誕生
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その男の名はリョウマ。
かつて人族最高峰の魔導士といわれ、数々の魔物などを倒してきた。
年齢も18歳と若く、その才能には誰もが憧れた。
しかし人族の王は、あまりに力を持ったリョウマのことを恐れるようになり、挙句の果てに地下牢の最下層へと閉じ込めてしまう。
魔道具によって力を使うことができず、脱出は不可能であった。
人族の為に命を懸けてきたリョウマは、捕らわれたことで怒りや憎しみなどの負の感情が増幅。
最期の時まで消えることは無かった・・・。
「・・・これは」
リョウマが最期を迎えてから数千年の時が経ち、この世への未練からアンデットであるスケルトンとして生まれ変わったのだ。
かつての力などは失われていたが、負の感情は消えていなかった。
「生き返ったのならやることは決まっている。もう誰の支配も受けない・・・。この世を俺のものとする・・・。そうすれば・・・」
リョウマは立ち上がり、閉じ込められていた部屋から出る。
それは、かつての大魔導士が世界征服へと動き出した瞬間だった。
リョウマが閉じ込められていたのは、かつて人族最大の帝国であった場所の最下層。
すでに帝国は滅んでいるため、地下牢はかなり風化している。
「とりあえずは、外に出るために上へいくか」
地下牢は3階層に分かれている。
最下層に当たる3階層目は、もっとも危険な人物を閉じ込めるために頑丈な造りとなっていた。
各フロアは何万人も入れるくらい、広大だ。
このことは、もちろんリョウマも知っている。
最終的には捕らえられてしまったが、それ以前は帝国の中でもかなり上の地位にいた為だ。
だから上への行き方も問題ない。
「歩くしかないか。人のときは魔法で一瞬だったんだがな・・・」
リョウマが階段に向かっていると、地下牢内を何かが歩く影が見えた。
「誰かいるのか?」
追いかけてみると、それは人ではなかった。
ゴブリンという魔物だったのだ。
しかも3体もいる。
「ゴブ!」
1体のゴブリンがリョウマの存在に気がつき、襲ってきた。
ゴブリンは棍棒を振り回し、リョウマを倒そうとしているのだ。
「この地下牢はダンジョン化しているのか。もしかしたら、ダンジョン化していたおかげで俺が復活できたのかもしれないな」
ダンジョンというのは、魔物が自然発生する場所のことである。
ダンジョンで生まれた魔物が外に出て、人族に脅威をもたらしていた。
だが人族にとって、魔物というのはありがたい存在でもある。
魔物を倒すとマナを吸収することが可能。
マナによってレベルが上がり、さらなる強敵に挑めるようになるのだ。
もちろん強敵になればなるほど、吸収できるマナの量は増える。
リョウマは近くにあった、人の頭ほどの岩を1体のゴブリンめがけて投げた。
しかし、そんな単純な攻撃は躱されてしまう。
ゴブリンは岩の飛んでくる方向を見て、判断し行動したのだ。
「今だ!」
ゴブリンは岩を目で追っかけてしまったことで、一瞬リョウマを視線から外した。
その隙にゴブリンの棍棒を奪い、流れるような動きで3体を仕留めることに成功。
スケルトンとしての最初の戦闘は、リョウマの圧勝だったのだ。
すると、リョウマの頭の中に女性のような声が響いた。
—————死霊魔法の使用が可能です。使用しますか?
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