、帝国の下に地下牢を作り上げたのだ
「こんなにも変わってしまったというのか・・・!」
恨みを晴らすべき相手がいるのか不安になったリョウマだったが、そんなことを心配してもしょうがないと思い、次の行動を考え始めた。
「とりあえずどんな敵が現れてもいいように、戦力を増強するのは絶対だ。あとは地下牢の中と周辺の調査だな」」
その時、遠くの方で咆哮が聞こえてきた。
リョウマはその声に聞き覚えがある。
「今のはドラゴンか・・・?」
魔物の中でも最強格。
ドラゴンの年齢によって体の大きさが変わり、幼竜、成竜、老竜と分けられている。
長く生きれば生きるほど力をつけ、老竜に分類されるドラゴンは全盛期のリョウマであっても楽に倒すことが出来なかった相手だ。
「せめて幼竜くらいであってほしいな」
そのドラゴンは遠くにいるのか、姿を見ることが出来なかった。
リョウマは力をつけなくてはやられるという危機感を、さらに感じるようになったことは間違いない。
リョウマたちは再び、自分が目覚めた最下層の部屋へと戻っていった。
その道中に遭遇した魔物との戦闘は避けず、スケルトンたちが連携して討伐。
倒された魔物をリョウマの死霊魔法でアンデット化し、さらに戦力増強していく。
リョウマのアンデット
・スケルトン×7
・ボーンバット×3
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