表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/147

第10話 突撃訪問、流血男爵のお城

「こーんにーちはー」


 俺は小さな声を出しながら、流血男爵の城の門をくぐった。

 荷馬車は遠くに置いてきた。

 この戦いについてきたら絶対に壊れるからな。


 ポケットには、骨の鐘に戻したホネノサンダーと、他骨のベル六つ。

 骨次郎は常時、顕現させている。


『どうして囁き声なんですかな? 無言で入ればいいのでは』


「なんとなくな……。人様の家に無言で入るのは気が引ける」


「ブラッディアンを次々に捕らえてたかと思えば、次はそんな人のいいこと言うし。よくわかんないわねタマルは」


『カタカタ』


 俺は小市民なのである。




 しかし、流血男爵の城を最初に見た時はぶっ飛んだ。

 直方体っぽい、縦にでっかい城で、巨大な穴の上に建っているのだ。

 四方から橋が渡されて、これを使わないと城に入れない。


 四方の門には殺戮機械が設置されており、侵入者を通さないようにしている。

 城の外壁にも、たくさんの殺戮機械と見えるものがぶら下がっているのだ。


 とても地獄めいた光景である。

 お城なんか、大阪城とかネズミーランドのお城しか見たこと無かった俺にはかなりのカルチャーショックだった。


 へえー、本当の西洋のお城はこう言う見た目なんだなあ。

 ということで、殺戮機械をピョインッと虫網で捕らえたのだ。

 そして残念ながらアイテムボックスには余裕がないので、すぐに取り出して縁に置いて、ちょっと押して穴に落とした。


 なお、アイテムボックスの中身はさっき魔人商店に行って売ってきた。

 3000ptになったぞ。凄い。

 そしてこのポイントを使って、新しいインテリアを買ってきたのだ。


『これ、不意さえ討てればほぼ無敵ですな……』


「そうでもないぞ」


「そうでもないの?」


「今ので虫取り網が壊れた」


『ええーっ!?』


 ラムザーがびっくりして飛び上がった。


『どうするんですかな!? タマル様ができる唯一のことじゃないですか。もう大体何もできないと一緒でしょうが』


「ひどい言われようだな!? だが大丈夫だ。ここに、さっき倒した殺戮機械の腕があるだろ?」


 俺がそれを骨次郎から受け取る。

 すると……。


『新しいレシピが生まれました!』


▶DIYレシピ

 ※殺戮の虫取り網

 素材:殺戮機械の腕×2


「これをな、こうしてな」


 骨次郎が設置した作業台の上で、トンカントンカンDIYである。


『とても流血男爵の城の前とは思えませんな。まさか城の前でのんびり工作をするとは……』


「でもまあ、この異常な肝の太さが安心できる気がしない?」


『どういう神経してるんだって思いますなあ』


 ひどい言われようである。

 だが、虫取り網は完成した。


「できた! 殺戮の虫取り網だ!!」


『すごい名前ですな!! まるで捕らえたものを殺し尽くすような……』


「でもあれでしょ? 文字通り虫も殺さないで捕まえるだけなんでしょ?」


「その通りです」


 ヒュンヒュン虫取り網を振り回す。

 見た目はあちこちから刃が飛び出した殺戮機械の腕が、複雑に絡み合っている。

 その先端に網がついていて、言うなればこの網以外は見た目だけで何の意味も無いのだ。


「行くぞ!」


 ……ということで、始まりの描写に戻る。

 虫取り網を構えたまま、俺はそろりそろりと歩く。

 基本的に度胸がある方ではないのである。


 だが、たまにカッとなると大胆な行動もしてしまうな。


「ところでさ、今度は何を手に入れてきたの? タマルが手に入れるポイント? っていうやつで、色々もらえるんでしょ?」


「もらえるというか購入だな。そっか、ハーピーは貨幣とか買い物っていう概念がないんだな」


 話をしていたら、遠くからガチャンガチャン走ってくる者がいる。

 あっ、鎧を着込んだブラッディアンの騎士みたいなやつだ。

 強そう!


『カタカター!』


『カタカタカタ!』


「あっ、先走ってはいかん骨次郎! 骨三郎!」


 骨たちが棒を持って騎士に殴り掛かる。

 壺みたいなやつを囲んで叩いて倒した成功体験があるからか。


 だが、ブラッディアンの騎士は格が違った。

 骨三郎の棒を、パリィッと弾くと、そのままどうみても致命的な一撃を叩き込んできたのである。


『カタカター!』


「ほっ、骨三郎~!!」


 哀れ骨三郎、剣で貫かれて消えていく。

 骨三郎のベルに、ピシッと亀裂が入った。


 うう……あとで修理してやるからな……!


「骨次郎、退け! こいつは接近したら危険だ!」


『タマル様、対策はありますかな?』


「ああ! ちょっと角度調整するから時間だけ稼いでくれ」


『承知しました! うおおお!!』


 ラムザーが前に出て、騎士と打ち合い始めた。

 武器が複数あり、これを時間差で繰り出してパリィッと弾かせない作戦らしい。

 いい感じで拮抗している。


 だが、あの騎士はかなり強そうだ。

 いつラムザーがやられるかも分からない。


 ということで、本日購入しましたこれ!

 紙吹雪マシーン!


 俺はマシーンを取り出すと、騎士とラムザーに向けて設置した。

 方向を微調整……。


「なーに、これ?」


「今回の切り札だ。それ行くぞ、どーん!!」


 俺がスイッチを押すと、紙吹雪マシーンから猛烈な勢いで、紙吹雪が吹き出した。

 これにはラムザーも騎士もびっくりだ。


 お互いに距離を取り、飛びかかってくる紙吹雪に向かって武器を振り回している。

 馬鹿め!

 紙をパリィッと弾くことはできまい!


 そしてその隙に、俺が虫取り網を持って接近しているのだ。

 だが今回は、騎士はかなり近づいたところで俺に気づいた。


『もがーっ!!』


 剣を振り上げる!

 やべえ、気付かれるのかこれ!


『お前の相手はこっちですぞ!』


『もがーっ!!』


 ラムザーの呼びかけで振り返る騎士。

 ここで、俺は虫取り網を振り下ろした。


 騎士はそれを素早く、パリィッと弾こうと……した剣ごと、ピョインッ!という音とともに回収された。

 騎士アイコンがアイテムボックスに出現する。


「ふうー……。すげえ強敵だった。忍び寄るの、気付かれる相手には気付かれるんだな」


 一つ教訓を得た。

 流血男爵相手には気をつけよう。


▶レシピ

 殺戮の虫取り網


 UGWポイント

 1090pt

強敵の騎士!

タマルは一つ虫取りのやり方を学んだのである。


お気にいっていただけましたら、下にある星を増やしますと作者が喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] スニーキングマスターの道は遠いぜ
[良い点] パリィしても接触したらOUTとか初見殺し過ぎるwしかし、紙吹雪は突然で驚く以外の効果が分からなかったけど、もしかしてギミック付きのルームアイテムか何かなんだろうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ