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なにがあった父よ

 

  皆さんこんにちは、悪役令嬢()アレット・フォン・ガルシニアです。


  お察しですか?そうです、何番煎じだよと言いたくなる、悪役令嬢転生です。まさにテンプレ。


  ゲームの設定もこれまたテンプレで、庶民として生まれ育ったヒロインが、唯一の家族だと思っていた母親の死後父親を名乗る貴族が迎えに来て庶子だったと判明。王都の学園に入学して紆余曲折ありながら気に入った攻略対象を攻略していく、王道の乙女ゲー。

攻略対象者も正に王道って感じで、あんまり大ヒットって感じでは無かった。ただ、逆に捻りがない故に安心してプレイ出来ると一定数の支持は得ていたのだ。

 さらに無駄に声優陣が豪華で、それ目当ての人たちも多かった模様。私も普段はゲームはスマホゲーばかりだったが、推しの声優さんが目当てでプレイしていた。


  ちょっとばかし自己紹介をしましょう。

 まず前世から。

 まぁ、可もなく不可もなくな普通の社会人でした。

  多分享年25。

 一人暮らしで、平々凡々、まぁ多少オタク度の濃い、

  自由で平和な生活をしてたわけです。

 死んだ時の記憶がないので、享年に多分がつく訳ですが、まぁ、転生したってことは死んだってことでしょう。

 それは過ぎたことなのでおいといて。


  で、今世は、エドガー・フォン・ガルシニア公爵を父に持ち、伯爵令嬢だった母から生まれた生粋のお嬢様として生まれ変わったわけです。

 現在4歳、ピッチピチの幼女やってます。

 実は前世の記憶は生まれた時からあって、周囲の会話からここが前世でプレイした乙女ゲーの世界なのは早々に気づいたんだけど、なんかね、設定のアレットとちょっと違和感があって、お気楽幼女満喫してました。

 

  というのも、設定のアレットって、まぁテンプレ的な傲慢な令嬢だった訳ですが、、、

 その背景として、父は家庭を省みず仕事人間の冷徹人間、実母は産後の肥立ちが悪くそのまま他界。その後、遠縁から跡継ぎのために来た継母と義兄とは折り合いが悪く、孤独からひねくれ我儘に育ち、権力を笠に来て選民思想バンザイの傲慢令嬢になるわけです。



 が、、、



―――――――――――――




「アレットぉ!ただいまーっ♡」


 んギューっ、チュッチュ、んギューっ、なでなでなでなで




 ノックもなく開けられたドアから文字通り飛び込んできたのは、煌めく銀髪と銀の瞳、服の上からでもわかるほど鍛えられた筋肉美。平時ならその眼差しと立ち居振る舞いは居合わせたものを凍えさせる程の美丈夫だ。

 そのイケメンがデレっと、むしろデロンっとイケメンでも許されない顔の崩し方をして私を抱き上げる。そのまま頬、額、瞼、と順に顔中にキスを落とされ、また抱きしめられそのまま頭を撫でられる。



「うぐっ…おとうさま、おかえりなさいっ」




 私はは息苦しさに耐えながらその美丈夫に応える。

 そう、この絶世の美丈夫がアレットの父、エドガー・フォン・ガルシニアその人である。


 多分、いや確実に設定と違う。


 もちろん悪役令嬢の幼少期など詳しく描かれていた訳ではないが、これはあまりにも違和感がありすぎる。

 ちらっと回想で描かれていた公爵様は、家族を含む他人は損得利益でしか判断せず、媚びず、靡かずで、その外見からも「氷の公爵」と呼ばれていた。


 それがどうだ。

 この娘に対しての甘甘っぷりは。


 赤子の時点で前世の意識があったため、アレットは早々に違和感に気づいた。

 使用人達の反応や話から、アレットが産まれるまではまさに設定通り。

 家にも必要以上に帰らず、母とも政略結婚だったため必要以上の接触はなし、誰に対しても相好を崩す様なことはなかったが、アレットが産まれてからはほぼ毎日それも夕食前には帰宅し、帰宅早々この有様である。


なぜだ、いったい何があった父よ



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