第100話 兄弟神初お目見え
城の構造は単純明快だった。
最上階近くに残影伯がいる。
なので、わーっと詰めかけ、カエル人間たちを蹴散らしながら城を駆け上っていく。
カエル人間が務めているせいか、妙に湿気の多い城だった。
城のあちこちに祭壇があり、これで兄弟神を祀ってるんだな。
「どれどれ」
『おっ、躊躇なく祭壇を回収しましたな! 神への恐れとかありませんなー』
「うちにいる神がヌキチータや創造神だからなあ」
「タマル、神様をどついたりしてるもんねー」
『オー、ノーフィアー過ぎまーす!』
祭壇の材質は木製。
これをアイテムボックスに入れたことで、何かレシピが閃くかなと。
『新しいレシピが生まれた!』
「おっ、出てきた!」
▶DIYレシピ
※ハシゴ
素材:湿地の木材
「祭壇とすら認識されていない!」
そして今になってハシゴとは。
作ってみて、その有用性がわかった。
カエル人間たちが待ち受けている階段を登らなくても、ベランダに出て外から立てかけると、上の階まで行けるのである。
「ショートカットしまくりじゃん。便利!」
『あちらの祭壇を利用して、侵略のためのアイテムに変えてしまう! 冒涜的ですなー』
「あとで兄弟神にごめんねしとくか」
みんなでワイワイ騒ぎながら、お城をガンガンショートカットしたのである。
明らかに待ち伏せしていたカエル人間たちはスルー。
階段使ってないんだもの。
『荒事が苦手なあたしまで普通に参加してるし』
「えー、それ言ったら私だって苦手だよー。喧嘩はうちの姉たち頼りだったもん」
『ミーも腕力に自信はないですねー!』
『我は羅刹侯爵の配下では一番弱いくらいの位置でしたな』
『ピピー』
ポルポルも何か言ってる。
「つまり、俺たちは別に強いわけでも何でも無いのだ。だが、俺たちは今こうして四つの迷宮を平らげ、三人の魔人侯を下している。なぜか! それは戦っていないからだ! 奴らがやるのは戦争! 俺たちがやるのはスローライフ! 負ける道理が無いのだ!」
『いいですぞタマル様ー!』
演説してたら、さすがにカエル人間たちにも聞こえたらしい。
ゲロゲーロとか言いながら槍を持って集まってきた。
『よし、花火マシーン展開ですぞ。発射!』
屋内でぶっ放される花火。
天井を黒くしながら、猛烈な音と火花が散る。
カエル人間たちが猛烈に怯んだところで、俺たちは別のベランダに出ているのである。
ここからハシゴで上に行く。
で、ハシゴは回収。
仲間たちのアイテムボックスに、これまで作ったり入手してきた家具の数々を入れている。
つまり、その気になればどこでもスローライフできるフル装備状態なのだ。
上の階にワイワイと乗り込んでみたら、大きな椅子の裏側だった。
見覚えのある、輪郭のぼんやりした影みたいなやつが、こっちを振り返ってギョッとしている。
『き、貴様らー!!』
「残影伯じゃん! おりゃあ」
虫取り網を構えて飛びかかる俺。
『ウグワー! 危ない!』
残影伯、慌てて転がりながら離れていった。
勘がいい。
ここで悠然と一撃目を受けるとかやると、俺にゲットされて勝負が終わるのだ。
俺は一撃必ゲットだからね。
ついでなので、残影伯の玉座っぽいのを回収しておいた。
『新しいレシピが生まれた!』
▶DIYレシピ
※マッサージチェア
素材:玉座+機械部品
おっ!
こりゃあいいのが生まれたぞ!
さっさと残影伯と兄弟神をゲットして、マッサージチェア作りに行かないとな。
『馬鹿な……! まさか貴様の能力は空間を削り取る……!?』
「そんなかっこいいものではない」
なにか勘違いしているぞ。
俺は虫取り網を構えて、じりじりと残影伯へ迫った。
『ぬうっ! 奴の気配が急に希薄に! 意識せねば見失ってしまいそうだ! 恐ろしい力……!! 兄弟神よ! 助けを!』
「判断が早い! みんな集まれー!」
俺の掛け声に合わせて、みんなが集合した。
『どうしたんですかな?』
「あいつすぐ弱音吐いて兄弟神に頼ったんだ。こいつは強敵だぞ。油断してない。みんな、ここで家具を一斉に設置! 残影伯の部屋を俺たちの色で染めてやれ!」
わーっと展開される、カラフルで可愛い家具の数々。
外に停めていたはずの馬車が、ポルポルのアイテムボックスから出てきたのは魂消た。
『ピピー』
「馬車が置いてけぼりだと可愛そうだから持ってきたの? ポルポルは優しいなあ」
何より、馬車は対衝ブロック塀で守りをガチガチに固めてある。
ホネノサンダーとホネノライジングは、初めてのお城の中に大興奮でパカポコと蹄を鳴らしている。
『カタカタ』
「そう言えば骨次郎と一緒にお城の中にいるのも久々だなあ! ずっと留守番だったもんな」
『カタカター』
和気あいあいとする俺たち。
気付いたら、残影伯の頭上に光り輝く巨人の姿があり、それが憤怒の形相である。
『こりゃあー!! 神であるわしを無視するでないーっ! 罰当たりめ、ここで滅ぼしてくれる!! うりゃあ、滅びの赤き渦潮!』
屋内に出現する、赤い奔流!
だが家具群がみっちりと並べられているので、そこで止まる。
『なん……じゃと……!?』
「出オチみたいな感じになっちゃったな」
『はっはっは、ところでタマル様、これはなんだと思いますかな』
「人間大砲かな? おいばかやめろなんで俺が砲口にもう入ってるんだ」
『発射しますぞー! みんな集まるのだ!』
タマル一味が集まってきて、大砲の後ろでわーっとポーズを決めた。
骨次郎、お前もか!
大砲は割りと発射されると怖いんだぞ。
『発射!』
「こなくそー!」
『なんじゃー!?』
状況が理解できない兄弟神。
それを目掛けて、発射された俺である。
「うおおー! 死なばもろともー!!」
ブンブン振り回した虫取り網が、兄弟神にヒットした。
ピョインッ!と無情な音が鳴り響く。
『なん……じゃと……!?』
虫取り網で、神である兄弟神は捕らえられない。
だが、下にいた残影伯ならゲットできる。
魔人侯と兄弟神はリンクしている。
つまり。
『ば、ばかなあーっ!!』
兄弟神は、どこかの空間へ吸い込まれていくようにして消えてしまった。
そして壁に対衝ブロック塀ごしにぶつかる俺。
「うっ!!」
ボイーンと跳ねて戻ってきた。
タマル一味がみんなでキャッチしてくれる。
『いやあ、電撃戦でしたなあ』
「俺すら先のことが何もわからない電撃戦だった。そりゃあ相手には先は読めないよなあ……」
それはそうと、後でラムザーの額にチョップを連打してやらねばなるまい。
『ウグワーッ! 魔人侯五人目を撃破しました! 3000ptゲット!』
▶DIYレシピ
ハシゴ
マッサージチェア
UGWポイント
10500pt
100話目!
だがいつものように進行いたしました
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