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第13話 神様解説をする

『一つの領域を解放したみたいだなもし。説明にやって来たんだなもし』


 風呂に入っている俺の目の前が突然光りだし、神が出現した。

 俺をこのヘルズテーブルに放り込んだヌキチータ神である。


「入浴中なのだが」


『失礼したんだなもし』


 去っていった。

 一時間くらいして、風呂上がりでまったりしている頃にまたやって来た。


『説明にやって来たんだなもし』


「おう、説明もなしにスローライフ向きじゃないっぽい世界に放り込まれて困っていたんだ。なんか言ってくれ」


 俺はご立腹である。

 もっと優しくてふわふわな異世界に放り出してくれなかったのか。


『まず、優しくてふわふわな異世界なんてものはないんだなもし』


「俺の脳内を読んだ」


『みんなその土地で暮らしているので、リアルな生活感は出るんだなもし。後は争いは絶対になくならないので物騒度合いは違えど、どこにでもあるんだなもし』


「そうだったのかあ。……でもヘルズテーブルは無くね?」


『ここはたくさん人が死ぬので、今更一人転生してきたところで全く問題ないんだなもし。今は神々が主神の座を巡って争っており、代理人である魔人侯がヘルズテーブルの覇権を握ろうとしているんだなもし。今日、その一角が崩れたんだなもし』


「それと俺のスローライフとどういう関係が?」


『魔人侯を平らげればヘルズテーブルは平和になるんだなもし。そうしたら残された領域は全部タマルのものになるんだなもし』


「ハッ! つまり、俺がクリアした場所はスローライフし放題になっている……」


『理解が速いんだなもし。どれどれ、流血男爵を倒したご褒美に、荷馬車をパワーアップさせてあげるんだなもし。そーれ』


 ヌキチータ神が手をかざすと、荷馬車がピカピカ光った。

 乗り込んでいたラムザーとポタルが、慌てて飛び出してくる。


『なんだなんだ』


「せっかくお風呂上がりでうとうとしてたのにー!」


 そんな俺たちの目の前で、荷馬車が変化していくではないか。

 二周りくらい大きくなり、車輪は六つ、幌が頑丈そうなものに変わっている。


 今まではワンボックスカー位の感覚だったのが、マイクロバスになったとでも言おうか。


「ひろーい!」


 馬車に飛び込んでいったポタルが歓声をあげた。


「これでタマルのベッドに侵入しなくて済むのね!」


 もしや明け方頃にちょっと目覚めると、羽毛布団が近くにある夢をよく見るの、ポタルがベッドに入ってきていたのか!

 なんということでしょう。それがなくなるの?

 いや、俺、夜に寝たら朝までぐっすりなんでどうせ意識ないんだけど。


 今まではワンボックスカーくらいの広さに、色々無理やり詰め込んでいたわけだが、マイクロバスくらいの広さとなると全く変わってくる。


『カタカタ』


「ホネノサンダー1頭じゃきついよな。ちょうど流血男爵領には骨がよく転がっている」


 まず馬の骨を拾い、他の骨と合体させ……。


『魔人商店のポッコとボッコからもお願いされているんだなもし。アイテムボックスを拡張しておくんだなもし』


「ここでやってくれるのか。ありがたい……。おお、30入るようになってる!」


 喜ぶ俺の横で、ホネノサンダーが骨の鐘をくわえ、カランカラン鳴らした。

 すると、もう一頭の骨馬が出現する。

 ホネノライジングと名付けよう。


 うちの馬車はこれで二頭立てである。


『さらに、荷馬車に収納スペースもあげるんだなもし』


「大盤振る舞いじゃん! 神かよ」


『神なんだなもし。ということでこれの支払いは』


「えっ」


『神はただでは施さないんだなもし。支払いが発生するのいやなら戻しておくんだなもし』


「ううっ、便利だからこのままにしてくれ。支払いはなんなんだ。1万ポイントか」


『大蟻地獄の迷宮を踏破して、迷宮核を持ってきて欲しいんだなもし。それで迷宮は力を失ってただの穴になるんだなもし』


「そういうのかあ。迷宮は馬車で行けそう?」


『行けるところと行けないところがあるんだなもし』


「分かった。じゃあ引き受けるよ。素材もどうせガッポガッポ取れるだろうからな」


 この大型馬車があれば、俺はスローライフの拠点を持ったまま移動できるということでもある。

 迷宮に挑みながらも、スローライフができるという寸法だ。

 ベッドと五右衛門風呂があるので、どこでも快眠と入浴が約束されているしな……。


『では頼んだんだなもし。頑張るんだなもし~』


 ヌキチータはそれだけ告げると姿を消した。

 ラムザーが『ほえー』とか言っている。


「でかいのがほえーとか言っても可愛くないんだが」


『別に可愛げを見せたわけではないんですがね。あれ、神の一柱でしょう。ヌキチータ神なんてのは、ヘルズテーブルの言い伝えには出てきませんな。恐らくこの土地の侵略を企む外なる神でしょうな』


「ははあ、侵略者側か。そういうのって困るの?」


『いやあ、我らを手駒にして、世界をぐちゃぐちゃにしながら勢力争いをしている神々と魔人侯ばかりですからなあ。少しは痛い目を見るべきだと思ったり思わなかったり』


「つまりどうでもいいってことだな。よしよし、安心してヌキチータに頼まれた仕事をやれる」


 何せ、俺の悠々自適な生活はあの神に掛かっているのである。

 今回の仕事が終わったら、ボーナスを要求してやろう。

 過労死した頃の俺はサラリーマンだったが、今は個人事業主みたいなものだ。


 運営、交渉は自分でやって利益を掴んで行かねばならん。


『ウグワーッ! 馬車が大きくなりました! 1000ptゲットです!』

『ウグワーッ! 評判・征服者レベル1を得ました! 200ptゲットです!』


「あっ、ポイントだねー! さっきの人のおかげ? 親切だねー」


 のんきなポタル。

 どうやらハーピーは、神様というのがよく分からないらしかった。

 それくらいが一番いいのかも知れない。



 UGWポイント

 3040pt


 荷馬車→大型馬車


 評判

 ※解放者レベル1

 ※征服者レベル1


 

まさか我々は侵略者側……となったが、割とクソな世界なので問題ありませんでしたわ!


お気にいっていただけましたら、下にある星を増やしますと作者が喜びます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 私は、もともといて、「意識されてない神様」かと思いましたが。
[一言] 褒美なのに対価を要求するタヌ◯ちの鑑
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