表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

82/147

第82話 怪物たちがふわふわ流れていく

「あっ、なんか流れていった」


「なんだなんだ」


 ポタルが指さした先を見ると、俺たちが掘り進んだカタマリマグマの穴から、ふわーっと怪物が流されていくところだった。

 水の流れに乗っている。

 白目を剥いてるので、もう死んでるっぽい。


 赤くて大きなタツノオトシゴみたいなやつだな。

 マグマに生息してたけど、突然海水で冷やされて死んだみたいだ。


 俺は駆け寄ると、虫取り網でゲットした。


「名前は……ファイヤーシーホース? シーホースなのに海水にやられたのか」


『新しいレシピが生まれた!』


▶DIYレシピ

 ※バーナー

 素材:ファイヤーシーホース+鉱石


「水中では使え無さそうなのが生まれたな。だが、ファイヤーシーホースは有効活用してやろう」


『タマル様の作るアイテムなら、水の中でも使えるのではないですかな?』


「そうかな? そうかも」


 ラムザーに言われてその気になった。

 カンカン作業を開始すると、できました、バーナー。


 炙ったりするのに使うのだろうが、どういう用途になるだろう。

 肉に焼き色をつけたりする?

 だとすると、DIYお料理レシピに頼らないスローライフへと歩みだした、俺たちにピッタリのアイテムだ。


「どーれ」


 バーナーを脇に抱え、射出口をマグマに向ける。

 スイッチを押したら、水中なのに炎が吹き出した。


 おお、固まっていたマグマが柔らかくなる。

 これをラムザーが、斧でちょいっとかき分ける。

 俺がまたバーナーでマグマを柔らかくし、ラムザーがかき分ける。


 こりゃあいいや。

 混ざっている岩石はドリルで壊す。

 こんな感じで突き進むのだ。


『オー! ワークのプロシージャを見てるとスロウリーな気がするのですが、実際にはとってもファストでーす!』


「なあにそれ」


『プロシージャは手順のことでーす』


 ほうほう。

 また一つ賢くなった。


 ちなみに、ドリルでも広範囲のマグマを粉砕できる。

 バーナーはマグマを貫通し、長距離を柔らかくできる。

 ラムザーがかき分けると、一気に10mくらい俺たちは進める。


 なので、これらの作業は異常に効率よく進んでいるのだ。

 さすが、スローライフ用の不思議な道具たちである。


『あっ、なんかまた流れていくんだけど! うわわ、いっぱいくる!』


 キャロルが慌てて、スポットライトを振り回している。

 光がチラチラしていかん。


「ファイヤーシーホースの群れだな。俺たちが入ってきた穴の方に流れてるってことは、もう迷宮は水で埋め尽くされたのかもしれない」


 そう思ったら、後ろから魚がすいすい泳いでくるではないか。


『さ、魚……!』


 キャロルがよだれを垂らさんばかりの表情でこれを見送っている。

 お腹すいちゃったかー。


 迷宮とは名ばかりで、冷やされたマグマの爆発っぽいもので瓦礫の山になった通路を、ひたすら掘り進んでる感じだからなあ。

 俺たちもお腹がすいたと言えばすいた。


「この辺りで飯にしよう。水を避けられるところを探さないとな!」


『オー! ミーにいいアイディアがありまーす!』


「ほう、フランクリンくんやってくれたまえ」


『オーケー!』


『おや、フランクリンが天井を掘り始めましたな。おお、瓦礫が降ってきますぞ』


『オーノー』


『埋もれましたな』


「後先考えない雪だるまだな。助けてやろう」


 俺とラムザーで、瓦礫を取り除いてやった。

 頭上にはぽっかり穴が空いており、そこには水が入り込んでいない。

 つまり空洞があったのだ。


「本当に空洞だ。よくこういうのがあるって分かったな!」


『イエス! ボルケーノにはガス溜まりがありまーす! あれはつまりそういうサムシングでーす』


「なーるほど。ガスは?」


『水にメルトしてますねー』


 何より、ヘルズテーブルに酸素という概念があるのかが謎だしな。

 行ってみよう。


 みんなでわいわいと、ガス溜まりに入った。

 シュノーケルを外して呼吸してみると、ちょっと臭いだけで息ができるではないか。


 水中でバーナーが使えて、シュノーケルするだけで水中呼吸できる世界だもんな。

 真面目に考えるだけおバカであった。


「ここで食事とする!!」


『うおおー! やったわー!!』


 キャロルがスポットライトを放り投げて快哉を上げた。

 そんなにお腹すいてたの。


 キャロルがくれた果物と、それからあと一品用意しようということになった。

 ファイヤーシーホースは、中身がマグマだらけだったし、岩みたいに硬くて食えない。


『どれどれ……。ほう、これは薄く切って食べるものみたいですな』


「なんだって」


 斧でファイヤーシーホースの肉をちょっとスライスしてみる。

 みっちり中身の詰まった、ジャーキーのような肉だ。

 なるほど、このままだったら硬くて食えないはずだ。


 薄くすると歯ごたえがあって、噛む度に味が染み出してくる。


『うっま』


「さっそく食ったなキャロル!」


「あたしも食べる! あとみんな! 果物食べる時はキャロルに見えないように食べてね! マンイーターのマナーだって!」


『はっはっは、そりゃあ守らねばなりませんな!』


『オー、ヘルズテーブルに入ってはヘルズテーブルのルールに従うでーす!』


「ここにも郷に入らば郷に従え的なことわざがあるんだな。いや、フランクリンの言うことだぞ。こいつ平気で地獄に仏とか言うからな……」


 みんなで背を向けて果物を食うのだった。

 美味い!

 甘酸っぱくて汁気が多く、それでいて胃にドッシリ来る満足感。


 振り返ると、キャロルがドヤ顔をしていた。

 どうだ、美味かろうという顔である。


『これはね、普段ならたくさん人を食ったあとに実る果実なんだけど、最近は栄養がめちゃくちゃ多いじゃない? だから豊作だったのよー』


「ははあ、本来なら人体の栄養素を凝縮した果実……! マンイーターみが強い」


 こうして、英気を養う俺たちなのだった。



▶DIYレシピ

 バーナー


第三部からは、一日一回更新になります。

よろしくお願いしますー。


そして隙間を作って新作を構想します。

この話もまだまだちょっとだけ続くんじゃ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ