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第78話 ポタルのリサイタル

「つまり、世界にある迷宮は全部で六つなのか。あと三つで、うち一つは退廃帝の迷宮、もう一つが羅刹侯爵の迷宮、最後の一つがなんかどこかに隠れてるんだな?」


 システム音声から色々読み取れることがあるぞ。


「あと半分ほどでラストだな。思ったよりも早かった」


『もうそんなですかな! というか、これだけ好き放題やって来て、まだ羅刹侯爵領に行ってないと言う辺り、我の元あるじがヤバイのが分かりますな』


「多分な、魔人侯は残り二人だ。それを蹴散らしたらヘルズテーブルは俺たちのものになる」


『おお、人聞きの極めて悪い仰りよう!!』


 わはははは、と笑い合う俺たちだ。

 その背後で、うわーっと歓声が上がった。

 なんであろうか?

 

 分かりきっている。

 ポタルのリサイタルというか、コンサートというか。


 ドクトルラブソングに合わせて、ポタルが歌い踊るのである。

 彩色洋品店で作ったフリッフリの服が風に舞う。


 可愛いのう。

 いつの間に踊りの練習したんだろう。


『うんうん、良いダンスだわ。あたしが教えただけのことはあるわね』


 バーベキューで腹がくちくなったキャロル、満足気にポタルを眺めている。


「なんだ、キャロルが教えたのか! 意外だな……」


『意外じゃないでしょ。あたしが人間を惹き寄せるために、この姿と花の香り、それから踊りを使ったもんよ』


「なるほど、数百年前から使っていた踊り」


『あまりにもおびき寄せ過ぎて人間が絶滅しちゃったけどね。ま、大半はドラゴンにやられたの』


「あのエルダードラゴン?」


『そうそう。あいつ、人間が大嫌いだったのよ。というか、魔人侯が嫌いだったんだけど、あいつには人間と魔人侯の区別つかないもの』


「今更そんなドラマが……!!」


 今そいつ博物館に展示されてるよ。


『ねえあんた、どうやってあいつ捕まえたの? って愚問ね。その異常な虫取り網でしょ』


「そうそう」


 久々にキャロルと飯以外の話をした気がする。

 そしてポタルのリサイタルを楽しむのだ。

 そうしていると、パタパタと骨次郎が走ってきた。


『カタカタ!!』


「えっ、メールが来た?」


 だが、メールを急いで展開する必要もあるまい。

 ポタルの歌声を堪能して……堪能してから……。


 おお……リセンボンたちがふわふわーっとなって、夢心地になっている……。

 これ、魔曲になってるんじゃないのか?


『ほう、ハーピーのフリア種は魔曲を奏でるというが、それをさらに強化したものか。わらわも初めて聞く……』


 逢魔卿には通用していない。

 魔人侯には効かないんだな。


『我もなんだかポワポワしてきましたぞ』


『オー! ポタルさーん! マーベラス! アイラービュー!!』


 ラムザーとフランクリンもやられている。


「キャロルは魔曲が通じないのか」


『植物だもの。通じないわよ。っていうかあんた、なんで平然としてるの?』


「わからん」


『やっぱあんた、魔人侯なんじゃないの……?』


「かも知れん」


「ありがとーありがとー!」


 ポタルが手を振っている。

 ポワポワしながら手を振り返す、うちの男たちとリセンボンたち。


 歌も終わった。

 では、メールをチェックするとしようか。


『やあやあタマルさん! こちらでも迷宮核の摘出を確認したんだなもし。これで三つの迷宮が破壊され、どうやらあと三つ迷宮を踏破すればヘルズテーブル地方は手に入るんだなもし』


「ほうほう……地方……? ヘルズテーブルはここが世界の全部じゃないのか」


 メールはまだ続いている。


『戻ってきたら退廃帝の迷宮を踏破して欲しいんだなもし。これだけクリアすると、ようやくあの人を迎えられる用意が整うんだなもし』


 あの人……?

 もしや、ヌキチータの上位にいる神だろうか。

 侵略者であるヌキチータは、やはりいつかは敵対する邪悪な存在なのでは……。


『あの超宇宙的シンガーソングライター、ドクトル太郎さんをお招きして一大コンサートを開けるんだなもし!! 大興奮なんだなもし!! 僕は今からドキドキが止まらないんだなもしー!!』


 俺は物も言わずずっこけた。

 こいつ……もしや裏表というものがないおバカなのでは……?


『ドクトル太郎さんから期待も込めて、この曲が送られてきたんだなもし。こいつを受け取って欲しいんだなもし』


「こ、これは……!! ドクトルフォークソング!!」


 新しい曲を手に入れてしまった。

 これは嬉しい。


「よし、もう少しヌキチータの仕事を手伝ってやるか。ドクトル太郎の顔も見てみたいしな」


 馬車から出てきた俺に、フリフリのアイドル衣装に身を包んだポタルが駆け寄ってきた。


「タマルー!! 見た? 見た?」


「来た見た聞いた」


「そっかー。うふふ、どうだった? メロメロになった? ……というか、なんでタマル魔曲をもろに聞いたのに平気なの? そう言えば最初に出会った頃も平気だったような」


「なぜか俺には通用しないようだ。だけどキュンキュン来た。かわゆい」


「ほんと!? やったー!! 魔曲効かないの、そういえばタマルって魔人侯だもんねえ」


 自分ではそうじゃないと思ってたんだが、よく考えると兄弟神同様、神であるヌキチータ専属のエージェントみたいなものなんだから、ある意味俺も魔人侯なんだろう。


「よし、次は俺が、今届きたてほやほやの新曲を掛けてやろう! バーベキューの締めはまったりフォークソングで行こう!」


「なーにそれー? なんかご機嫌な曲だったりする? だったら聞きたい! 聞きたいなー!」


「ふっふっふ、ある意味ご機嫌な曲だ……」


 かくして。

 俺が得意満面で流したフォークソングで、本日の釣りとバーベキューでクタクタだった一同は、すやすや爆睡したのである。



▶獲得アイテム

 ドクトルフォークソング


お腹いっぱいの後のフォークソングに眠らされる一行である


お気にいっていただけましたら、下にある星を増やしますと作者が喜びます。

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― 新着の感想 ―
[一言] オチがサイコーにスローライフ。
[一言] さらに、上位神いた!?
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